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第57巻 2号

三重県尾鷲湾で発生した養殖ブリのMycobacterium pseudoshottsii感染症

松本 萌・町田雄一朗・金丸素久・山本將人・佐野元彦・加藤豪司
 養殖ブリ類の抗酸菌症は,わが国のブリ類養殖に深刻な経済被害を与えている。2020年10月~11月にかけて,三重県尾鷲湾でブリの抗酸菌症が発生した。罹患ブリは腹部膨満を示し,体腎および脾臓に多数の結節がみられた。また,体腎および頭腎に乾酪壊死,類上皮細胞および繊維芽細胞を伴う典型的な肉芽腫がみられた。分離菌の 16S rRNA,Hsp65およびrpoBを用いた分子系統解析の結果,原因細菌はMycobacterium pseudoshottsiiと同定された。単離した3株はリンコマイシンに,2株はエリスロマイシンに感受性を示したが,1株はエリスロマイシンに耐性を示した。このように,本症に対してこれら薬剤の治療効果が期待されるが,耐性菌株の出現にも注意を払う必要がある。
魚病研究,57(2), 35-40(2022)

内臓癒着症は北太平洋とベーリング海に生息するベニザケの成長に影響を与えるのか?

長澤和也
 北太平洋とベーリング海に生息するベニザケには,寄生性線虫類のサケホソミセンチュウPhilonema oncorhynchiに起因する内臓癒着症がしばしば見られる。本論文では,1991-1995年に北太平洋とベーリング海で漁獲された928尾のベニザケを検査し,内臓癒着症が海洋生活期のベニザケの成長に影響を与えているかを検討した。その結果,癒着魚と非癒着魚の間には,尾叉長,春夏季の成長,肥満度に統計学的に有意な差は見られず,この疾病はベニザケの成長に影響を及ぼさないと判断された。また,魚の成熟とともに消失すると考えられていた本疾病の魚体内における動態を考察し,本疾病は必ずしも消失することなく成熟魚にも見られることを示した。
魚病研究,57(2), 41-48(2022)

日本産ブリ属3種に寄生するエラムシ類

小川和夫・白樫 正・福田 穣
 1975年から2019年にかけて,日本各地の野生および養殖ブリ属3種(ブリ,カンパチ,ヒラマサ),および国外から輸入されたブリ属種苗を調査し,2種のエラムシ,Heteraxine heterocercaZeuxapta seriolae(=Zeuxapta japonica)の寄生を確認した。2種の発育過程の比較によって未熟虫体も同定した。その結果,従来,H. heterocercaはブリとカンパチに寄生が知られていたが,ヒラマサにも寄生し,Z. seriolaeはカンパチとヒラマサに寄生が知られていたが,ブリにも寄生することが確認された。養殖魚には2種のエラムシの混合寄生もみられたが,野生魚には単一種のエラムシが寄生していた。これにより,日本でブリ属3種に寄生するエラムシはH. heterocercaZ. seriolaeの2種であり,いずれのエラムシも3魚種全てに寄生することが示された。
魚病研究,57(2), 49-55(2022)

EIBS原因ウイルス(PRV-2)に対する市販消毒剤の殺ウイルス効果

熊谷 明・高野倫一・山﨑雅俊・松山知正・坂井貴光・本庄美穂・富川なす美
 養殖現場で主に使用されている消毒剤のEIBSの原因ウイルス(PRV-2)に対する殺菌活性を,PRV-2フリーのギンザケ稚魚を使った実験感染で調べた。ウイルス原液10倍希釈液(PRV-2のL2 RNAに換算して 1.05×1010 copies/mL)は,50 ppmポビドンヨード・15分,200 ppm次亜塩素酸ナトリウム液・30秒,40%エタノール・30秒の処理で,また100倍希釈ウイルス液(1.05×109 copies/mL)は,12.5 ppmポビドンヨード・15分,25 ppm次亜塩素酸ナトリウム液・30秒の処理で完全に不活化した。一方,10倍希釈ウイルス液は 1,600 ppm塩化ベンザルコニウム・30秒処理で不活化しなかった。
魚病研究,57(2), 56-59(2022)