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第41巻 3号

Pseudomonas plecoglossicida を実験感染させたアユの病理組織像

小林立弥・今井 慎
 細菌性出血性腹水病の原因菌 Pseudomonas plecoglossicida を,アユに浸漬法,腹腔内注射法,筋肉内注射法により感染させた。実験区はいずれも高い死亡率(93〜100%)を示した。全ての病魚の脾臓と腎臓で,水腫,線維素沈着,出血を伴った壊死病変が観察された。このような病変に加えて,腹腔内注射区では,腹腔脂肪織と膵臓の壊死と出血,筋肉内注射区では,注射部位に出血および炎症性細胞浸潤を伴う筋組織の壊死も観察された。脾臓と腎臓の病巣が本病の主病変と判断された。
魚病研究,41(3),91-97(2006)

異なるアユ系統間の冷水病感受性と免疫応答

永井崇裕・坂本 崇
 冷水病感受性の低い海産交配系アユと高い累代系アユの交配系統を作出したところ,冷水病菌に対する感受性は両系統の中間になり,この性質は遺伝する可能性が示された。これらのアユの免疫応答を比較するために,ホルマリン処理冷水病菌で浸漬免疫して有効性を検討した結果,ワクチン効果は認められるものの系統間でその効果に差は認められなかった。しかし,冷水病菌のホルマリン死菌で免疫した際の抗体価は,海産交配系が最も高く,これは冷水病低感受性と関連するかもしれない。
魚病研究,41(3),99-104(2006)

DNA アレイによる Vibrio および Photobacterium 属魚病細菌の判別

松山知正・釜石 隆・大迫典久
 16S-23S rRNA 遺伝子間に存在するスペーサー領域(ITS)を標的とした Vibrio 属および Photobacterium 属魚病細菌の判別 DNA アレイを作製した。供した菌株の ITS 領域をユニバーサルプライマーを用いて PCR で増幅するとともに,ジゴキシゲニンで標識した。標識 PCR 産物を DNA アレイにハイブリダイゼーションし,化学発光法で検出した。ハイブリパターンは極めて近縁な種間を除き,それぞれの種に特徴的であり,Vibrio 属14種と Photobacterium 属 1 種の種判別が可能であった。
魚病研究,41(3),105-112(2006)

トラフグの体表に着定した単生類 Heterobothium okamotoi の孵化幼生の運命

良永知義・安崎正芳・小川和夫
 水槽での実験感染において,H. okamotoi の幼生はトラフグの鰓だけでなく,本来の寄生部位でない体表にも着定した。虫体数は,体表上では 3 日間で 0 となったが,鰓上では12日後に増加していた。実験感染したトラフグの体表からホルマリン処理で虫体を除去した場合,鰓弁上に虫体の増加は認められなかった。また,感染トラフグと網で隔てて同居させた未感染トラフグに寄生が確認された。これらより,体表に着定した虫体は体表を離れた後でも再感染可能であることが明らかとなった。
魚病研究,41(3),113-115(2006)

ポビドンヨードを用いたクルマエビ受精卵の消毒法

佐藤 純・森 広一郎・西岡豊弘・服部圭太・岡 雅一・渡辺研一
 受精10時間後のクルマエビ卵を有効ヨウ素濃度2.5mg/L で 5〜20分間,5.0mg/Lで 5 〜15分間浸漬した場合,対照区と比較してふ化率に有意な差は認められなかった。受精卵の生菌数は,これらの条件で90%以上減少することが確認された。また,受精卵の発生段階別に有効ヨウ素濃度 5 mg/L で 5 分間浸漬を行った時のふ化率は,試験を行った 8 つの発生段階のいずれにおいても対照区との間で有意差は認められなかった。
魚病研究,41(3),117-120(2006)

アユの細菌性出血性腹水病に対するアセトン乾燥菌体を用いた経口免疫

金辻宏明・二宮浩司・山本充孝
 アユの細菌性出血性腹水病に対する経口免疫の効果を調べた。Pseudomonas plecoglossicida 培養菌をアセトンで殺菌・乾燥し,飼料に添着させて 2 週間間隔で 2 回投与した。2 回目の免疫 2 週間後の攻撃試験により効果を判定した。実験には季節をかえ,1 月に 4.0 g のアユ, 7 月に 3.6 g のアユを用いた。その結果,浸漬および注射攻撃で有意な効果が確認され,RPS は 1 回目がそれぞれ66.7%および47.8%,2 回目は40.0%および78.9%であった。
魚病研究,41(3),121-122(2006)

養殖種苗として中国から輸入されたカンパチ幼魚におけるアニサキス寄生に関する予備的検討

良永知義・木南竜平・Kathryn A. Hall・小川和夫
 2005年春に,中国福建省から養殖種苗として輸入されたカンパチ幼魚にアニサキスの寄生が高頻度に見られた。この寄生虫は,形態学的にはヒトアニサキス症の原因となる Anisakis I 型幼虫と同定された。ITS1-5.8S rRNA-ITS2 領域の塩基配列では,広義の A. simplex を構成する種の一つである A. pegreffii と極めて近縁であった。主な寄生部位は胃壁および胃漿膜であり,腹部の筋肉に虫体は認められなかった。本症例は,養殖魚におけるアニサキス寄生の初めての例である。
魚病研究,41(3),123-126(2006)

レッドマウス病原因菌の簡易迅速検出法について

坂井貴光・大迫典久・飯田貴次
 レッドマウス病原因菌 Yersinia ruckeri の簡易迅速検出法として報告されている選択培地と PCR の有用性について検証した。Y. ruckeri の一部の株は選択培地での判別が困難であり,さらに他の魚病細菌が分離される可能性が明らかとなった。一方,16S rDNA を標的とする PCR 法では Y. ruckeri の同定に十分な特異性と検出感度を確認することができた。分離菌のグラム染色,チトクローム・オキシダーゼ試験に続く PCR 検査により,迅速かつ正確なレッドマウス病の診断が可能である。
魚病研究,41(3),127-130(2006)