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第55巻 2号

稚魚期に異なる発達を示したアユ胸腺のその後の変化

高田優三・田口仰星・鈴木究真・芦澤晃彦・加地弘一・渡辺 峻・和田新平・倉田 修
 アユ稚魚期の飼育水温は胸腺の発達に影響を与える。一方,稚魚期に異なる発達を示した胸腺のその後の変化は不明である。本研究ではアユ稚魚(0.6 gおよび 1.4 g)を10°C~22°Cの異なる水温で約2か月間飼育した後,15°Cでの継続飼育により成長したアユの胸腺発達をコンピューター断層撮影により解析した。試験魚の胸腺発達は胸腺体積比(胸腺体積/体長)より評価した。異なる水温による飼育直後の胸腺体積比は,低水温飼育稚魚(10°C,12°C)で高く,高水温飼育稚魚(18°C,22°C)で低かった。その後の継続飼育により成長したアユにおいても胸腺体積比の程度は一定期間維持されていた。夏至以降,アユの胸腺は萎縮し始め,胸腺体積比の差は認められなくなった。以上より,胸腺は萎縮する夏至までの間,稚魚期に形成された形態的な特徴を維持していることが明らかとなった。
魚病研究,55(2), 31-37(2020)

光周期による海産白点虫Cryptocaryon irritansの宿主離脱および仔虫放出における日周リズムの操作

渡邊勇歩・How Kah Hui・善家孝介・伊藤直樹・良永知義
 海産白点虫の生活環には明確な日周リズムがあり,宿主離脱および仔虫放出は深夜から早朝にかけて生じる。これには光周期が関与することが推察されているが,実証されていない。そこで,仔虫を用いて攻撃したブラックモーリー(感染魚)とシスト期虫体を異なる光条件下で維持し,光周期を変えることで宿主離脱および仔虫放出における日周リズムを操作できるか調べた。その結果,感染魚とシスト期虫体ともに,異なる二つの光条件下(6:00-18:00明期・18:00-6:00暗期;15:00-3:00明期・3:00-15:00暗期)に暴露すると,宿主離脱および仔虫放出におけるピーク時刻が変化した。このことから,宿主離脱および仔虫放出のリズムは光周期を変えることで操作できることが示された。
魚病研究,55(2), 38-41(2020)

シロサケ回帰親魚の細菌性冷水病原因菌Flavobacterium psychrophilumの保有とふ化場での垂直感染の防除

小林俊将・高橋憲明
 2018年9月~12月に岩手県の明戸川さけますふ化場で採卵に使用したシロサケ雌親魚の体腔液から細菌性冷水病原因菌Flavobacterium psychrophilumが検出された。冷水病菌の検出率は河川で採捕した河川遡上親魚で0.0~91.7%,定置網で採捕して1~2週間淡水蓄養した海産親魚で0.0~100.0%だった。淡水蓄養をしなかった海産親魚の体腔液からも冷水病菌が検出された(検出率:21.4%)。同ふ化場では,2018年に累計で21,165,000粒の受精卵を吸水前消毒し,平均発眼率は92.4%だった。吸水前消毒をしない対照区では3ロット中1ロットで発眼卵の卵内から冷水病菌が検出された(検出率:23.3%)。吸水前消毒した試験区では4ロット全てで卵内感染は認められなかった。これらのことから,シロサケふ化場における事業規模の種苗生産において,吸水前消毒は冷水病菌の卵内感染の防除に有効であることが示された。
魚病研究,55(2), 42-45(2020)