ENGLISH


日本魚病学会事務局(2013年1月より)
〒162-0801
東京都新宿区山吹町358-5
アカデミーセンター
TEL:03-5937-5716
FAX:03-3368-2822
E-Mail:jsfp-post@bunken.co.jp
HOME > 魚病研究 > 第55巻 1号

第55巻 1号

三重県尾鷲湾の養殖ブリにおけるNocardia seriolaeの感染状況

加藤豪司・岡 謙佑・松本 萌・金丸素久・山本將人・佐野元彦
 尾鷲湾で飼育されているブリにおけるNocardia seriolaeの感染率を調査した。2017年5月,6月,7月,8月,11月および2018年1月に,ブリ当歳魚から鰓,血清および脾臓を採取した。血清中のN. seriolae特異抗体価は11月および1月に有意に上昇した。5月,7月,8月,11月,1月に取り上げた1~4尾の鰓や脾臓からはN. seriolaeの16SrRNA遺伝子がPCRにより検出されたが,いずれの組織からも菌は分離されなかった。また,抗ノカルジアウサギ血清を用いた蛍光免疫組織化学では,N. seriolae,と思われる長桿菌および短桿菌が試験に用いたすべての脾臓組織切片において検出された。これらのことから,尾鷲湾で養殖されていたブリは5月の時点ですでにN. seriolaeに感染しており,菌は魚体内でviable but non-culturable(VBNC)状態で保持されていた可能性が考えられる。
魚病研究,55(1), 1-7(2020)

微細構造観察と分子系統解析による北海道孵化場産サケ科魚類に寄生する腸管鞭毛虫Spironucleus salmonisの同定

水野伸也・浦和茂彦・勝又義友・森下 匠・伴 真俊
 北海道内孵化場のサケ稚魚及びサクラマス幼魚に腸管鞭毛虫が寄生していた。この鞭毛虫を正確に同定するために,微細構造観察と分子系統解析を行った。鞭毛虫はSpironucleus属に特徴的な核を有し,S. salmonisに種特異的なElectron dense bodyを持っていた。この鞭毛虫の微細構造について,サケとサクラマスの間に差違はなかった。両魚種から単離した鞭毛虫のSSUrRNA遺伝子断片は,全て同一の塩基配列を示した。この塩基配列は,比較した11種の腸管鞭毛虫のうち,S. salmonisの配列と最も高い相同性(99%)を示した。以上の結果から,北海道内孵化場のサケおよびサクラマスに寄生した腸管鞭毛虫はS. salmonisであることが確認された。
魚病研究,55(1), 8-17(2020)

日本および米国株Photobacterium damselae subsp. piscicida由来プラスミド DNA の構造比較解析

土谷晃史・西原 輝・佐伯あゆみ・輝 祐希・青木 宙・河野智哉・酒井正博・引間順一
 類結節症の原因菌であるP.damselae subsp. piscicidaPdp)は,日本および米国株における病原性の違いが知られている。本研究では日本および米国株のPdp由来プラスミドDNAの構造解析を行った。その結果,pOT51443-4とp91-197-1,pOT-51443-1とp91-197-2にそれぞれ相同性の高い領域が検出された。米国由来p91-197-1上の全ての遺伝子が日本株由来pOT-51443-4に認められたことから,米国株のプラスミドが日本株に伝播したものと考察された。また,pOT-51443-1とp91-197-2の相同領域に病原性因子であるリゾチーム阻害遺伝子(ivy)が存在していた。このことから,日本-米国株間におけるプラスミドを介しての病原性因子伝達の可能性が示唆された。
魚病研究,55(1), 18-21(2020)