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第54巻 4号

ファージディスプレイ法を利用した抗マダイイリドウイルス抗体M10のエピトープ決定

高野倫一・松山知正・河東康彦・坂井貴光・栗田 潤・松浦雄太・寺島祥子・中島員洋・中易千早
 マダイイリドウイルス病(RSIVD)の診断には,モノクローナル抗体M10(mAb M10)による間接蛍光抗体法が利用されている。このmAb M10に親和性を示す複数のファージクローンを,RSIVゲノムの全体を網羅したファージディスプレイライブラリーから選抜したところ,すべてのクローンにRSIVのlaminin-type epidermal growth factor-like domain(LEGFD)の遺伝子断片が挿入されていた。挿入断片の塩基配列から演繹したアミノ酸配列を基に,組換えタンパク質を調製し,ウエスタンブロット解析を行ったところ,EYDCPEYの7アミノ酸残基からなるペプチドがエピトープであることが分かった。LEGFDタンパク質は,RSIVに近縁なinfectious spleen and kidney necrosis virusおよびturbot reddish body iridovirusにも保存されていることから,mAb M10がMegalocytivirus属ウイルスを原因とする疾病の診断に広く利用できる可能性が示された。
魚病研究,54(4), 83-92(2020)

天然海産アユ仔稚魚にみられた腹口吸虫のメタセルカリア寄生

白樫 正・脇 司・小川和夫
 アユは両側回遊魚であり,養殖や遊漁の重要対象魚種である。和歌山県の沿岸海域で採取した天然仔魚と近隣河川の遡上稚魚に吸虫のメタセルカリア寄生が高率で見られた。メタセルカリアは主に鰭基部や尾鰭内部に寄生しており,最大で1尾あたり566虫体が確認された。魚体に目立った病変は認められず,宿主に対する病害性は低いと考えられた。遺伝子解析と形態観察の結果,本種は腹口吸虫(Bucephalidae)科Bucephalinae亜科Prosorhynchoides属の一種である可能性が示された。また遺伝子配列が一致するメタセルカリアがマサバとカタクチイワシからも見つかり,この腹口吸虫は海産種であることが明らかとなった。
魚病研究,54(4), 93-100(2020)

メラニン色素を持つ魚の全身透明化と内部構造可視化のための蛍光核染色

二見邦彦・古川緒恵・舞田正志・片桐孝之
 近年,我々はDAPI標識Aeromonas hydrophilaを感染させたワキンを組織透明化技術CUBICにより透明化し,病原体や病巣を3次元的に可視化できることを報告した。しかしながら,メラニンの有意な除去や,暗視野で組織の構造を視認することが課題として残された。本研究では,クロデメキンを過酸化水素の前処理によりメラニンを完全に透明化し,さらにヨウ化プロピジウムで染色することにより暗視野で組織の構造を可視化した。過酸化水素による前処理は,緑色蛍光タンパク質(GFP)の蛍光を消失させないことから,生体内GFPのイメージングへの適用に期待できる。
魚病研究,54(4), 101-103(2020)