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第54巻 3号

日本の養殖魚に問題となっている血清型II型Lactococcus garvieaeの疫学的研究

施 寅澤・西木一生・柳 宗悦・吉田照豊
 血清型II型のLactococcus garvieae(LGII型)による感染症は2012年に初めて確認されて以来,各地の養殖場に拡大し大きな被害をもたらしている。本研究ではLGII型の疫学的知見を得るため,2012年から2017年において8県の養殖場の4魚種(ブリ,カンパチ,ヒラマサ,シマアジ)から分離したLGII型161株について抗血清による凝集素価測定,バイアス正弦電場ゲル電気泳動(BSFGE)によるDNA多型解析および薬剤感受性試験を実施した。供試した全てのLGII型株はII型の抗血清に凝集したが,その内2株についてはIa型の抗血清にも凝集を示した。DNA多型解析では,遺伝的に類似したLGII型が養殖場に拡大していることが判明した。薬剤感受性試験の結果,2015年よりリンコマイシンに耐性化したLGII型が出現していた。
魚病研究,54(3), 51-57(2019)

リアルタイムPCRを用いた細菌性冷水病原因菌Flavobacterium psychrophilumのA,B遺伝子型迅速判別法の開発

井上 僚・高瀬智洋
 細菌性冷水病の原因菌であるFlavobacterium psychrophilumは,Peptidyl-prolyl cis-trans isomerase C(PPIC)遺伝子の多型によってA型およびB型の二つの遺伝子型に分けられる。この判別には,多型を含むPPIC部分領域をPCRにより増幅し,制限酵素断片長多型で判別する方法(PCR-RFLP)が現在主に用いられている。しかし,PCR-RFLPには煩雑な作業と長い時間を要するため,今回TaqManプローブ法による遺伝子型判別法を開発した。本法を用いて冷水病菌の遺伝子型判別を行った結果,PCR-RFLPによる結果と一致した。本法は従来法と比較し,大幅に時間を短縮できる。
魚病研究,54(3), 58-60(2019)

浸漬感染によるEdwardsiella ictaluriの河川生息魚種に対する病原性評価

竹内久登・中野大輝・岩垂真由・伴野竜次・今井俊宏・堀 一智・泉 宏明・難波亜紀・清水園子・中井敏博・間野伸宏
 浸漬法によりE. ictaluriに感染させた6種の河川生息魚(アユ,コイ,ウグイ,ニホンナマズ,ギバチおよびニホンウナギ)の死亡率を20°C,25°Cおよび30°Cの飼育水温下で比較した。20°Cではアユおよびニホンナマズにおいてのみ死亡魚がみられたのに対し,25°Cまたは30°Cではコイを除く全ての魚種において死亡魚が確認された。また,25°C以上ではアユ,ニホンナマズおよびギバチにおいては80%以上が死亡したことから,高水温期には多くの河川生息魚種がE. ictaluri感染症の発症リスクを有するものと考えられた。
魚病研究,54(3), 61-63(2019)

ブリの皮膚損傷はノカルジア症を助長する

三吉泰之・福田 穣・小川和夫
 ブリ皮膚の物理的損傷がN. serioaleの感染を助長することを確認するとともに,ハダムシの寄生がノカルジア症の病態に及ぼす影響について検討した。皮膚を人為的に損傷させたブリを 1.0 × 103 CFU/mLのN. serioaleで浸漬攻撃した場合,損傷区の生残率は非損傷区と比較して有意に低くなった。また,ハダムシの寄生を受けたブリを,淡水浴で駆虫した後に N. serioaleで浸漬攻撃して,ハダムシ寄生によって生じた皮膚損傷が細菌感染に与える影響を検討した結果,ハダムシ寄生を受けていた群の生残率は,非寄生群と比較して有意に低くなった。ブリの皮膚損傷および養殖場に常在するハダムシの寄生はN. serioaleの感染を助長する要因になることが示唆された。
魚病研究,54(3), 64-67(2019)