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第54巻 2号

日本産ブリ類由来Benedenia seriolaeのミトコンドリアゲノム全長配列を用いた系統解析

川戸 智・小林圭吾・白樫 正・柳 宗悦・福田 穣・山下浩史・野崎玲子・廣野育生・近藤秀裕
 ブリ類養殖の主要な疾病であるハダムシ症の防除策を講じるため,原因寄生虫であるBenedenia seriolaeのミトコンドリアゲノム(ミトゲノム)情報や遺伝マーカーを調べた。日本各地の養殖場で採取されたB. seriolae12個体のミトゲノム全長配列を解析した結果,日本産B. seriolaeは全体に99%の塩基同一率を示したものの,既報のオーストラリア由来のものとは85%に過ぎなかった。また,ミトゲノム上の遺伝子の位置関係も日本とオーストラリアで若干異なっていた。これは,B. seriolaeが分子レベルで分岐した複数集団からなることを示す。配列多型は日本産B. seriolaeのミトゲノム上に散在した。日本産B. seriolaeの分子系統樹は宿主や地理的分布を反映しなかった。
魚病研究,54(2), 27-33(2019)

原虫Perkinsus olseniの実験的攻撃によるアサリ初期稚貝の死亡

脇 司・良永知義
 Perkinsus olseniはアサリ稚貝に致死的な寄生性原虫である。しかし,筆者らが過去に行った野外調査では殻長2 mm以下のアサリ初期稚貝から感染が検出されなかった。その理由を明らかにするため,殻長0.3~1.0mmの初期稚貝を遊走子で攻撃し生残と寄生強度を調べた。その結果,攻撃区では9割の初期稚貝に感染が認められ,高率に死亡した。また,平均寄生強度が 106 細胞/g軟体部湿重量に達した時に死亡が始まった。このことから,初期稚貝は本虫に感受性をもち,高レベルの寄生において宿主は死亡することが示された。既報の野外実験の結果と合わせると,野外調査で初期稚貝から感染が見つからなかったのは,初期稚貝出現時には,水中の遊走子密度と稚貝のろ水率が感染に至るほど高くなかったためと推察された。
魚病研究,54(2), 34-36(2019)

細菌性冷水病原因菌Flavobacterium psychrophilumgyrB遺伝子を標的とした新しいPCR-RFLP

泉 庄太郎・新井 肇・鈴木究真・荒西太士
 F. psychrophilumのDNAジャイレースBサブユニット遺伝子領域(gyrB)に特異的なPCRプライマーと制限酵素Bsp119Iを用いて,新しいPCR-RFLPタイピング法を開発した。このPCR-RFLPによって,300株のF. psychrophilumは2つの遺伝子型(197株および103株)にタイピングでき,各遺伝子型は菌株の由来宿主魚と強い相関があった。また,既報の3つのPCR-RFLPを組み合わせることによって,これらの株はさらに12の遺伝子型に細分することができた。以上の結果から,このPCR-RFLPタイピングシステムは細菌性冷水病の疫学調査において有用なツールとなりうる。
魚病研究,54(2), 37-39(2019)