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第54巻 1号

ウグイ種苗にみられた吸虫性白内障

小松典彦・伊藤直樹・小川和夫
 2015年に長野県水産試験場佐久支場で生産したウグイの種苗に白内障が見られ,眼の水晶体にメタセルカリアが寄生していた。最も重篤な魚群では,メタセルカリアの寄生率および1 尾あたりの平均寄生数はそれぞれ100%および39.7個体であった。養殖池およびその注水路で採集したモノアラガイに尾部が二叉するセルカリアが認められた。得られたメタセルカリアおよびセルカリアのリボゾームおよびミトコンドリア遺伝子は相同性が極めて高く,本種の第一中間宿主はモノアラガイ,第二中間宿主はウグイであることが分かった。ただし,ミトコンドリア遺伝子が一致したDiplostomum 属種はおらず,種の同定には至らなかった。今回のDiplostomum 属吸虫による魚類の吸虫性白内障の発症例は,日本では2例目の報告である。
魚病研究,54(1), 1-11(2019)

中国で養殖されているカラドジョウに発生したレンサ球菌感染症

Z. Luo・X. H. Bai・Z. G. Zhang・S. Hao・W. P. Jia・ J. L. Liu・P. Shao・W. L. Zhou・S. M. Feng
 2017年,中国天津市で養殖されているカラドジョウに大量死を伴う感染症が発生した。瀕死のカラドジョウの症状として,躯幹部および頭部の出血,眼球突出,水面での異常遊泳が認められた。異なる2 養殖場のカラドジョウから異なる種類のグラム陽性細菌が分離された。これらの細菌は16S rRNA遺伝子の解析および性状試験から,それぞStreptococcus dysgalactiaeStreptococcusagalactiaeに同定された。これら2種類のレンサ球菌のカラドジョウに対する半数致死量は,それぞ3.2×105および 5.0×105CFU/fishであった。
魚病研究,54(1), 12-15(2019)

中国,チワンで養殖される交雑ハタ(アカマダラハタ♀×タマカイ♂)からの神経壊死症ウイルスの分離

Q. Yu・M. Liu・S. Wei・H. Xiao・S. Wu・X. Qin・D. Shi・S. Li・T. Wang・P. Li
 2018年8月,中国,チワンで養殖されるハタ類にウイルス性神経壊死症と疑われる疾病が発生した。病理組織学観察では病魚の脳に重度の空胞変性がみられた。ハタ脳由来EAGB 細胞を用いて病魚の脳と眼球のプール試料から神経壊死症ウイルスが分離された。このGNNV-Gx分離株はEAGB細胞において細胞質の空胞変性を特徴とするCPE を引き起こした。ウイルスコートタンパク質遺伝子配列はtiger grouper由来のウイルスと最も高い相同性を示した。この分離株はpH3と10および60°Cに感受性を示した。
魚病研究,54(1), 16-19(2019)

感染耐過ギンザケ体腔液からの赤血球封入体症候群(EIBS)原因ウイルスPiscine orthoreovirus 2 の検出

熊谷 明・高野倫一・松山知正・坂井貴光・野知里優希・本田 亮・菊田拓海・本庄美穂
 Piscine orthoreovirus 2(PRV-2)を病原体とするEIBSは,1986年以来日本のギンザケ養殖に大きな被害を与えている。EIBSを稚魚期に経験したギンザケ親魚30尾の体腔液をRT-PCRで検査したところ3 尾(10%)がPRV-2陽性であった。これらの30尾の体腔液をそれぞれ1 尾の健常ギンザケに腹腔注射し20日後に血液中のPRV-2をRT-PCRで検査した結果,11尾(37%)がPRV-2陽性になった。以上から,感染耐過親魚の体腔液中には感染力のあるPRV-2が含まれていることが示唆された。
魚病研究,54(1), 20-23(2019)