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第53巻 4号

キンギョにおけるヘルペスウイルス性造血器壊死症に対する耐病性の遺伝

田中深貴男・大力圭太郎・中島真結理・加藤豪司・坂本 崇・佐野元彦
 ヘルペスウイルス性造血器壊死症に耐過したキンギョの産出仔の耐病性は向上することが知られ,すでに耐病性の品種東錦系統が作出されている。本研究では,この耐病性品種を利用した交配による新たな耐病性品種の作出とその耐病性形質の遺伝について検討した。耐病性東錦と黒出目金の交配で得られたF1 は,原因ウイルスcyprinid herpesvirus 2の感染試験で耐病性を示したが,出目性が消失した。ウイルス感染による耐過F1 同士の交配によるF2 群から,さらに出目性の感染耐過F2 同士を交配させたF3 で耐病性を有する黒出目金を得ることができた。感染耐過F1 と黒出目金との戻し交配群も作出した。以上の交配群の感染死亡率から,本耐病性形質はメンデル性の優性遺伝パターンをとることが示唆された。
魚病研究,53(4), 117-123(2018)

ブリ属魚類のBenedenia seriolaeNeobenedenia girellae のPCR-RFLP法による種判別

小林圭吾・G. L. G. Khin・白樫 正・向井祐介・杉原志貴・柳 宗悦・廣野育生・近藤秀裕
 2種のハダムシB. seriolaeおよびN. girellaeのゲノムDNA中の 28S rRNAおよびミトコンドリアDNA中のCOX1 遺伝子配列を用いたPCR-RFLPによる種判別法を開発した。和歌山県,長崎県および鹿児島県のカンパチから採取したB. seriolaeおよびN. girellaeよりDNAを抽出し,PCRにより増幅した 28S rRNAおよびCOX1 遺伝子をそれぞれCla IおよびEcoR Iで消化した。どちらのPCR産物もB. seriolaeでは2本の断片に消化され,N. girellaeでは消化されなかった。形態的にN. girellaeと同定された一部の個体が,本手法によりB. seriolaeであると確認された。さらに,和歌山県で採取したN. girellaeのうち3個体は,28S rRNAにおいては3本の断片が生じ,COX1 は消化されなかった。この3個体は両種の交雑個体であることが示唆された。
魚病研究,53(4), 124-127(2018)

細菌性冷水病原因菌Flavobacterium pyschrophilumin vitroバイオフィルム形成

A. Papadopoulou・T. Wiklund
 細菌性冷水病原因菌Flavobacterium psychrophilumには,2種類の形態の異なるS型(smooth)およびR型(rough)集落 が知られている。2種類の異なる集落を形成する細菌のバイオフィルム形成において,栄養および環境因子の影響を静置培養条件で明らかにした。その結果,栄養豊富な培地において,S型集落を形成する細菌は,R型集落の細菌よりも高いバイオフィルム形成能を示した。またSおよびR型集落の細菌ともに,バイオフィルム形成はMg2+よりもCa2+の濃度に依存した。SおよびR型集落の細菌ともに栄養が少ない培地では,5日間の培養ではバイオフィルムを形成しなかった。
魚病研究,53(4), 128-131(2018)

カワウPhalacrocorax carboに寄生していた吸虫Clinostomum complanatum

巖城 隆・脇 司・荒川純平・小川和夫
 2018年2月に,愛知県のキンギョ養殖場の中で死亡していたカワウの口腔内から吸虫が検出された。形態観察および遺伝子解析により,吸虫はClinostomum complanatumと同定された。これは日本でのカワウのC. complanatum感染の初報告例である。さらに,養殖場のキンギョに寄生していたメタセルカリアも同種のものであることが判明した。この養殖場のキンギョのC. complanatum感染にカワウが関与していることが示唆された。
魚病研究,53(4), 132-135(2018)