ENGLISH


日本魚病学会事務局(2013年1月より)
〒162-0801
東京都新宿区山吹町358-5
アカデミーセンター
TEL:03-5937-5716
FAX:03-3368-2822
E-Mail:jsfp-post@bunken.co.jp
HOME > 魚病研究 > 第52巻 4号

第52巻 4号

豊後水道西部沿岸のブリ養殖場における住血吸虫の分布

福田 穣・宮村和良・日高悦久・木本圭輔・ 真田康広・朝井隆元・小川和夫
 1992~2001年に大分県海域で養殖されていた9,470尾(体重 0.4-9,150g)のブリを検査し,鰓血管内における住血吸虫の虫卵出現状況を解析した。虫卵陽性魚は最北部の臼杵湾を除く海域の養殖場で確認され,0歳魚で虫卵が見られるのは7月上旬以降であり,最小陽性個体は130gであった。一方,入津湾海域では,閉鎖的な湾奥で飼育されていた 200-250gまでの魚体には虫卵は確認されず,湾口に移された8月下旬以降に確認され,最小陽性個体は 296gであった。以上のことから,湾奥では吸虫の魚体への侵入がなかったと推定される。この湾奥では毎年夏季に,底層水の貧酸素化と溶存無機態窒素の増加,底泥の酸揮発性硫化物の増加が観測され,特殊な底層環境がブリ住血吸虫の中間宿主の棲息制限要因になっている可能性がある。
魚病研究,52(4), 191-197(2017)

Yersinia ruckeriに対する各種消毒剤の殺菌効果

山﨑雅俊・坂井貴光・伊東尚史・森 広一郎
 Yersinia ruckeriを原因細菌とするレッドマウス病は重要な疾病の一つである。本研究ではY. ruckeri ATCC29473株(2.8×108 CFU/mL)およびFPC1215 株(2.9×108CFU/mL)に対する11種類の消毒剤の効果を20°Cにおいて調べた。反応時間30秒における両菌株に対する消毒剤の最小殺菌濃度は,エタノールで40%,イソプロパノールで30%,ポビドンヨードで 4mg/L,次亜塩素酸ナトリウムで 1.25mg/L,ロンテクトで1:15,000,アセサイドで1:3,840,ヒビテンで1:100,オスバンで1:1,000 およびハイアミンで1:1,000であった。一方,Y. ruckeriに対するクレゾール石鹸液およびパイセスの消毒効果は確認されなかった。
魚病研究,52(4), 198-201(2017

韓国内のアサリにおける種特異PCRを用いたPerkinsusの調査

H.-S. Kang・H.-S. Yang・K. S. Reece・Y.-G. Cho・ H.-M. Lee・C.-W. Kim・K.-S. Choi
 ITS領域を標的としてPerkinsus olseniならびにP. honshuensisに種特異的なPCR法を開発し,この方法とRay's fluid thioglycollate medium(RFTM)法を併用してアサリに寄生するPerkinsusの寄生状況を韓国の26地点で調べた。RFTM法では,寄生率97.3%,エラ1gあたりの平均寄生強度は2.2×104から6.8×106細胞であった。種特異PCRではP. olseniのみの寄生が認められ,P. honshuensisは検出されなかった。さらに調査を進める必要はあるものの,韓国のアサリにおけるパーキンサス症の主な原因生物はP. olseniであることが示された.
魚病研究,52(4), 202-205(2017)

種苗生産されたオニオコゼで発生したマダイイリドウイルス病

河東康彦・桐生郁也・川村芳浩・中島員洋
 種苗生産中のオニオコゼInimicus japonicus(魚体重約2g)でマダイイリドウイルス病(RSIVD)が発生した。病理組織検査ではRSIVDに特徴的な肥大細胞が鰓,腎臓,脾臓,肝臓,頭部の結合組織,心臓,消化管といったほぼ全身の組織にみられた。死亡魚からは脾臓と腎臓のプール1mgあたり,106.1-8.9コピーのマダイイリドウイルス(RSIV)ゲノムが検出され,分離ウイルスのMCP遺伝子(1,362bp)の塩基配列は,国内で報告されているウイルス分離株の配列と一致した。分離ウイルスを腹腔内接種(102.3TCID50/fish)したオニオコゼは接種後16日間で全て死亡し,死亡魚の腎臓1mgあたり106.9-9.2コピーのRSIVゲノムが検出された。本症例はオニオコゼにおけるRSIVDの初報告である。
魚病研究,52(4), 206-209(2017)

RSIVを用いたイシダイの低温浸漬免疫

呉 昭映・桂 賢貞・呉 明柱・西澤豊彦
 イシダイをRoBE-4細胞で培養したRSIV懸濁液(105.8, 103.8, 101.8 TCID50/mL)およびL15培地希釈液に17°Cで30分間浸漬した。その後,自然水温(上昇温度:約0.1°C/日)で80日間飼育したところ,各々の累積死亡率は30.8%,22.5%,6.7%および5.8%であった。生残魚を26°Cで飼育し,異なる濃度のRSIV(101.8あるいは100.8TCID50/尾)を筋肉内接種した。その結果,105.8TCID50/mL浸漬生残魚では死亡は認められず,また103.8TCID50/mL浸漬生残魚の死亡率は10%以下であった。これに対し,101.8TCID50/mL浸漬生残魚および実験対照区の魚は,RSIVの攻撃量にかかわらず全て死亡した。以上の結果から,イシダイを103.8TCID50/mL以上のRSIV懸濁液に17°Cで30分間浸漬することで,RSIVに対する強い免疫をイシダイが獲得すると考えられた。これは,生ウイルスを用いた魚類低温浸漬免疫法の可能性を示す。
魚病研究,52(4), 210-213(2017)