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第52巻 3号

トラフグに寄生する住血吸虫の分類学的検討

小川和夫・S. Liu
 トラフグに寄生するセッタリウム属住血吸虫の形態を記載し,分類を整理した。中国から輸入され,国内で養殖されていたトラフグ寄生のPsettarium sp. TPCをタキフグ寄生のP. sinenseのシノニムとし,若狭湾の蓄養トラフグ寄生のPsettarium sp. TPJを新種P. wakasaenseとした。Yamaguti(1938)が上海沖のトラフグから得たP. japonicumは新種P. yamagutiiとして再記載した。P. wakasaense とP. yamagutiiはいずれもP. sinenseに形態が最も近いが,P. wakasaenseはより大型で,体後半部に明瞭な突起を欠くこと,P. yamagutiiは卵巣が右側に偏在すること,子宮が卵巣前端レベルまで分布すること等で,いずれもP. sinenseと区別された。以上のことから,トラフグには3種のセッタリウムが寄生することが明らかとなった。
魚病研究,52(3), 131-140(2017)

高知県鏡川におけるアユ細菌性冷水病の疫学調査

今城雅之・山﨑憲一・山下はづき・門野真弥
片岡榮彦・大崎靖夫・高橋 徹
 鏡川の天然アユ,ダム湖産アユ,放流アユを対象にして,TaqMan-PCR法で冷水病菌の感染状況を調査した。本菌陽性となった外見上正常なアユの割合は鏡ダム下流の天然アユと放流アユ間,上流のダム湖産アユと放流アユ間でともに明確な差はなかったが,冷水病で死亡したアユのほとんどは放流アユであった。発症アユも含めて,それらのアユで検出された冷水病菌は主にA/G-C型と判別された。鏡ダム上流において2地点でアユ漁解禁前の6月に保菌アユが確認され,そのうち1地点のアユでのみ2年間A/G-T型が検出されたことから,冷水病菌の周年定着が疑われた。産卵期にダム上流の産卵場で採水された河川水から高コピー数のPPIC遺伝子が検出されたことから,仔稚魚期のダム湖産アユが河川水中の冷水病菌に感染して保菌状態になる可能性が示唆された。
魚病研究,52(3), 141-151(2017)

日本産と韓国産ヒラメ由来のナナホシクドアの形態学的・遺伝学的比較

横山 博・米加田 徹・佐藤 純
西岡豊弘・森 広一郎
 日本産ヒラメ19尾と韓国産ヒラメ9尾,合計28尾のヒラメ由来のナナホシクドア(Kudoa septempunctata)について,形態学的,遺伝学的に比較した。形態学的には,いずれの株も6極嚢の比率が最も高かった(32%~86%)が,7極嚢の比率においては日本株で平均 2%(0%~15%),韓国株で44%(12%~61%)と顕著な差があり,産地判別の簡便な指標として応用できる可能性が示された。また,複数株のナナホシクドアの遺伝子解析により,ミトコンドリアDNAの塩基配列に株の識別に有効な変異が認められ,PCR-RFLP法により4つのタイプに区別できることが明らかとなった。これらの形態学的・分子生物学的指標は,ナナホシクドアの日本と韓国の株を識別するために有用であると考えられる。
魚病研究,52(3), 152-157(2017)