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第52巻 1号

トラフグ腫瘍壊死因子α誘導タンパク質遺伝子(TNFAIP3/A20)の発現解析

引間順一・森田美咲・木下峻介・M. Basu
G. Biswas・河野智哉・酒井正博
 腫瘍壊死因子α(TNF-α)誘導タンパク質(TNFAIP3/A20)はTNF-αにより誘導される免疫機構において重要な脱ユビキチン化酵素であり,哺乳類ではウイルスや細菌感染時の自然免疫応答を制御するために重要な因子である。本研究でクローン化したトラフグA20 遺伝子の全長は 6,229 bpで9エキソン・8イントロンであった。またORFは 2,394 bpで797アミノ酸残基をコードしていた。7つのzinc-finger(Zf)ドメインを含む領域におけるイントロン分断箇所がヒトのものとは異なっていた。A20 遺伝子の発現は,胸腺,頭腎および脾臓において高いことが確認された。また,LPS,polyI:Cおよびイミキモドで刺激した頭腎および脾臓細胞において,TNF-α遺伝子発現の後でA20 遺伝子の発現が誘導された。
魚病研究,52(1), 15-22(2017)

DNA親子鑑定を用いたマダイ親魚のRSIVD耐性形質の評価

澤山英太郎・高木基裕
 本研究では,同一の種苗生産ロットを用い,マダイイリドウイルス病(RSIVD)による大量死が見られた漁場Aと見られなかった漁場Bのマダイの家系組成をDNA親子鑑定により調べた。両漁場におけるマダイ種苗の生残率は漁場AとBでそれぞれ86.4%と20.5%であった。8個のマイクロサテライトDNAマーカーを用いた親子鑑定により,漁場AとBでそれぞれ93.4%と90.5%の個体について親子関係を特定することができた。両漁場の各家系の生残率を推定して比較したところ,1個体のオス親魚が関与した家系の生残率は82.3%と高い値を示した。また,1個体のメス親魚が関与した家系についても高い生残率を示した。以上より,一部の親魚はRSIVDに対して高い耐性を持っており,このような親魚の使用は耐性系統の構築に有効であることが示唆された。
魚病研究,52(1), 23-30(2017)

マレーシア孵化場のノコギリガザミ卵および幼生から分離された新種Haliphthoros sabahensis

Y. N. Lee・畑井喜司雄・倉田 修
 2014年7月,マレーシアサバ州の孵化場においてノコギリガザミの卵および幼生の大量死が起き,幼生の死亡率は孵化後5日間で100%近くに達した。我々は,死亡卵および死亡幼生から病原性卵菌類を分離し,無作為に選択した代表株を詳細に検討した。分離菌はHaliphthoros属の特徴であるフラグメントを菌糸内に形成した。その形態学的特徴はH. milfordensisに類似したが,ITS1 領域のDNA分子系統解析から,本株はH. milfordensisとは別にHaliphthoros sp. group 2 と同一のクラスターを形成した。よって,本株はHaliphthoros属の新種であると判断し,H. sabahensisと命名した。本菌は,絶対海生菌であり,pH 4-9 の範囲で成長し,25-30°Cの最適発育温度を持ち,アルテミアのノープリウス幼生に対して病原性を有していた。
魚病研究,52(1), 31-37(2017)

フィリピンの養殖バナメイエビにおける急性肝膵臓壊死病V. parahaemolyticusとホワイトスポット病ウイルスの混合感染

L. D. de la Peña・N. A. R. Cabillon・E. C. Amar
D. D. Catedral・R. C. Usero・J. P. Faisan, Jr.
J. I. Arboleda・W. D. Monotilla・A. T. Calpe
D. D. G. Fernandez・C. P. Saloma
 フィリピンの養殖バナメイエビで60%に及ぶ死亡が見られた。病理組織学検査では,ホワイトスポット病には見られない肝膵臓細管上皮細胞の脱落などの典型的な急性肝膵臓壊死病(AHPND)の所見を示した。AHPNDの原因細菌Vibrio parahaemolyticus の特異PCRでは,検査した8つすべての養殖池から採取したエビが陽性を示した。同じエビ試料をWSSV,IHHNV,IMNVおよびTSVのPCR検査に供したところ,6つの養殖池のエビからWSSVが検出された。これらの結果は,養殖エビがAHPND V. parahaemolyticusとWSSVに混合感染していることを示している。
魚病研究,52(1), 38-41(2017)

SMART法(Selective Medium-design Algorithm Restricted by Two Constraints)によるニホンウナギ由来Edwardsiella tardaの選択培地の設計

山本 淳・北野 弘・荒木亨介
 植物病原細菌の選択培地設計のためのアルゴリズム(SMART法)が開発された。本研究では,ニホンウナギ病魚由来E. tardaの選択培地の設計にSMART法を応用した。ニホンウナギ病魚由来E. tardaと他病原体の混合液を設計したSMART培地に接種したところ,選択的にE. tardaのみが増殖した。また,ニホンウナギ病魚から直接E. tardaをSMART培地で分離することもできた。しかしながら,ウナギ腸内容物由来,テラピア病魚由来およびほとんどの海産魚由来のE. tarda株は増殖しなかった。以上の結果より,SMART培地はニホンウナギ病魚からのE. tardaの選択的分離に使用することができた。
魚病研究,52(1), 42-45(2017)

PCRを用いたブリおよびカンパチ由来Lactococcus garvieae(血清型II型)の同定

大林和哉・追中大作・T. D. Hoai
吉田照豊・西木一生
 近年,血清型II型に分類されるLactococcus garvieaeの被害がブリおよびカンパチ養殖場において拡大している。L. garvieae II型は従来型のL. garvieae I型と形態学的・生化学的性状では区別できない。そのため,診断現場において混乱があり,II型の迅速な同定技術の開発が必要となっている。本研究では,II型とI型を区別することを目的としてglxR-argS遺伝子間を標的にしたプライマーを設計し,PCRによる識別を試みた。PCRの結果,II型からは 1,285 bp,I型からは 285 bpの増幅産物が得られた。本研究で設計したプライマーを用いることで両者を簡便に区別することが可能となった。
魚病研究,52(1), 46-49(2017)