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第51巻 3号

高知県野見湾におけるCryptocaryon irritansのTaqManリアルタイムPCR検出と分子系統解析

城雅之・森光一幸・助田将樹・梅﨑拓也・門野真弥
合田 暉・久保栄作・大嶋俊一郎
 高知県野見湾のC. irritansの分布と動態を,5.8S rRNAのTaqManリアルタイムPCRにより調べた。10月に行った20時間の連続測定では,午前4時に最も高いコピー数が得られた。10月上旬と11月下旬に湾口部の漁場のカンパチ生簀で海産白点病が発生したが,この間,被害のあった生簀近傍では,5.8S rRNA遺伝子の平均コピー数から,4,465~6,590虫体/Lの存在が推定された。また,湾奥部に位置する別の漁場でも同程度のコピー数が11月20日と12月16日に検出され,底泥における 5.8S rRNA遺伝子の検出頻度は同漁場で最も高くなり,シストの分布は潮流の影響を受けていると推測された。18S rRNA-ITS1 領域の分子系統解析から,感染漁場のC. irritansは中国分離株を主とするグループに属しており,カンパチ種苗の輸入に伴う中国南部からの持ち込みが疑われた。
魚病研究,51(3), 103-111(2016)

Cryptocaryon irritansの核の発達および宿主細胞の摂食・消化

渡邊勇歩・西田早予子・善家孝介・H. K. Hui
伊藤直樹・良永知義
 海産白点虫Cryptocaryon irritansの寄生期およびシスト期における核の発達,宿主細胞組織の取り込みなどを,組織切片染色,虫体全体の染色,宿主の 18S rRNA遺伝子を標的としたin situハイブリダイゼーションで検討した。その結果,寄生期には核はほとんど発達せず,変性した宿主細胞が虫体内に多数確認された。細胞分裂開始以前のシスト内では,核が伸長した後に大型の核が構成され,かつ,宿主細胞が徐々に消失した。このことから,寄生期虫体は宿主細胞を取り込み,シスト期に核内DNAの合成と宿主細胞の消化を行った後に細胞分裂を開始することが示された。また,宿主細胞の取り込みや蓄積には宿主細胞のアポトーシスが関与している可能性も示された。
魚病研究,51(3), 112-120(2016)

天然アユ稚魚からの異型細胞性鰓病原因ウイルス(PaPV)のPCRによる検出

中山仁志・宇野悦央・葦澤崇博・三輪 理
 アユ稚魚及び混獲されたマイワシの一部から,アユ異型細胞性鰓病の原因となるPaPVがPCRによって検出された。淡水域で採捕されたアユ仔魚からは本ウイルスは検出されなかった。また,PaPVが検出されたアユの鰓組織を病理組織学的に観察しても,異型細胞性鰓病に特徴的な症状は観察できなかった。PaPVが検出されたアユ稚魚集団を淡水飼育したところ,ウイルスの検出率は徐々に低下し,40日でウイルスが検出されなくなった。
魚病研究,51(3), 121-124(2016)

等脚類Caecognathia coralliophilaに対するホルマリン,トリクロルホン,過酸化水素および硫酸銅の抗寄生虫効果

C. Y. Thing・J. Ransangan・畑井喜司雄
 C. coralliophilaはtiger grouper Epinephelus fuscoguttatusの病原性外部寄生虫であることが知られている。本論文では,C. coralliophila幼生の生存性に対するホルマリン,トリクロルホン,過酸化水素および硫酸銅の効果をin vitroで検討した。様々な濃度の供試薬剤に,10,20,30,60分ないし24時間幼生を曝露した。トリクロルホンは 0.2 ppmの濃度で24時間以内に寄生虫を殺したことから,最も高い効果を示すと判断された。さらに,トリクロルホンのtiger grouperに対する毒性を検討するために,供試魚を 0.2 ppmで24時間ないし 3.2 ppmで60分間曝露した。その結果,死亡する供試魚は観察されなかった。以上の結果より,tiger grouperに寄生するC. coralliophilaの処置には,トリクロルホンが有効であると考えられた。
魚病研究,51(3), 125-127(2016)

Kudoa yasunagai防除のための用水への紫外線必要照射量の検討

申 相弼・西村知代・小川和夫・白樫 正
 海産魚の脳に寄生する粘液胞子虫Kudoa yasunagaiの陸上施設における防除には飼育用水の紫外線処理が有効であることが示されている。防除に必要な最低照射量を検討するため,0,5,15,30 mJ/cm2 の紫外線処理を施した用水でヒラマサ稚魚を約7週間飼育して,脳における本虫の寄生状況を比較した。無処理区では開始3週目から検鏡,PCRで寄生が確認され,6週目には寄生率45%に達した。一方,5 mJ/cm2 区では寄生は見られたものの,寄生率は10%を超えず,脳内の胞子数も少ない傾向にあり,ある程度の寄生抑制効果が認められた。照射量 15 mJ/cm2 以上の試験区では寄生は見られず,本虫の防除に必要な最低照射量は 5 mJ/cm2 以上,15 mJ/cm2 以下であることが示された
魚病研究,51(3), 128-131(2016)