ENGLISH


日本魚病学会事務局(2013年1月より)
〒162-0801
東京都新宿区山吹町358-5
アカデミーセンター
TEL:03-5937-5716
FAX:03-3368-2822
E-Mail:jsfp-post@bunken.co.jp
HOME > 魚病研究 > 第51巻 2号

第51巻 2号

キセノハリオチス症原因菌Candidatus Xenohaliotis californiensisのHaliotis属アワビに対する病原性

西岡豊弘・釜石 隆・栗田 潤・米加田 徹
桐生郁也・湯浅 啓・嶋原佳子・兵藤潤子
龍 岳比呂・高瀬智洋・内村祐之
乙竹 充・大迫典久
 アワビ類から検出されたキセノハリオチス症原因菌(WS-RLO)の 16S rRNA遺伝子の部分塩基配列(113 bp, n=335)を決定して比較した結果,クロアワビ,エゾアワビ,メガイアワビ由来の菌は全て既報の北米産スルスミアワビ由来の配列と100%一致したが,トコブシとフクトコブシ由来の菌には全て1塩基置換があった。自然感染フクトコブシとクロアワビを感染源として用いた同居感染試験の結果,フクトコブシ由来の菌はクロアワビとメガイアワビに対して,クロアワビ由来の菌はフクトコブシに対してそれぞれ感染が認められなかった。WS-RLOには宿主範囲の異なる2つのタイプが存在することが示唆された。
魚病研究,51(2), 54-59(2016)

Oncorhynchus masou virusニジマス由来株のサケ科およびコイ科魚類に対する病原性

池本恵祐・吉水 守・降幡 充
小原昌和・笠井久会
 ニジマス由来OMV RtNa-0010株のサケ科魚類および淡水魚に対する病原性を明らかにするため,OMV標準株OO-7812(サクラマス由来)を比較対照として感染試験を行った。100 TCID50/mL,60分の浸漬攻撃の結果,OO-7812株とRtNa-0010株によるニジマスの死亡数はそれぞれ51尾中3尾および51尾となった。RtNa-0010株103 TCID50/fishの腹腔内接種でニジマスおよびシナノユキマスCoregonus lavaretus maraenaの累積死亡率は85%および10%であった。しかしアマゴ,イワナ,ブラウントラウト,信州サーモン(ニジマスとブラウントラウトの交配品種),コイ,フナ,ウグイでは死亡は観察されなかった。OMVに感受性を示す魚種は現時点ではOncorhynchus属とCoregonus属となった。
魚病研究,51(2), 60-63(2016)

天然ニホンウナギ親魚からのJapanese eel endothelial cells-infecting virus(JEECV)の検出

寺島(岡崎)祥子・黒木洋明・張 成年・山本敏博
松谷紀明・井尻成保・望岡典隆・土赤 忍
直井祐樹・佐野 芳・大松 勉・小野信一
桑田 博・水谷哲也
 JEECVは,鰻養殖で被害が大きいウイルス性血管内皮壊死症の原因である。我々は日本近海のニホンウナギにJEECVが感染していることを明らかにしたが,産卵場の親魚では不明である。そこで,本研究では2013年に西マリアナ海嶺南部海域の産卵場で採捕した親魚5尾の鰓,肝臓および腎臓を対象に分子生物学的手法を用いてJEECV感染を調査した。その結果,雌1尾の鰓からJEECVのpolyomavirus large T like protein遺伝子が検出された。その推定アミノ酸配列は河口や汽水域に生息するニホンウナギから検出されたJEECVと同一であったが,養殖場で分離された株とは1アミノ酸異なっていた。今回の結果は産卵場の親魚の病原体保有状況を明らかにした初めての報告である。
魚病研究,51(2), 64-66(2016)

コノシロ病魚から分離されたVibrio harveyiの性状

永井崇裕
 2007年秋に広島市の太田川河口域で大量死亡したコノシロの死因を細菌学的に検討した。瀕死のコノシロの腎臓や脳から短桿菌が純培養状に分離された。分離菌の生理・生化学的性状および一部の塩基配列の解析から,分離菌はV. harveyiに同定された。V. harveyiは魚介類病原菌として数多くの記載があるが,コノシロからは初めての分離例である。分離菌のアユ,アマゴおよびマダイに対する病原性を腹腔内注射感染で調べたところ,アユやアマゴでは 6.8×102 CFU/fish接種で病原性が確認された。一方,マダイに対する病原性はアユやアマゴよりもかなり低かった。瀕死魚から魚類に病原性を持つV. harveyiが分離されたことから,コノシロの大量死の一因として本菌の感染が示唆された。
魚病研究,51(2), 67-69(2016)