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第51巻 1号

養殖カンパチで発生しているVibrio harveyi感染症

南 隆之・岩田一夫・嶋原佳子・湯浅 啓
 市販のJ-O-3 型ビブリオ病ワクチンを投与した養殖カンパチで頭部上皮組織の剥離,尾鰭の欠損,腹水貯留および眼球炎などビブリオ病に似た症状を呈する疾病が発生した。分離細菌は,V. harveyiに特異的な PCRに陽性を示した。また,topAmreBとの塩基配列を連結して系統樹を作成したところ,V. harveyiに同定された。分離細菌は感染試験により,カンパチに病原性が確認された。分離株を用いたホルマリン不活化菌体でカンパチを免疫して攻撃実験を行った結果,対照区と比べ免疫区は有意に死亡率が低かった。カンパチで確認されたV. harveyi感染症はホルマリン不活化菌体の免疫で予防できる可能性が示された。
魚病研究,51(1), 1-7(2016)

野生メダカに見出された嚢胞に関する病理組織学的所見

西槇俊之・勝村啓史・尾田正二
小賀厚徳・小川元之・太田博樹
 ヒトにおいてみられる疾患と同様もしくは類似の疾患をモデル生物において探索し,その発症メカニズムを明らかにすることによってヒト疾患治療のための基礎研究となす試みが広く行われている。メダカはそのような疾患研究に活用されるモデル生物の一つであるが,メダカ自体の疾患に関する組織学的な報告例が限られているのが現状である。本研究では,ヒトにおいて頻繁にみられる嚢胞がメダカにおいても広くみられる疾患であるか検討した。メダカの体躯が小型であることを活かしてメダカ成魚の全身組織連続切片を作製し,全組織において病理組織学的に嚢胞の有無を探索した結果,嚢胞と考えられる組織病変をメダカ精巣および卵巣に高頻度に見出したのでここに報告する。
魚病研究,51(1), 8-14(2016)

コイヘルペスウイルスエンベロープタンパク質pORF132に対するモノクローナル抗体の作出

Z. Liu・L. Hao・Y. Ma・Z. Liang・J. Ma・H. Ke
 コイヘルペスウイルス(KHV = CyHV-3)のエンベロープタンパク質をコードするORF132遺伝子を発現ベクターにクローニングして,マウスモノクローナル抗体の作出を試みた。ORF132の一部の配列を欠損させることにより,大腸菌での発現が確認できた。発現タンパク質をマウスに免疫し,常法により2つのハイブリドーマを得た。その内,モノクローナル抗体4E11は,KHV感染細胞に反応したが,魚類ヘルペスウイルスであるキンギョ造血器壊死症ウイルス(CyHV-2)およびchannel catfish virusの感染細胞には反応せず,その特異性が確認された。4E11および抗KHVニワトリIgYを用いた抗原捕捉のためのサンドイッチELISAは,KHV感染コイ臓器磨砕液からウイルスを検出でき,診断等への応用が可能と考えられた。
魚病研究,51(1), 15-22(2016)

ヒラメの筋肉寄生粘液胞子虫ナナホシクドアの砂ろ過と紫外線照射による感染防除効果

西岡豊弘・佐藤 純・米加田 徹・森 広一郎
太田健吾・森岡泰三・呂 明媚
横山 博・良永知義
 食中毒の原因となるヒラメ寄生ナナホシクドアKudoa septempunctataの感染を種苗生産場で防除するため,飼育用水処理法について検討した。本虫の感染が流行している種苗生産場において,用水を砂ろ過,砂ろ過後に 5 μmのカートリッジフィルターでろ過,または砂ろ過後に紫外線(46 mJ/cm2)照射して未感染ヒラメを飼育した結果,生海水区では3ヵ月後に寄生率33%で感染していることが確認されたが,用水処理区ではすべて 0%であった。また紫外線照射は単独でも感染防除効果が認められた。完全に防除するためには,ヒラメ種苗生産場における飼育用水処理法として砂ろ過と紫外線による二重処理が推奨される。
魚病研究,51(1), 23-27(2016)

ベトナムにおけるコイヘルペスウイルスの初検出

R. Mayrhofer・J. Pucher・M. Saleh
S. Menanteau-Ledouble・S. Bergmann
U. Focken・M. El-Matbouli
 2010年ベトナム北部の種苗生産施設においてコイの大量死が報告された。さらに,翌年にはこの種苗生産施設から稚魚が供給された同地域の養殖池で大量死が発生した。これらの病魚からPCRによってコイヘルペスウイルス(CyHV-3)が検出され,増幅されたチミジンキナーゼ遺伝子のDNA塩基配列は,既知配列と99%一致した。DNAの遺伝子型を調べたところ,アジア型とヨーロッパ型両方の配列(I++/II)を持つウイルスであることが分かった。以上より,両年のコイの大量死はコイヘルペスウイルスによるものと考えられた。これはベトナムでのコイヘルペスウイルスの初報告である。
魚病研究,51(1), 28-31(2016)

海産5魚種におけるマダイイリドウイルス病に対する受動免疫の効果

松山知正・南 隆之・福田 穣・佐野菜採
坂井貴光・高野倫一・中易千早
 マダイイリドウイルス(RSIV)病の感染防御における血清抗体の関与を検討するために,マダイ,ブリ,ヒラマサ,カンパチおよびイシダイについて受動免疫試験を行った。感染を耐過した個体群の血清を予め腹腔内に接種した試験区では,イシダイを除く全ての魚種で未感作な個体群の血清を接種した試験区と比較して有意に死亡率が低下した。ブリでは耐過魚血清から精製した抗体を接種した試験区でも有意に死亡率が低下した。ワクチンを投与した個体群の血清を接種した試験区では,ヒラマサとイシダイを除いて,有意に死亡率が低下あるいは生存時間が延長した。マダイとブリ類では, RSIV病に対する感染防御に血清抗体が関与する。
魚病研究,51(1), 32-35(2016)