ENGLISH


日本魚病学会事務局(2013年1月より)
〒162-0801
東京都新宿区山吹町358-5
アカデミーセンター
TEL:03-5937-5716
FAX:03-3368-2822
E-Mail:jsfp-post@bunken.co.jp
HOME > 魚病研究 > 第50巻 4号

第50巻 4号

養殖ブリに寄生する新種の住血吸虫Paradeontacylix buriおよびヒラマサの未同定Paradeontacylix sp.

小川和夫・秋山孝介・D. Grabner
 三重県と大分県産の養殖ブリの入鰓動脈に寄生していた住血吸虫を新種Paradeontacylix buriとして記載した。本新種は体棘が体後端部でも大型化しないこと,卵形成腔から出た子宮が前方へ向かうこと等で同属他種と形態的に区別された。ITS2 と 28S rRNA遺伝子領域の塩基配列を連結して系統樹を作成したところ,本新種は,体棘が後端部で大型化するParadeontacylix属の他種と同一群に配置されたことから,棘の大型化は同属に共通する形態的特徴ではないことが示された。あわせて,棘が大型化せず,子宮が卵形成腔から下方へ向かう類似の住血吸虫を大分県の養殖ヒラマサから得て形態を記載したが,1虫体のみであったため,Paradeontacylixの未同定種にとどめた。
魚病研究,50(4), 183-191(2015)

Streptococcus parauberisの莢膜合成遺伝子座の構造

塗 伝灯・菅 向志郎・金井欣也
 ヒラメレンサ球菌症の原因菌Streptococcus parauberisには2つの血清型(I,II)と3つの亜血清型(Ia,Ib,Ic)が知られている。本研究では血清型に関係する莢膜多糖の合成に関与するゲノムDNA上の遺伝子座を解明し,各血清型間で比較した。その結果,3タイプの莢膜合成遺伝子座(Ia型タイプ,Ib/Ic型タイプ,II型タイプ)が確認された。遺伝子座の構造から,本菌の莢膜多糖はWzy-dependent pathwayで合成されると考えられた。IbとIcは同じ構造であったが,1塩基置換が数か所と一部の株にISエレメントの挿入が認められた。I,II型どちらの抗血清にも凝集する非特異凝集株はIb/Ic型タイプあるいはII型タイプの構造を有し,同様に数か所に1塩基置換が認められた。
魚病研究,50(4), 192-199(2015)

抗KG-型血清非凝集性Lactococcus garvieaeのブリ類に対する病原性と免疫原性

福田 穣・津江佑哉・追中大作・和田善信
山下亜純・浦崎慎太郎・吉岡宗祐
木本圭輔・吉田照豊
 2012年以降,診断用の抗KG-型ウサギ血清に凝集しないLactococcus garvieae(非凝集性株)が,養殖場のブリとカンパチ病魚から分離されている。これら魚種への非凝集性株の病原性が感染実験で確認された。そこで,抗KG-型血清凝集株(従来型株)および非凝集性株のホルマリン不活化菌体(FKC)でブリを免疫し,交差防御効果を検討した。その結果,両免疫原は共に同型株の攻撃に対して高い予防効果を示したものの,従来型株FKCによる免疫は非凝集性株に対して効果が不十分であり,非凝集性株FKCによる免疫は従来型株に対して全く効果を示さなかった。非凝集性株は,日本の海産魚類における新しい血清型の病原性L. garvieaeである。
魚病研究,50(4), 200-206(2015)

高塩濃度培養下でのEdwardsiella tarda線毛の発現

I. Istiqomah・河東康彦・M. M. Mahmoud
奥田 潤・安池元重・中村洋路・藤原篤志
佐廣浩一・定金正洋・中井敏博
 本研究では,病魚から分離されたE. tardaの定型株(運動性)と非定型株(非運動性)を用いた。これらの株を3% NaCl添加培地(高塩濃度培地)で培養すると,0-2% NaCl添加培地(低塩濃度培地)に比べて増殖性が低下したが,赤血球凝集活性が上昇した。電顕観察の結果,高塩濃度培地で培養した菌体には低塩濃度培地でのものには認められなかった直径約 4 nmの線毛が両株に認められた。E. tardaの線毛遺伝子etfA(major fimbrial subunit gene)の発現をみたところ,いずれの株でも低塩濃度培地に比べ高塩濃度培地での培養において有意に高かった。以上のことから,高塩濃度培地での培養により発現する線毛と本菌の付着性との関係が示唆された。
魚病研究,50(4), 207-212(2015)

Streptococcus parauberisの血清型を識別するマルチプレックスPCR法

塗 伝灯・菅 向志郎・金井欣也
 S. parauberisのIa型,Ib/Ic型およびII型に特異的な莢膜合成遺伝子(wzy)の塩基配列からプライマーを設計し,本菌の血清型を識別するマルチプレックスPCR法を開発した。ヒラメ由来S. parauberis 188株について本法を実施したところ,ウサギ抗血清を用いたスライド凝集試験による血清型の判定と一致する成績が得られた。I,II型両抗血清に凝集するために血清型が判定できなかった非特異凝集株もIb/Ic型かII型に判別することができた。ウシ由来S. parauberisを含む他のレンサ球菌や主要魚病細菌は反応しなかった。
魚病研究,50(4), 213-215(2015)