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第50巻 3号

琵琶湖産アユにおける冷水病菌の疫学的研究

山本充孝・菅原和宏・遠藤 誠
石丸克也・家戸敬太郎
琵琶湖産アユにおける冷水病菌の保菌状況を把握するために,1998年から2011年に湖岸(エリ,刺網),沖合(沖すくい網)および河川(ヤナ)で漁獲されたアユ(12,743個体)を用いた疫学調査をnested-PCR法で実施した。冷水病菌の保菌率は,菌の増殖至適温度である水温18-21℃の時期に高かった。また,刺網や沖すくい網により漁獲された直後の群に比べて,エリおよびヤナで漁獲された後飼育された群で高かった。このことから,冷水病菌の保菌率は,天然水域では低いものの,菌の適水温条件となる時期に網生け簀や畜養池などの人為的環境下において高密度で畜養されることにより高まるものと考えられた。冷水病菌の蔓延防止に向けて,これらの実態に応じた対策が必要である。
魚病研究,50(3), 97-104(2015)

中間宿主Terebella sp. 内でのクロマグロ住血吸虫Cardicola opisthorchisの出現について

杉原志貴・山田敏之・小川和夫・横山文彦
松倉一樹・金井欣也
長崎県のクロマグロ養殖場において,クロマグロ住血吸虫Cardicola opisthorchisの中間宿主Terebella sp.(フサゴカイ類)体内におけるスポロシスト寄生状況を,2014年の1年間調査した。養殖生簀の付着物中におけるTerebella sp.の生息数は1月~3月および11月,12月に多かった。Terebella sp.のC.opisthorchisスポロシスト寄生は1月~3月および9月~12月に認められ,寄生率は2%~18.4%であった。一部のスポロシストが娘スポロシストで満たされていることを見出し,海産魚類住血吸虫類の中間宿主体内における無性的な増殖過程を初めて記載した。中間宿主1個体から放出されるセルカリア数は最大で10万個以上と試算された。
魚病研究,50(3), 105-111(2015)

キンギョCarassius auratusにみられた皮膚平滑筋腫

A. Oryan・S. Alidadi・H. Shayegh
B. Geramizadeh
本研究では,キンギョの皮膚にみられた平滑筋腫の組織学的所見について述べている。本腫瘍は 3.5×2×1cm 大であり,右鰓蓋上の背部外側に位置し,頭部側線に沿って観察された。腫瘍塊は金橙色を呈して出血点を伴い,皮膚に固着していた。組織学的検査の結果,悪性を示さない葉巻状の核を有する紡錘形から伸長型の腫瘍細胞が,交錯した束を形成していることが明らかとなった。腫瘍細胞はマッソントリクローム染色では赤色を呈した。免疫組織化学染色の結果,腫瘍細胞はvimentin,desminおよびa-smooth muscle actinには陽性を示したが,S100 には陰性を示した。以上の所見に基づき,本症例は皮膚平滑筋腫と診断された。
魚病研究,50(3), 112-114(2015)

腹腔内接種法による日本産6魚種に対する伝染性サケ貧血症ウイルス(ISAV)の病原性

伊東尚史・大迫典久・乙竹 充
日本産6魚種に対する伝染性サケ貧血症ウイルス(ISAV)の病原性を腹腔内接種法(106.4 TCID50/尾)により調べた。各感染実験における累積死亡率は,実験1ではタイセイヨウサケ(陽性対照魚種)で100%,アユで40%,実験2ではタイセイヨウサケで95%,ベニザケで25%,イワナで0%だった。しかし,接種した全てのイワナの腎臓よりISAVのRNAが検出された。実験3ではタイセイヨウサケでは90%の累積死亡率を示したものの,ホンモロコ,コイ及びキンギョにおける死亡は観察されなかった。コイ及びキンギョからはウイルスRNAは検出されなかったが,ホンモロコでは10尾中9尾よりウイルスRNAが検出された。本実験からISAVはアユ及びベニザケに病原性を示すが,タイセイヨウサケに対するものに比べかなり低いことが示唆された。
魚病研究,50(3), 115-118(2015)

LAMP法によるKudoa amamiensisの検出

酒井正博・G. Biswas・河野智哉
引間順一・横山 博
奄美クドア症は,奄美・沖縄地区の魚類に特有の疾病であるが,近年の温暖化による水温の上昇により九州地区等のブリ類養殖場での発生が懸念されている。そこで,LAMP法によるKudoa amamiensisの簡易迅速な検出法の確立を試みた。K. amamiensisの18Sと28SリボゾームRNA遺伝子の間のITS領域の塩基配列を決定し,ITS1と5.8SリボゾームRNA領域にLAMP法のプライマーを設計した。本法の最適反応条件は,60℃で60分であった。さらに,ブリ類への寄生が知られているK. iwataiには反応を示さなかった。従って,本LAMP法はK. amamiensisの検出に有益であると判断された。
魚病研究,50(3), 119-122(2015)

ヒラメのエドワジエラ症に対するホスホマイシンの治療効果

高野倫一・水野芳嗣・福田 穣・松山知正
坂井貴光・加藤豪司・中易千早
本研究では,ヒラメのエドワジエラ症に対するホスホマイシン(FOM)カルシウムの治療効果を経口投与によって調べた。ヒラメ稚魚をEdwardsiella tarda NUF806 株で浸漬攻撃し(2.0×106 CFU/mL,60分),24時間後から20,40および 80 mg力価/kg/日となるようにFOMを添加した餌料を連続6日間経口投与した。FOM投与区は投薬量に関わらず累積死亡率が対照区よりも有意に低下した。グルコース-6-リン酸を含むミューラー・ヒントン液体培地を用いて測定した結果,NUF806 株およびヒラメ病魚から最近分離されたE. tarda 30株に対するFOMの最小発育阻止濃度は 2-4 mg/mLであった。これらの結果からFOMがヒラメのエドワジエラ症治療に有効であることが示唆された。
魚病研究,50(3), 123-126(2015)