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第49巻 3号

イシダイから単離されたMHCクラスⅠとβ2ミクログロブリンの性状

C. Nikapitiya・S.-J. Jung・M.-H. Jung・J.-Y. Song
J. Lee・J.-H. Lee・M.-J. Oh
 イシダイの主要組織適合性抗原クラスⅠ遺伝子(以下,RbMHC)とβ2ミクログロブリン遺伝子(以下,Rbβ2m)を見いだし,そのcDNAの特徴を明らかにした。RbMHCのcDNAは全長 2,667 bp,Rbβ2mのcDNAの全長は 1,339 bpであった。RbMHCは,分子系統樹解析では既知のMHCクラスⅠZ/ZE lineageの近傍に位置付けられ,アミノ酸配列やモチーフは非古典的MHCよりも古典的クラスⅠにより似ており,マダイイリドウイルスの感染により有意に発現量が増加した。このため,RbMHCはZ/ZE lineageに属する新たな古典的クラスⅠであることが示唆された。RbMHCとRbβ2mは,イシダイ正常魚において調べた全器官で発現し,特に全血での発現量は他の器官に比べて有意に高かった。
魚病研究,49(3), 93-112(2014)

抗コイヘルペスウイルス鶏卵抗体(IgY)の経口投与によるコイの受動免疫

Z. Liu・H. Ke・Y. Ma・L. Hao・G. Feng
J. Ma・Z. Liang・Y. Li
 世界中でコイヘルペスウイルス(KHV)病による深刻な被害が続いており,本病への新たな防除対策が求められている。そこで,本研究では濃縮したKHVを2週間おきに3回注射して牝鶏を免疫し,その卵から抗KHV鶏卵抗体を精製し,その有効性をin vivoおよびin vitroで調べた。なお,試験区には抗KHV IgYを対照区には非免疫鶏卵から精製した等量のIgYを用いた。その結果,抗KHV IgYは,in vitroではCCB細胞へのKHVの感染を阻害し,in vivoでは攻撃前10日間の経口投与により,40 TCID50/fishのKHVで攻撃されたコイの死亡率を85%から50%に有意に低下させた(P<0.05)。抗KHV鶏卵抗体は,KHV病の防除対策に新たな道を切り開く可能性を秘めている。
魚病研究,49(3), 113-120(2014)

トラフグ病魚から分離された非運動性Tenacibaculum maritimumの生物学的および血清学的性状

T. Rahman・菅向志郎・金井欣也・杉原志貴
 滑走細菌症に罹患したトラフグから通常の樹根状コロニーに混じって淡黄色小型円形コロニーを形成するT. maritimumが分離された。その代表株NUF1129について生物学的および血清学的性状を調べたところ,本菌株は非運動性で,ヒラメに対して病原性が認められなかった。液体培養の際にフラスコ壁に付着しにくく,魚体表面への付着菌数も強毒株に比べて少なかった。ゲル内沈降反応において運動性株が共通に保有した菌体表在性抗原の1つが検出されず,全菌体タンパク質のSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動で運動性株と異なるバンドパターンを示した。以上のことから,運動性や付着性に関連した菌体表在性物質がT. maritimumの病原性に関与することが示唆された。
魚病研究,49(3), 121-130(2014)

カワハギレンサ球菌症ワクチンの薬理効果

南 隆之・岩田一夫・桑原正和・天野健一
水田 篤・山下亜純・福田 穣・西木一生
津江佑哉・吉田照豊
 先の研究でカワハギに対するS. iniae市販ワクチン,L. garvieae市販ワクチン,およびこれらの2種混合ワクチンの効果について評価した。本研究では,これら3種類のワクチンについて,効果持続性,地理的に由来が異なる攻撃株に対する効果および免疫期間中の水温の影響を検討した。その結果,これらのワクチンは異なる種類のS. iniaeおよびL. garvieae攻撃株に対して強い防御効果を誘導し,その効果は接種52週間後まで確認された。また,これらのワクチンは,水温15℃,20℃および25℃で接種されたカワハギに防御効果を誘導した。
魚病研究,49(3), 130-136(2014)

粘液胞子虫性やせ病に対する高水温飼育の効果

知名真智子・中村博幸・濱川 薫・玉城英信
横山 博・益岡壮太・小川和夫
 Enteromyxum leeiによる粘液胞子虫性やせ病に対する高水温飼育の効果について,カクレクマノミの人為感染魚と養殖ヤイトハタの自然感染魚を用いて調べた。カクレクマノミに虫体を経口投与した直後から高水温(30℃)飼育すると,1ヶ月の実験期間中,ほとんど寄生がみられなかった。また,虫体投与後,23℃で20日間飼育して感染を成立させてから30℃に昇温すると,寄生率が顕著に減少した。さらに自然感染ヤイトハタを高水温飼育したところ,昇温6日後にはE. leeiが検出されなくなった。病理組織学的観察により,腸管上皮細胞の剥離・脱落に伴って虫体が排泄されるために回復することが示唆された。以上の結果より,高水温飼育により粘液胞子虫性やせ病を予防・治療できる可能性が示された。
魚病研究,49(3), 137-140(2014)

用水の紫外線照射によるクドア属粘液胞子虫2種の防除効果

白樫 正・西村知代・亀島長治・山下 洋
石谷浩江・石丸克也・橫山 博
 近年,クドア属粘液胞子虫による水産業や公衆衛生上の被害が問題となっている。一般に魚体に寄生した粘液胞子虫の駆虫は困難であるため,予防が現実的な対策となる。本研究では,K. yasunagaiK. amamiensisについて飼育水の紫外線(UV)照射による防除を試みた。ヒラマサとブリの稚魚をそれぞれのクドア種が見られる陸上養殖施設で濾過海水(対照区)もしくは市販の装置を用いてUVを照射した濾過海水(UV区)で数ヶ月間飼育した結果,対照区では高率で寄生が見られ,使用した濾過処理では寄生が防げなかった。一方,UV区ではいずれの種も寄生が起らず,UV照射による防除効果が認められた。また,K. yasunagaiについては同一年齢でも小さいヒラマサ稚魚で寄生率が高く,魚体サイズによって感受性に違いがあることが示唆された。
魚病研究,49(3), 141-144(2014)