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第49巻 1号

マダイのエドワジエラ症に対するホスホマイシンの治療効果

山下亜純・武智昭彦・高木修作・佐藤彩乃
 ホスホマイシン(FOM)のマダイエドワジエラ症に対する治療効果を実験感染魚ならびに自然感染魚で調べた。愛媛県内の養殖マダイから分離されたE. tarda 67株に対するFOMの最小発育阻止濃度は 1~4 mg/mLであり,本剤に対する耐性株は確認されなかった。実験感染魚では,FOM 10~80 mg/kg/dayの範囲では投薬量の増加に伴い死亡率が低下し,FOM 40~80 mg/kg/day 6 日間の投薬により有意な治療効果が認められた。自然発症した死亡率の異なる養殖場のマダイにFOM 40 mg/kg/day を 6 日間投薬した結果,FOM投薬群の累積死亡率はいずれも無投薬群に比べ有意に低下した。また,投薬開始時の日間死亡率が低い養殖場の方が,投薬後の死亡率が低く推移した。これらのことから,FOMはマダイのエドワジエラ症治療薬として有効であり,効果を高めるためには出来るだけ早期の投薬が重要であることが明らかとなった。
魚病研究,49(1), 1-6(2014)

明瞭な腎腫大と脾腫を特徴とする養殖カンパチの新疾病

和田新平・倉田 修・畠山 仁・山下亜純・高木修作・西澤豊彦・横山 博
 2008年に南西海域で養殖されていたカンパチ稚魚に,死亡を伴う疾病が発生した。病魚は左右非対称な腹部膨大と鰓の褪色を呈し,頭腎,体腎,脾臓は腫大して褪色していた。既知の主要な病原体の検出を目的とした微生物学的および分子生物学的検査の結果はすべて陰性であった。病理組織学的に,本疾病は増殖性間質性腎炎および脾炎を特徴とし,増生している単核性細胞の細胞質内に微小な類円形構造が認められた。病魚の腎臓を用いた人為感染試験で病徴が再現されたことから,本疾病は何らかの感染症であり,感染因子として微小な類円形構造が最も疑わしいと考えられ,これらは未報告の真核性微生物であることが強く示唆された。
魚病研究,49(1), 7-15(2014)

シーバスからのTenacibaculum soleaeの初分離例および分離菌の性状

N. Castro・S. Balboa・S. Nunez・A. E. Toranzo・B. Magarinos
 T. soleaeは最近特定された病原菌であり,スペインにおいてシタビラメ類の養殖にかなりの被害を与えると報告されている。本論文では,T. soleaeを原因とする滑走細菌症のシーバスDicentrarchus labraxにおける初発事例とその分離菌の性状を報告した。分離菌の生化学的性状,菌体脂肪酸組成および 16S rRNA遺伝子の塩基配列はT. soleae標準株のものと高い類似性を示したが,血清学的には標準株と異なるグループに属することが分かった。代表株を用いて行った病原性試験では,菌懸濁海水に長時間浸漬する攻撃法により症状が再現され供試魚は死亡したが,腹腔内接種法では死亡しなかった。本研究の結果は,T. soleaeが海産魚類養殖において重要な病原菌と認識すべきことを示している。
魚病研究,49(1), 16-22(2014)

アユのエドワジエラ・イクタルリ感染症に対する薬剤の有効性

河東康彦・山田康生・永井崇裕・Ebtsam Sayed Hassan・中井敏博
 アユのエドワジエラ・イクタルリ(Edwardsiella ictaluri)感染症に対する有効な薬剤を明らかにすることを目的として,アユに対して使用が認められている水産用医薬品(6 薬剤)の抗菌活性を調べた結果,本菌はスルフィソゾールとスルファモノメトキシンには感受性が低く,フロルフェニコール,オキソリン酸,オリメトプリムおよびスルファモノメトキシン・オリメトプリム配合剤に高い感受性を示した。このうちの 3 薬剤(フロルフェニコール,オキソリン酸,スルフィソゾール)について,実験感染させたアユに対する経口投与による薬剤治療試験をおこなった結果,フロルフェニコールとオキソリン酸では優れた治療成績が得られ,またスルフィソゾールでは延命効果が認められた。
魚病研究,49(1), 23-26(2014)

免疫原性表層タンパク質(Sd-Sip)吸着ラテックスビーズを用いたStreptococcus dysgalactiaeに対する迅速凝集抗体検出

西木一生・南 隆之・伊丹利明・吉田照豊
 S. dysgalactiaeの免疫原性表層タンパク質であるSd-Sipに注目し,感染魚の凝集抗体を検出する方法の開発を目指した。組換えSd-Sipをラテックスビーズに吸着させ,S. dysgalactiae感染カンパチ血清と混和したところ,顕著な凝集反応が観察された。一方,非感染カンパチ血清,Lactococcus garvieaeおよびS. iniaeに対するワクチンを接種した魚の血清に対しては凝集しないことが確認された。以上のことから,組換えSd-Sip吸着ラテックスビーズを用いるスライド凝集法でS. dysgalactiae感染魚から迅速かつ簡便に凝集抗体を検出することが可能となった。
魚病研究,49(1), 27-30(2014)