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第48巻 2号

クロアワビのXenohaliotis californiensis感染症(国内初事例)

桐生郁也・栗田 潤・湯浅 啓・西岡豊弘・嶋原佳子
釜石 隆・乙竹 充・大迫典久・丹下菜穂子
井上正彦・谷田部誉史・C. S. Friedman
 種苗生産中のクロアワビ(殻長14-34 mm)に,2010年9月から2011年1月の5ヶ月間で累積33%に達する死亡が認められた。病貝5個体の病理組織検査の結果,3個体でXenohaliotis californiensis感染症(ウイザリングシンドローム)に特徴的な消化管上皮細胞内の好塩基性細菌塊が観察された。そのうち,1個体では食道後部の上皮細胞に重篤な感染が認められた。別の4個体をPCR法で検査した結果,すべての個体からX. californiensisの16S rRNA遺伝子塩基配列と一致する増幅産物が得られた。しかし,本感染症の特徴とされる腹足の痩せや消化腺の変性は観察されなかった。国内のアワビから初めて本原因菌が検出されたので,その症例を報告する。
魚病研究,48(2), 35-41(2013)

マボヤ被嚢軟化症のPCR診断法の開発

熊谷 明・釜石 隆
 養殖マボヤに発生している被嚢軟化症の原因鞭毛虫Azumiobodo hoyamushiの18S rRNA および β-tubulin遺伝子を基にしたプライマーを設計し,両PCRの有効性を検討した。その結果,両PCRともに病気のホヤの被嚢にのみ陽性を示し,健康個体や被嚢軟化症以外の原因で死亡または衰弱した個体は陰性であった。病ホヤから得た虫体懸濁液を用いて検出限界を調べたところ,前者のプライマーを用いた場合,後者のプライマーを用いた場合より10倍高い感度を示した。18S rRNAのPCRでは,水管の周辺のみにわずかに症状が見られる発病初期の個体でも,水管周辺を試料とすることにより診断可能であった。被嚢を1晩浸漬した海水の遠心沈渣を試料とした場合と被嚢を直接試料とした場合の検出率に差がなかった。18S rRNAのPCRは少数のA. hoyamushiを検出でき,高精度・高感度な迅速診断法として有効と考えられた。
魚病研究,48(2), 42-47(2013)

スネークヘッド幼魚の Aeromonas hydrophila感染症

P. M. Duc・T. N. Tuan・畑井喜司雄
 Aeromonas属の数種は淡水魚と海水魚の病原体として知られている。ベトナムの養殖スネークヘッドに出血性の病変を示す病気が見られたことから,病魚から細菌の分離培養を行い,分離された細菌の同定を行い,それらが A. hydrophilaであることを生化学性状およびPCRによって証明した。また,それらの細菌の1株を用いてスネークヘッド幼魚に対する病原性試験を実施した結果,養殖魚に見られた症状と同一の出血性の病変が再現され,また感染魚からは接種菌が再分離された。LD50 は1.2×105 CFU/魚であった。このことから今回の養殖スネークヘッドの出血性疾病はA. hydrophilaに起因する細菌病であることが立証された。ベトナムでスネークヘッドのエロモナス症が正式に報告されるのはこれが初めてである。
魚病研究,48(2), 48-51(2013)

キンギョはコイヘルペスウイルス(KHV)病の感受性宿主ではない

湯浅 啓・佐野元彦・大迫典久
 キンギョがKHVの感受性宿主になり得るとの指摘がある。そこで本研究では,日本,米国およびイスラエル由来のKHV 3 株に暴露した3品種のキンギョを,暴露後2日から24日目まで健康コイと同居させ,ウイルスが伝播されるか否かを検証した。また,同居終了後(暴露後24日)に,全てのキンギョの鰓,体表,腎臓および脳から,PCR法によるKHV検出を試みた。同居させたコイは感染ならびに死亡しなかったことから,キンギョはKHVを排出しないと判断された。また,暴露後24日のキンギョの何れの組織からもウイルスゲノムは検出されず,ウイルス感染も確認できなかった。これらの結果より,キンギョはKHVの感受性宿主ではないと考える。
魚病研究,48(2), 52-55(2013)

魚類β-アクチン遺伝子を標的としたユニバーサルプライマー

金 鍾五・呉 昭映・呉 明柱・西澤豊彦
 魚類のβ-アクチン遺伝子を標的としたユニバーサルプライマー Fish_β-actin_For (5´-GGA RTC YTG YGG WAT CCA YGA G-3´)とFish_β-actin_Rev (5´-GGT ACA TGG TGG TAC CTC CAG ACA GCA-3´)を設計し,ヒラメ,マハタ,イシダイ,クロソイ,ニジマスの血液細胞および魚類株化細胞であるFHM, EPC, SSN-1, BF-2, GFを用い,その反応性について検討した。本ユニバーサルプライマーは,供したいずれの魚類細胞とも良く反応し,細胞数とCt値に相関が認められた。従って,本ユニバーサルプライマーを用いたqPCRにより,微量組織における細胞計数が可能であることが示された。本実験に供した魚類細胞は,カレイ目,スズキ目,カサゴ目およびサケ目に属することから,本プライマーが,広範囲の魚類に応用可能であると考えられた。
魚病研究,48(2), 56-58(2013)