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第47巻 3号

イワナ稚魚期に認められる水腫症の治療および予防対策

石川孝典・生方秀典・間野伸宏
廣瀬一美・中西照幸
 イワナ稚魚に水腫を伴う死亡事例が認められた。病魚の鰓を採取し,病理組織学的および走査型電子顕微鏡観察を行ったところ,鰓薄板上皮の増生に伴う癒合がみられたことから,本症例も過去の報告と同様,鰓の病変に起因する水腫症と同一であるものと判断された。この水腫症の対策として,1.0%塩水浴による治療および高濃度アスコルビン酸を添加(10,000 mg/kg飼料)した市販飼料給餌による予防の有効性について検討を行った。発症確認直後から3日間連続して1.0%塩水浴を実施した結果,明瞭な治療効果が確認された。また注水量を増加させた高濃度アスコルビン酸投与区では,有意な死亡低減効果が認められた。
魚病研究,47(3), 91-96(2012)

コイヘルペスウイルス(KHV)の効果的な分離培養手法

湯浅 啓・佐野元彦・大迫典久
 感染症研究に原因病原体の分離は必須である。本研究では,CCB 細胞を用いてKHVを分離培養する際に重要となる条件について検討した。KHVは,症状を示す魚から容易に分離培養できることが分かった。鰓・腎臓・脳の3組織から分離を試みると,分離効率が向上すると考えられた。検体を4℃あるいは-30℃で保存すると,23℃よりKHVの生存期間が長いことが確認され,瀕死魚を氷冷して実験室に運ぶ必要性が再確認された。また,分離前の検体を保存する場合は,摘出した組織を-30℃以下で凍結することが推奨された。
魚病研究,47(3), 97-99(2012)

韓国で1998年に死亡したコイ組織からのコイヘルペスウイルスの検出

N. -S. Lee・S. H. Jung・J. W. Park・J. W. Do
 韓国で1998年に発生したコイ大量死亡事例についてin situ hybridizationによるコイヘルペスウイルス(KHV)の検出を試みた。4地域(湖または貯水池)の9養殖場で採取したKHVD症状を呈する病魚20尾のパラフィン包埋切片を調べた結果,1養殖場の2尾を除き,それらの鰓や内臓にKHV陽性細胞が認められた。本結果から,KHVが韓国において1998年に存在したことが明らかとなった。
魚病研究,47(3), 100-103(2012)

Poly(I:C)のヒラメに対する毒性

松井崇憲・呉 明柱・西澤豊彦
 ヒラメ(平均 8.2 g)を17℃あるいは13℃で飼育し,800,400,200および 100 μg/fishとなるようPoly(I:C) を筋肉内接種し,その毒性について検討した。17℃飼育区では,800 μg/fish接種区で1尾死亡したが, ≤ 400 μg/fishの接種区で死亡は認められなかった。しかし,≥ 200 μg/fish接種区の16.7%~33.3%で接種部位周辺の皮膚に赤変および潰瘍が認められた。一方,13℃飼育区では,100 μg/fish接種区の33.3%に,また 800 μg/fish接種区では83.3%に死亡あるいは潰瘍が認められた。以上より,Poly(I:C)は,低温飼育のヒラメでは,比較的高い毒性を示すと考えられた。
魚病研究,47(3), 104-106(2012)

ヒラメのStreptococcus parauberis感染症に対する血清型Ⅰ型およびⅡ型株不活化ワクチンの有効性

森 京子・福田 穣
 養殖ヒラメ由来S. parauberisの2種血清型(Ⅰ,Ⅱ型)株それぞれのホルマリン不活化菌体(FKC)ワクチンを試作し,有効性と両血清型間の交差防御効果を検討した。各FKCを腹腔内接種して3週間後のヒラメに攻撃試験を行った結果,免疫原と同じ株に対して高い予防効果が得られた。しかし,免疫原と異なる血清型に対しては,効果にばらつきが認められ生残魚も高い保菌率を示したことから,十分な交差防御効果は期待できないと思われる。
魚病研究,47(3), 107-110(2012)