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第47巻 2号

海生甲殻類から分離した病原卵菌類のITS1領域の塩基配列による同定とアルテミア孵化幼生に対する病原性

村長保憲・佐野文子・畑井喜司雄
 海生甲殻類から分離した病原卵菌類27株について形態分類を行うとともに,対照とした卵菌類 6 種12株と合わせて,ITS1領域の塩基配列を比較した。その結果,塩基配列に基づく系統関係は形態学的分類に良く整合し,種の同定に有用であることが示された。また,9 種18株の病原卵菌についてアルテミアのノウプリウス幼生に対する浸漬攻撃試験(1×104 zoospores/mL, 25℃)によって病原性の検討を行ったところ,死亡率は供試した卵菌類によって大きく異なった。
魚病研究,47(2), 41-48(2012)

感染実験からみた魚病細菌のサケ科魚類卵内感染機序

小原昌和・笠井久会・吉水 守
 ニジマスおよびアマゴ卵を用いてFlavobacterium  psychrophilum, Renibacterium salmoninarumおよび Aeromonas salmonicidaの感染実験を行い,卵内感染機序を検討した。F. psychrophilumは卵の吸水時に卵門から侵入すると考えられた。 F. psychrophilum感染率は,汚染水吸水卵よりも卵表面汚染後に吸水させた卵で有意に高く,成立条件は 107 CFU/mL以上であった。また,高濃度のR. salmoninarumで表面汚染した卵においても卵内感染がみられた。F. psychrophilumまたはA. salmonicida 汚染卵を吸水させたところ,F. psychrophilumは卵内侵入後に増殖したが,A. salmonicidaは侵入後次第に消滅した。
魚病研究,47(2), 49-55(2012)

タイのテラピア養殖場から分離されたAeromonas hydrophila多剤耐性株

N. Tipmongkolsilp・C. S. del Castillo・引間順一・T-S. Jung・近藤秀裕・廣野育生・青木 宙
 タイのテラピア養殖場の感染魚より55株のA. hydrophilaを分離し,11薬剤の最小発育阻止濃度を調べた。その結果,全ての分離株が1~8剤の組合せの耐性を示し,5 剤以上の耐性菌が約半数を占めた。これらの薬剤耐性株中,1 株からABPC,CP,SM, SMMXおよびTCの 5 剤に対して耐性を示す伝達性R プラスミドを検出した。このプラスミドは,耐性遺伝子としてblaOXA-35,cat2aadA1sul1 およびtetAを含んでいた。
魚病研究,47(2), 56-63(2012)

河川アユにおけるEdwardsiella ictaluri不顕性感染

E. S. Hassan・M. M. Mahmoud・河東康彦・永井崇裕
川口 修・飯田悦左・湯浅 啓・中井敏博
 2008年から2010年にかけて,広島県下の 1 河川においてE. ictaluriの保菌調査を実施した。アユからは本菌が高頻度で分離され,特に 9 月以降の保菌率は高く平均45.4%であった。アユ以外の魚種では 1 尾のギギから分離されたにすぎず,また菌の由来を探るべくおこなった放流アユ種苗からは本菌はまったく検出されなかった。一方,E. ictaluriの指標としてのファージが河川水から周年にわたって検出されたことから,本菌は河川環境に常在化し,それが河川アユへの感染源になると考えられた。
魚病研究,47(2), 64-73(2012)

在来マス及びアユに対するYersinia ruckeriの病原性

坂井貴光・中易千早・伊東尚史・三輪 理
大迫典久・飯田貴次
 ニジマス,イワナ,アマゴ及びヤマメの腹腔内にY. ruckeriを 7.1×102 CFU/魚体重(g)接種して攻撃した。各魚種の累積死亡率は,100%,60%,30%,30%であり,すべての死亡魚がレッドマウス病の症状を示した。1.5×103~1.5×106 CFU/魚体重(g)で腹腔内接種したアユの累積死亡率は, 0 %~87%であった。また,浸漬攻撃でも高い累積死亡率が観察された。死亡したアユにサケ科魚類と同様のレッドマウス病の症状は見られず,眼球の突出や出血,腹水の貯留が観察された。
魚病研究,47(2), 74-79(2012)

ポルトガルで養殖ターボットに発生したStreptococcus parauberis感染症

M. F. Ramos・J. F. Marques・J. V. Neves・T. Barandela・J. A. Sousa・A. Saraiva・P. N. Rodrigues
 2004年の5月から8月にかけてポルトガル北部の1養殖場でターボット(体重 90-1,020 g 水温12-14℃)に,眼球突出,背部や鰭基部の出血と浮腫,また病理組織学的には髄膜炎を特徴とする大量死亡が発生した。病魚の内臓諸器官からグラム陽性のα溶血性球菌が分離され,それらは生化学的・血清学的性状および遺伝学的性状(16S rDNAを標的としたPCR)からS. parauberisに同定された。これはポルトガルにおける本菌感染症の初報告である
魚病研究,47(2), 80-82(2012)