ENGLISH


日本魚病学会事務局(2013年1月より)
〒162-0801
東京都新宿区山吹町358-5
アカデミーセンター
TEL:03-5937-5716
FAX:03-3368-2822
E-Mail:jsfp-post@bunken.co.jp
HOME > 魚病研究 > 第47巻 1号

第47巻 1号

キンギョにおける腸管から循環系へのファージの浸潤性

河東康彦・中井敏博
 魚病細菌と大腸菌ファージ11株を,キンギョの肛門からシリコンチューブを用いて腸管に注入した結果(108.3 PFU/尾),いずれのファージも3時間後に腎臓から検出された(102.7〜104.3 PFU/g)。循環系への浸潤性が最も高かったファージPPpW-4 株について検討したところ,ファージは腸管に注入して10分後には血液と腎臓に出現して12時間後までほぼ同じ力価で検出された。循環系への安定した浸潤のためには,1尾あたり107.3 PFU以上の注入が必要であった。これらは経口投与による魚類のファージ療法を考える上で有用な知見となる。
魚病研究,47(1), 1-6(2012)

生体内イメージングシステムによる蛍光標識Aeromonas veroniiのコイ腸管内における局在解析

難波亜紀・間野伸宏・廣瀬一美・中西照幸
 運動性エロモナス症原因菌Aeromonas veronii のコイ腸管内における局在を解析するため,粘液付着性と病原性の異なる3株を蛍光物質CFDA/SEで標識し,餌料に添加してコイに経口投与し,生体内イメージングシステムを用いて腸管内の菌体を検出した。非病原性の2株では投与24時間後以降検出されなくなったのに対し,病原性株では48時間後においても腸膨大部の粘膜面や固有層および直腸の内容物中に検出された。病原性株は腸への付着能が高いことが示され,膨大部が主要な感染部位と判断された。
魚病研究,47(1), 7-11(2012)

ぶりビブリオ病・α溶血性レンサ球菌症混合不活化ワクチンによって誘起されるブリの免疫応答

中島奈緒・木島まゆみ・川西路子・加藤豪司・二見邦彦・片桐孝之・延東 真・舞田正志
 市販のワクチンを接種したブリにおける免疫反応を調べた。血清中の抗V.a凝集抗体価は免疫7日後以降から上昇し,さらに同時期の血清はV.aの増殖を抑制した。一方L.gに対する増殖抑制や抗体価の上昇は認められなかった。腎臓における免疫関連遺伝子の発現をマイクロアレイで解析したところ,22遺伝子で発現の上昇が認められ,ワクチン接種によって細胞性免疫および液性免疫が刺激されることが示唆された。
魚病研究,47(1), 12-19(2012)

ヒメコウゾの飼料添加はヒラメの抗病性を高める

J.-S. Kim・R. Harikrishnan・M.-C. Kim・C. Balasundaram・M.-S. Heo
 ヒラメ稚魚に,ヒメコウゾの葉のエタノ-ル抽出物を無添加あるいは0.1,1,2%添加した4種類の飼料を30日間与えた後,Streptococcus parauberisを腹腔内注射して人為的に感染させた。その結果,感染30日後の累積死亡率は,無添加区に比べて1及び2%添加区で有意に低かった。また,血液の貪食能,補体価,リゾチーム活性は全添加区で,活性酸素産生能は 1 及び 2%添加区で有意に増加していた。これらの結果から,飼料へのヒメコウゾ抽出物の 1 又は2%添加は,ヒラメのS. parauberisに対する抗病性を高めると考えられた。
魚病研究,47(1), 20-22(2012)

ディスカスSymphysodon discusにおける単生虫Sciadicleithrum variabilumの寄生

G. Aquaro・C. Salogni・P. Galli・L. Gibelli・D. Gelmetti
 2009年冬に,北イタリアのある養魚場のディスカスに激しい呼吸障害を伴う病気が発生した。本病は,食欲不振,呼吸困難,行動異常から始まり,罹患魚の80%が数日以内に死亡した。病魚の鰓弁には単生虫S. variabilumの寄生と,炎症と壊死が観察された。虫体の迅速な同定のためのマーカーとしてチトクロームオキシダーゼI領域(COI)をPCRで増幅し塩基配列を決定した。本研究により,本虫のCOI領域の塩基配列が得られるとともに,本虫が病原体として重要であることが示された。
魚病研究,47(1), 23-26(2012)

飼料への山椒の添加はクエのビブリオ病に対する抗病性を高める

R. Harikrishnan・J.-S. Kim・M.-C. Kim・C. Balasundaram・M.-S. Heo
 山椒のエタノール抽出物を無添加あるいは0.1,1,2%添加した4種類の飼料を作製した。各飼料で体重約 32 g のクエを30日間飼育後,Vibrio carchariaeを腹腔内に注射して人為的に感染させ,感染30日後まで観察した。その結果,無添加区及び0.1%添加区に比べて1及び 2%添加区では,頭腎細胞の貪食能および血清のリゾチーム活性が有意に増加し,累積死亡率は有意に低下した。これらの結果から,飼料への山椒抽出物の1又は 2%添加は,クエのV. carchariaeに対する抗病性を高めると考えられた。
魚病研究,47(1), 27-29(2012)

株化細胞におけるSiniperca chuatsi rhabdovirusのRNA干渉法による複製阻害

G.-Z. Zhou・R. Zhu・J.-F. Gui・Q.-Y. Zhang
 ケツギョ Siniperca chuatsiラブドウイルス(SCRV) N 遺伝子に対応する siRNAsを合成し,その抗SCRV活性についてEPC細胞を用い検討した。供試 siRNAsのうち,si983 が最も高い抗SCRV活性を示し,またウエスタンブロット解析でsi983 によりSCRV N 遺伝子の発現ならびにSCRV複製の阻害が確認された。従って,N 遺伝子の983領域がRNA干渉法の重要な標的であり,本遺伝子を標的としたRNA干渉法がSCRV感染に対する一つの有効な治療法になり得ることが示唆された。
魚病研究,47(1), 30-32(2012)

日本の養殖カンパチの体側筋に寄生していた条虫幼虫

小川和夫・巖城 隆・伊藤直樹・長野泰三
 鹿児島県(2例)と宮崎県(1例)で養殖されたカンパチを出荷の際に3枚におろしたところ,寄生虫様の長い管状の構造物が体側筋に見つかった。遺伝子解析の結果,この構造物は四吻目条虫であると考えられた。このことから,カンパチはこの条虫の中間宿主であって,管状構造物は擬充尾虫期の尾胞(ブラストシスト)であることが判明した。しかし,尾胞は完全な形で回収できず,内部に含まれているはずの頭節が見つからなかったことから,種の同定はできなかった。本寄生例はカンパチの四吻目条虫の日本における初報告である。
魚病研究,47(1), 33-36(2012)