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第46巻 1号

海産魚類病原菌Vibrio anguillarumにおける病原性遺伝因子

仲 浩章・J. H. Crosa
 Vibrio anguillarumは最も研究された魚類病原菌の 1 つである。この魚類病原菌の病原性メカニズムに関する遺伝学および生化学の発展は,臨床や疫学の研究とともに,魚類病原微生物学の著しい進歩を可能にした。本総説では,これまで報告してきたV. anguillarumの病原性因子の全解析およびそれらの複雑な遺伝学的特徴を整理する。これにより,病原菌自体および病原菌と宿主との相互作用に関する理解が深まる。
魚病研究,46(1), 1-10(2011)

ヒラメ白血球の長期培養

尾崎智基・畠山 仁・和田新平・倉田 修
 ヒラメの鰭より樹立した細胞株(JFF07-1)を支持細胞としたヒラメ白血球の長期培養法を確立した。腎臓より分離した白血球の増殖効率は,20%牛胎児血清添加E-RDF培地を用い,培養温度25℃,ヒラメ血清濃度2.5%,接種細胞数として 2 × 106 cells/mLの条件で培養した時,最も良かった。増殖白血球は,細胞内酵素の発現特性(酸ホスファターゼ強陽性,ペルオキシダーゼ弱陽性,NaF感受性非特異エステラーゼ陽性)および細胞内微細構造(多数の小胞体およびミトコンドリア)から,単球系の細胞が主体であると考えられた。
魚病研究,46(1), 11-18(2011)

Vibrio anguillarum 組換えヘモリジンのヒラメにおける免疫効果

H.-B. Wang・Y.-L. Jiao・J.-T. Xu・X.-S. Li・B. Xu・D. Dong・B.-L. Yan
 V. anguillarumヘモリジン遺伝子vah4 の組換えタンパク質VAH4 をヒラメに注射し,その免疫効果を調べた。VAH4 接種魚の肝臓中のSOD,CAT,AKPおよびACP活性は,対照魚に比べて上昇し,72時間後には同レベルとなった。接種10日後の血清のVAH4 に対するELISA抗体価は1:10,240であった。V. anguillarumの攻撃試験では,対照魚の生残率が0%であったのに対し,免疫魚のそれは60%で,VAH4接種による防御効果が示された。
魚病研究,46(1), 19-22(2011)

Edwardsiella tardaの線毛に対するヒラメ抗体の検出

坂井貴光・三吉泰之・松山知正・中易千早・釜石 隆・福田 穣・飯田貴次
 E. tarda組換え線毛タンパク質を作製し,線毛に対するヒラメの抗体を検出する系を確立した。培地上で線毛を産生している菌体を腹腔内接種したヒラメから線毛に対する抗体が特異的に検出された。エドワジエラ症が発生したヒラメ養殖場では,死亡の増加とともに,線毛に対する抗体陽性魚の割合が増加した。養殖場のエドワジエラ症流行における線毛を保有する菌体の重要性が示唆された。
魚病研究,46(1), 23-26(2011)

ターボット由来Edwardsiella tarda株の病原性

N. Castro・B. Magariños・S. Núñez・J. L. Barja・A. E. Toranzo
 ターボット由来 4 株及びその他 5 魚種由来各 1 株のE. tardaのターボット,ソール及びシーバスに対する病原性を調べたところ,宿主特異性は認められなかった。ターボット由来株の病原性を18℃で腹腔内接種及び浸漬攻撃により調べたところ,LD50はそれぞれ100及び102 CFU/gであり,また15℃での腹腔内接種では102 CFU/gとなり,ターボットに対して高い病原性を示した。さらに,腹腔内接種により,すべての使用株のBALB/cマウスに対する病原性が確認された。
魚病研究,46(1), 27-30(2011)

カンパチの類結節症進行における鰓の重要性

永野一郎・大嶋俊一郎・川合研児
 類結節症発生初期と思われる 2 箇所の養殖場でカンパチの死亡魚(全15尾)及び同じ生け簀内の外観健康魚(全18尾)を採集し,原因菌の局在を調べた。腎臓からの菌分離率と鰓,腎臓,脾臓における蛍光抗体法による菌検出率は,それぞれ死亡魚で87,100,100,100%,外観健康魚で 6,72,33,33%であった。外観健康魚において,腎臓から原因菌が分離されない場合でも,鰓で原因菌が高率に認められた。このことから,カンパチの類結節症の自然感染初期段階において,鰓は病気進行に重要な役割を果たす器官であると推定された。
魚病研究,46(1), 31-33(2011)

微胞子虫Loma salmonaeの軽度感染から回復したニジマスにおける抵抗性

J. E. Harkness・D. J. Speare
 ニジマスを感染魚との同居によって,L. salmonaeに実験的に軽度に感染させ,その後,感染から回復したニジマスを経口的に強いレベルで攻撃した。感染歴のない対照魚は95%以上が感染したのに対し,回復した魚の感染率は約50%に留まり,感染魚における平均キセノマ数も対照魚の約15%に減少した。この結果から,ニジマスは病魚との同居感染による軽度感染によって免疫を獲得すると結論された。免疫と養殖場での発症状況の関連を論議した。
魚病研究,46(1), 34-37(2011)

アサリに寄生するウミグモ幼生の鋭敏な検出法の開発

良永知義・小林 豊・鳥羽光晴・深山義文
 カイヤドリウミグモNymphonella tapetisのアサリに侵入した直後の微小な幼生を鋭敏に検出する方法を開発した。東京湾東岸の干潟に一週間置いてN. tapetis を寄生させたアサリの鰓を 2 N 水酸化ナトリウム溶液中で加温して溶かし,その残渣を蛍光色素Uvitex 2Bで染色して蛍光顕微鏡で検鏡した。この方法で,幼生を簡単に計数することができた。アサリ内での幼生の分布を調べたところ,そのほとんどは鰓に寄生しており,鰓がN. tapetisの初期寄生部位であることがわかった。
魚病研究,46(1), 38-41(2011)