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第45巻 4号

パーキンサス属原虫がアサリの生理と行動に与える影響

良永知義・渡邊晋士・脇 司・青木 茂・小川和夫
 様々な強度でパーキンサス属原虫に感染しているアサリ成貝のろ水率,潜砂所要時間,高水温への耐性と寄生強度との関係を調べたところ,有意な相関は見られなかった。また,瀬戸内海西部のある干潟における寄生強度の推移を一年間調査したところ,寄生強度は11月に他の月に比較して有意に低かった。これは,重篤寄生貝が産卵後の疲弊した時期に死亡している可能性を示すと考えられたが,明瞭な結論は得られなかった。パーキンサス属原虫がアサリ成貝へ悪影響を与えている明らかな証拠は得られなかった。
魚病研究,45(4),151-157(2010)

種々の温度で培養した冷水病菌のVBNC状態への移行

菅原和宏・永田恵里奈・福田文美・江口 充
 滅菌地下水中における冷水病菌の種々の温度(15,23,28および33℃)に対する生理特性(コロニー形成能,細胞膜の構造安定性およびアユへの病原性)を調べた。冷水病菌は28℃で2日以内にコロニー形成能を消失したが,細胞膜の構造が安定的に保たれていたことから,VBNC状態へ移行したと考えられた。しかし,アユへの病原性は認められなかったことから,VBNC状態へ移行した冷水病菌は増殖状態へ戻ることはなく,死滅へ向かっている過程であると推察された。
魚病研究,45(4),158-163(2010)

サケ科魚類未受精卵のヨード剤消毒による冷水病菌の垂直感染の防除

熊谷 明・縄田 暁
 109 CFU/mL以上の冷水病菌に暴露したサケ科 4魚種の未受精卵を用いて,本菌の垂直感染に対するヨード剤消毒の防除効果を検討した。その結果,媒精前に卵表面の冷水病菌をPBSで調整したヨード剤で消毒(50 ppm,15分)する方法により,発眼率を低下させることなく卵内感染および稚魚での冷水病の発生を防除することが可能であった。媒精前のPBSによる洗卵やヨード剤吸水のみでは防除できなかった。冷水病菌の垂直感染を防除するには未受精卵消毒が有効と判断された。
魚病研究,45(4), 164-168(2010)

WSSV rVP26 およびrVP28の大腸菌における発現条件とクルマエビにおける経口ワクチン最小有効投与量

佐藤 純・金 享埈・松井崇憲・西澤豊彦
 組換え大腸菌におけるrVPsの発現条件について検討した結果,rVP26 およびrVP28は,何れも0.01 mMのIPTGを添加して37℃で 4時間培養した場合に発現量が最大となった。なお,0.01 mM IPTG添加区でのrVPs収量は,1 mM添加区の 6倍以上であった。rVP26およびrVP28を10 g/g shrimp/dayで15日間連続経口投与した区のRPSは各々73%および59%であったが, 投与量の減少に伴いRPSの低下が認められた。従って,クルマエビのWSDの予防には 10 g/g shrimp/day以上のrVPsを投与する必要があると考えられた。
魚病研究,45(4),169-174(2010)

Bullseye puffer Sphoeroides annulatusに寄生させた単生虫Heterobothrium ecuadoriの発達

M. Grano-Maldonado・A. Roque・E. Fajer-Avila
 H. ecuadoriはヨリトフグ属の一種S. annulatusの鰓に寄生し吸血する。本虫の孵化幼生をS. annulatusに実験感染し得られた幼若ステージの形態を記載するとともに,成虫に至るまでの所要時間を検討した。20~23℃の水温で,攻撃 5から10日後には 2対の把握器が観察され,3対目が出現し始めた。15日後には4対の把握器が,20日後には雄性交接器原基,精巣と卵巣が見られた。25から30日後には成虫が出現した。飼育水中への虫卵の出現により産卵開始は寄生33日後と推定された。
魚病研究,45(4),175-178(2010)

Hafnia alveiのRTG-2細胞への付着,侵入および生存性

D. Padilla・F. Acosta・J. Vega・L. Sorroza・L. Roman・J. Bravo・F. Real・J. Vivas
 Hafnia alveiは,様々の魚類および動物から分離される腸内細菌科のグラム陰性桿菌で,ニジマス等のサケ科魚類に病原性を有する。本研究では,H. alveiの付着,侵入および生存性についてRTG-2 細胞を用いて検討した。H. alveiは,RTG-2 細胞に効率良く付着した。興味深いことに,魚類由来株に比べヒト由来株の方がRGT-2 細胞に対し高い付着性が認められた。RTG-2 細胞に付着したH. alveiは,細胞内に侵入後,少なくとも48時間は生存した。なお,熱処理したH. alveiでは,細胞への付着性は認められなかった。
魚病研究,45(4),179-182(2010)