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第45巻 3号

ベトナム・ニャチャン湾の卵・仔魚に内部寄生する渦鞭毛虫Ichthyodinium sp. 感染の長期変動

A. M. Shadrin・D. S. Pavlov・M. V. Kholodova
ベトナム・ニャチャン湾の卵・仔魚に内部寄生するIchthyodinium sp. の感染を季節ごとに長期に渡り調査した。寄生虫の同定は形態と18S rRNA塩基配列によって行った。塩基配列は沖縄の種苗生産スジアラから報告されたものと一致した。1993年に初めて検出された後,感染率は2004年までは増加し続け,その後,2007年まで高位で推移し,2008-2009年で減少したものの,2010年に再び急増した。感染率は,異なる分類群の魚種間で差異が見られた他,近縁な魚種間でも大きな違いが見られた。
魚病研究,45(3), 103-108(2010)

Acremonium sp. に対する各種抗真菌剤のin vitroおよびin vivoでの効果

P. M. Duc・和田新平・倉田 修・畑井喜司雄
 罹病シャコより分離されたAcremonium sp. は,in vitroで抗真菌剤,ボリコナゾール,アンホテリシンBおよび塩酸テルビナフィンに感受性を示した。Acremonium sp. に人為感染させたクルマエビにボリコナゾールを経口および筋肉内投与した結果,肉眼所見,死亡率および病理組織学的所見より,本薬剤はAcremonium sp. に対して有効な抗真菌剤であることが示された。
魚病研究,45(3), 109-114(2010)

種苗を放流した河川での冷水病の発生状況調査

熊谷 明・縄田 暁・谷合祐一
 放流前の検査で冷水病菌陰性の人工アユ種苗を放流しているにもかかわらず,毎年本病が発生している河川の感染源を検討した。2006,2007年に放流前の検査で本菌が分離されなかった種苗を冷水病菌フリー用水で成熟期まで継続飼育した結果,両年とも陽性であったことから,放流魚が保菌していたと考えられる。これらの放流後,天然魚と放流魚における本病の発生状況を調査した結果,両年とも6~8月に冷水病が発生したが,発病源は06年が放流魚,07年が天然魚と放流魚であった。成熟期には90%以上のアユから本菌が検出された。
魚病研究,45(3), 115-120(2010)

ヒラメ白血球包囲化反応における顆粒球およびケモカインの活性

倉田 修・N. Kitancharoen・藤原篤志・中易千早・和田新平・畑井喜司雄
 Ichthyophonus hoferiの多核球状体に対するヒラメ白血球のin vitro包囲化反応では,ペルオキシダーゼ陽性の顆粒球が多数を占めていた。顆粒球はI. hoferiに接着し,その周囲を取り囲んでいた。包囲化の過程において,3種類のCCケモカインおよび1種類のCXCケモカインのmRNA発現上昇が確認された。特に,CC-CLMおよびIL-8 は顆粒球により産生され,異物包囲化の初期反応における顆粒球の重要性が示唆された。
魚病研究,45(3), 121-129(2010)

PCRによるスクーチカ症の原因繊毛虫Miamiensis avidusの同定および検出

丹下菜穂子・宋 準榮・北村真一
 形態観察による同定が難しいスクーチカ症原因繊毛虫Miamiensis avidusを特異的に検出するため,SSU rRNA遺伝子を標的としたPCR法を確立した。本PCRの検出限界はDNA量にして 125 fgであり,他のスクーチカ繊毛虫3種のDNAを増幅しなかった。感染したヒラメ群をPCR検査した結果,発症魚の90%,未発症魚の50%が陽性となり,特に脳での検出率が高かった。以上より,本PCRはM. avidusの同定および魚体からの迅速検出に有効であることが明らかとなった。
魚病研究,45(3), 130-132(2010)

シャコより分離されたPlectosporium oratosquillaeおよびAcremonium sp.のクルマエビに対する病原性

P. M. Duc・和田新平・倉田 修・畑井喜司雄
 シャコより分離された不完全菌Plectosporium oratosquillae NJM 0662 とAcremonium sp. NJM 0672 の分生子浮遊液をクルマエビに筋肉注射した結果,いずれの菌もクルマエビを死亡させた。病クルマエビの鰓には多数の黒色点が出現し,病理組織学的に鰓弁内および接種部周囲に菌糸が観察され,それらは血球によって取り囲まれていた。供試した菌はクルマエビに病原性を有することが示された。
魚病研究,45(3), 133-136(2010)

ベタにみられた腎芽腫

E. D. Lombardini・M. Law・B. S. Lewis
 米国でベタBetta splendensの成魚に腎芽腫がみられた(2症例)。いずれの症例も,腫瘍塊は腎臓組織の90%以上を占めていた。病理組織学的にはこれらの腫瘍は,芽球細胞,未熟な間葉系組織および糸球体様構造を形成する上皮性細胞より構成されていた。また。最初の事例では嚢胞性の腫瘍塊が体腔の2/3をおおい,他の事例では白色の腫瘍塊が頭蓋から背びれにかけて広がっていた。Wilms' Tumor-1診断用抗体との反応性は不明瞭であった。本論文はベタにおける腎芽腫の初報告である。
魚病研究,45(3), 137-139(2010)

16S rDNAを標的としたPiscirickettsia salmonis検出用PCRの改良

坂井貴光・熊谷 明・太田祐達・大迫典久・佐野元彦・飯田貴次
 ピシリケッチア症の診断法として16S rDNAを標的とするPCRによる原因菌の検出が報告されているが,そのプライマー領域の塩基配列に変異を生じている菌株が存在する。そこで,新たに特異的なプライマーを設計した結果,特異性と検出感度が向上した。さらに,本PCRにより人為感染魚の肝臓と腎臓からP. salmonisが検出された。従って,本PCRはピシリケッチア症の診断に利用できると考えられた。
魚病研究,45(3), 140-142(2010)

タイのエビ養殖場から伝達性Rプラスミドを有するVibrio多剤耐性株の分離

N. Tipmongkolsilp・近藤秀裕・廣野育生・青木 宙
 タイの7地域の養殖エビおよび養殖池水より1,049株の薬剤耐性菌を分離した。その内142株はVibrioに分類でき,大腸菌との混合培養により,16株より伝達性R プラスミドを検出した。Rプラスミドは,アンピシリン,クロラムフェニコール,ストレプトマイシン,スルファモノメトキシン,テトラサイクリンおよびトリメトプリムの1剤から5剤の組み合わせの耐性であり,6つの耐性パターンが確認された。タイのエビ養殖場よりRプラスミドを有するVibrioを初めて分離した。
魚病研究,45(3), 143-146(2010)