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第45巻 1号

硬骨魚類のToll様受容体システム

高野倫一・Hwang Seong Don・近藤秀裕・廣野育生・青木 宙・佐野元彦
 高等動物のToll様受容体(TLR)は病原微生物構成成分のパターンを認識し, 自然免疫の誘導や獲得免疫の調節に関わる。魚類TLRの機能について解析することは養殖魚と病原微生物の関わりを理解する上で重要である。硬骨魚類にはTLRが15種類存在し, その中にはほ乳動物に見つかっていないタイプのTLRがある。ここでは, 硬骨魚類のTLRの多様性やTLRシグナル伝達に関わる分子について概説し, 魚類TLRによる病原微生物認識機構を紹介する。
魚病研究,45(1), 1-16(2010)

ヒラメの自然免疫に及ぼすEdwardsiella tarda菌体外産物の影響

D. C. Lee・D. H. Kim・S. I. Park
 E. tarda強毒株の菌体外産物(ECP)のヒラメ貪食細胞に対する影響を調べた。高濃度のECPでは,貪食作用,貪食された菌体に対する殺菌活性およびマクロファージの化学発光能が低下したが,マクロファージのNO産生能は著しく増加した。一方,低濃度の場合では,細菌の貪食細胞への侵入性および化学発光能が増加した。これらの結果は,適量のE. tarda由来ECPがヒラメの細胞性免疫を刺激すること,ならびにECPがアジュバントとして利用できる可能性を示唆している。
魚病研究,45(1), 17-23(2010)

アユ仔魚に発生したPythium flevoenseによる内臓真菌症

三浦正之・畑井喜司雄・東條元昭・和田新平・小林咲麗・岡崎 巧
 2007年と2008年に, 山梨県水産技術センターで種苗生産中のアユ仔魚に内臓の白濁を伴う死亡が発生した。本病による累積死亡率は19-33%で,病魚の白濁部位には直径約 5 μmの無隔壁菌糸が多数観察された。病魚から分離された真菌はその形態および遺伝学的解析からフハイカビ科のPythium flevoenseに同定された。病理組織検査の結果,鰾の崩壊および鰾内に多数の菌糸が確認されたことから,本菌の誤嚥が感染の原因と考えられた。
魚病研究,45(1), 24-30(2010)

サケ科魚類における細菌性冷水病菌の卵内感染機序

熊谷 明・縄田 暁
 実験感染により冷水病菌のニジマス卵内への感染機序を検討した結果,106 CFU/mL以上の菌濃度に暴露した未受精卵を定法により受精・吸水することで卵内感染が成立した。その際, 卵表面の汚染菌濃度が高いほど感染率が高いこと,感染時に 10 CFU/卵以下であった菌が発眼期までに 107 CFU/卵以上に増殖すること,菌は主に囲卵腔内で増殖するが,感染卵は死亡しないことが判明した。以上のことから,体腔液中の菌濃度が 106 CFU/mL以上の親由来の卵を洗卵せずに受精した場合,卵内感染が起こる可能性がある。
魚病研究,45(1), 31-36(2010)

ヒラメのStreptococcus parauberis実験感染における接種部位の検討

森 京子・福田 穣・東郷有紗・三吉泰之・延東 真
 ヒラメの腹腔内,血管内,体側筋肉内,背鰭基部挙屈筋内,背鰭基部皮下または前鰓蓋外側皮下にS. parauberisを接種したところ,腹腔内接種では保菌状態になるものの,死亡個体が出現しない場合があった。腹腔内以外の接種法では比較的高い累積死亡率が得られたが,接種菌量と死亡率に正の関係が認められたのは皮下接種法だけであった。皮下接種感染魚の肉眼症状,病理組織ともに自然感染魚と異なる像は観察されなかったことから,皮下組織は感染実験の接種部位として妥当と思われる。
魚病研究,45(1), 37-42(2010)

河川アユから分離されたEdwardsiella ictaluriの血清型

E. S. Hassan・M. M. Mahmoud・H. D. Nguyen・湯浅 啓・中井敏博
 2007-2008年に日本各地の河川のアユから分離されたEdwardsiella ictaluri株について,その血清学的性状をウサギ抗血清でのスライド凝集試験により調べた。供試したアユ由来13株はいずれも同一の抗原性を示し,インドネシアおよびベトナムでナマズから分離されたE. ictaluri 6株中の5株がこれと類似した抗原性を示した。残る1株とアメリカナマズ由来のE. ictaluri基準株はこれらとは異なる抗原性を示し,別の血清型に分類された。この抗原性の相違は血清吸収試験により裏付けられた。
魚病研究,45(1), 43-46(2010)