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第44巻 4号

分子進化に伴い変化するIHNVの病原性

望月万美子・金 亨埈・笠井久会・西澤豊彦・吉水 守
 2006年に分離されたIHNV日本株のGタンパク質遺伝子を解析した結果,IHNV日本株には静岡系および長野系が存在し,これらは日本のニジマス養殖環境下で今なお進化していることが示された。2006年分離株のニジマスに対する病原性を比較した結果,静岡系株での累積死亡率は76%以上であったが,長野系株では20-40%,また比較に用いた1976年の分離株では10%以下と,各株の病原性に差異が認められた。従って,ニジマス養殖環境下でのIHNVの分子進化に伴い,IHNVのニジマスに対する病原性も変化していると考えられた。
魚病研究,44(4), 159-165(2009)

アユ卵の水カビ病における塩化カリウムの抗真菌効果

三浦正之・畑井喜司雄・大野平祐・加地奈々・名倉 盾
 KClの水カビ病原因菌への影響及びアユ卵の水カビ病発生防除効果について検討した。0.24%までのKClは,水カビ病原因菌の菌糸の伸長及び遊走子の発芽を抑制しない一方,遊走子の運動を0.03%で1分以内に顕著に抑制した。KCl溶液中で,アユ卵を受精後から発眼期まで飼育した結果,0.06%及び0.12%では水カビ病の発生が抑制された。また,この濃度で発眼率,孵化率及び奇形率に悪影響はみられなかった。KClはアユ卵の水カビ病発生防除に有効であると考えられた。
魚病研究,44(4), 166-171(2009)

生体染色と感染実験によるEnteromyxum leeiの海水中における生残能力の推定

横山 博・蔭山栄裕・柳田哲矢・小川和夫
 粘液胞子虫性やせ病原因虫の 1 種Enteromyxum leeiの栄養体を蛍光色素で生体染色することにより,in vitroでのE. leeiの生死判定法を開発した。この染色法と未感染トラフグまたはクサフグへの感染実験を併用して,E. leeiの海水中における生残能力を調べた。In vitroでは20°Cで12~24時間以内に失活したが,感染実験では24時間後で感染力を保持している場合もあった。E. leeiの海水中での生残時間は,条件にもよるが約24時間以内であると推定された。
魚病研究,44(4), 172-177(2009)

浸漬法によるヒラメ稚魚へのTenacibaculum maritimum実験感染法の検討

西岡豊弘・渡辺研一・佐野元彦
 ヒラメ稚魚に対する浸漬法によるT. maritimumの実験感染条件について検討した。攻撃菌濃度が 107.9 CFU/mLの時,いずれの試験水温(15°C,20°C,25°C)でも80%以上の死亡率となった。106.9, 105.9 CFU/mL攻撃ではどの水温でも死亡率はそれぞれ20-40%,0%と低かった。死亡魚には口部の発赤や体表のびらんが認められ,患部より菌が再分離された。魚体通過させ,シードロット法で保存した菌株を使用したことが,強い感染力と再現性のある結果をもたらしたと考える。
魚病研究,44(4), 178-181(2009)

わが国におけるサケ・マス類の病原ウイルス,特に伝染性サケ貧血症ウイルスの浸潤状況

笠井久会・岩脇周平・吉水 守
 伝染性サケ貧血症ウイルス(ISAV)の浸潤状況を明らかにすることを目的に,2005~2007年にかけてサケ科魚類8種5,967尾のメス親魚から体腔液を採取し,ASKおよびASE細胞を用いてウイルスの分離培養を試みた。その結果,ISAV はいずれの検体からも分離されなかったが,3魚種116尾から伝染性造血器壊死症ウイルス (IHNV) が,また3魚種14尾から伝染性膵臓壊死症ウイルス (IPNV) が分離された。従って,ISAVは日本未侵入であると考えられた。
魚病研究,44(4), 182-184(2009)

アサリに寄生するPerkinsus olseniとP. honshuensis のPCR-RFLPによる識別法の開発

高橋美希・良永知義・脇  司・川 潤・小川和夫
 アサリに寄生するパーキンサス属原虫2種のPCR-RFLPによる識別法を開発した。未感染のアサリの鰓と培養した栄養体を混合した試料では,P. olseniとP. honshuensisの検出限界は,アサリ鰓 10 mgあたりそれぞれ100細胞と1細胞であった。この方法によって,瀬戸内海西部のアサリにこの2種の混合感染が確認された。P. honshuensisは本虫が最初に確認された三重県以外にも広く分布することが示唆された。
魚病研究,44(4), 185-188(2009)