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第44巻 3号

クルマエビにおけるWSSV rVP26 およびrVP28を用いた経口ワクチンの持続期間と追加投与効果

佐藤 純・西澤豊彦・吉水 守
 WSSV(=PRDV)の組換えタンパク質rVPsを経口投与したクルマエビのWSSV防御効果は,投与45-55日後にピークとなったが,その10日後から減少し,106日後までに消失した。防御効果が残る初回投与75-81日後にrVPsを追加投与したところ,防御の回復が認められた。防御効果が消失した104-108日後に追加投与したところ,投与22日後に再び防御のピークが認められた。なお,初回投与と異なるrVPを追加投与した場合の防御は,同じrVP投与時に比べ明らかに低かった。
魚病研究,44(3), 120-127(2009)

Ochroconis humicola人為感染シマアジの病理組織像

C. Munchan・倉田 修・和田新平・畑井喜司雄・中岡典義・川上秀昌
 本研究ではOchroconis humicola NJM 0472 を人為感染させたシマアジ稚魚の病理組織像を自然感染例と比較した。両群の瀕死魚および死亡魚に認められた病理組織像は類似し,腹腔内臓器へ菌糸が伸長することが死因と思われた。生残魚は肉芽腫と肉芽組織よりなる発達した炎症反応で菌糸の成長を抑制し得たと思われた。シマアジ稚魚のO. humicola感染症には伸長した菌糸が直接組織を破壊する急性型と,重度な炎症性反応によって感染臓器に機能障害を来す慢性型が存在することが示唆された。
魚病研究,44(3), 128-132(2009)

Pseudodactylogyrus spp.のウナギ寄生に対する高水温処理の効果

田中 眞・佐藤孝幸・松山 創
 養鰻池水中のシュードダクチロギルス(Pd)の浮遊卵数は,夏季に水温32°C以上では減少した。秋季,水温が30°C以下に低下すると,卵数は増加して最高に達したが,冬季には減少した。そこで,飼育水温とPd寄生との関係を実験的に調べたところ,寄生数は,水温29°Cでは20日間ほぼ一定であったのに対し,32°Cでは徐々に減少し,35°Cでは5日間で虫体はほぼすべて脱落した。35°Cで5日間の昇温飼育は養殖場で発生した本病に対して治療効果を示した。
魚病研究,44(3), 133-138(2009)

BKD原因菌の培養上清を用いたKDM-2の改良

松井崇憲・西澤豊彦・吉水 守
 KDM-2 培地での細菌性腎臓病(BKD)原因菌Renibacterium salmoninarum(R.s.)の増殖は,103 cells/mL未満になると低下するが,R.s.培養上清(SMRs)の添加により,少数のR.s.培養が可能となった。SMRsの増殖補助因子は,60°C・30分および-20°C・7日の処理に対し安定であった。12~300 CFUのR.s.を培養したところ,SMRs添加培地ではFBSの有無に関わらずほとんどの菌が集落を形成したが,非添加培地で形成された集落数は半数以下であり、SMRsの添加により少数のR.s.も分離培養できることが示された。
魚病研究,44(3), 139-144(2009)

天然シャコのハリオティシダ感染

熱海博子・村長保憲・畑井喜司雄
 2006年に東京湾から採捕されたシャコOratosquilla oratoriaの鰓内に多数の菌糸が繁殖し,鰓が淡褐色を呈している事例が見出された。鰓から分離された菌の形態と遊走子の産生様式から,感染菌は卵菌類のHalioticida 属に分類された。さらにLSU rDNAの D1/D2 領域の塩基配列をこれまでに報告されている卵菌類と比較した結果,アワビの卵菌症原因菌であるH. noduliformansと同定された。また,シャコを用いた感染試験の結果,本菌がシャコに感染することを確認した。これはシャコの卵菌類感染の初めての報告である。
魚病研究,44(3), 145-150(2009)

サマーフラウンダー稚魚にみられたレオウイルス様ウイルス感染症

和田新平・倉田 修・畑井喜司雄・E. J. Noga・M. J. Dykstra・J. S. Burke
 米国で人工種苗生産されたサマーフラウンダーParalichthys dentatusの稚魚に亜急性から慢性の大量死亡が発生した。病魚には,壊死した多核巨細胞(合胞体)が多発する重篤な壊死性肝炎が認められた。透過型電顕下では,これら合胞体の細胞質内に結晶様配列をしたレオウイルス様の粒子がみられたことから,本病はウイルス病であることが示唆された。本報告はサマーフラウンダーでウイルス病が疑われた初の事例である。
魚病研究,44(3), 151-153(2009)