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第44巻 2号

コイヘルペスウイルスの分子疫学

栗田 潤・他15名
 日本を含むアジア,ヨーロッパ,アメリカおよびイスラエルの各地のコイヘルペスウイルス(KHV)59株について,ゲノム領域 3 箇所の塩基配列を比較した。その結果,アジアの KHV は 1 塩基違いの 2 変異株(アジア型)しか認められなかった。一方,アジア以外の地域では,相似する 7 変異株が認められ,これらはアジア型とは大きく異なるヨーロッパ型として分類できた。これらのことから,アジアの KHV とその他の地域の KHV とではその起源が異なり,双方の KHV は互いに相手地域の KHV に由来するものではないと推察された。
魚病研究,44(2),59-66(2009)

養殖場におけるフェバンテルを用いた養殖トラフグのエラムシ症治療試験

木村武志・野村昌功・川上秀昌・板野公一・岩崎政彦・森田 淳・榎本純吾
 海面のトラフグ養殖場でエラムシ Heterobothrium okamotoi に感染したトラフグに,魚体重 1 kg 当たり12.5 mg または 25 mg のフェバンテルを 5 日間連続で経口投与する治療試験を 6 回行った。1 つの試験は対照区を含む 3 区で,1 区当たり2,500尾から4,500尾の当歳魚を用いた。駆虫率にはバラツキが見られたが,最大で80.9%を示した。投与による摂餌低下や異常死等の副作用は観察されなかった。
魚病研究,44(2),67-71(2009)

サケ科魚類の粘液胞子虫性眠り病:神経組織寄生Myxobolus 属の新種 M. murakamii の記載

浦和茂彦・飯田悦左・M. A. Freeman・柳田哲矢・E. Karlsbakk・横山 博
 日本と欧米のサケ科魚類神経系に寄生する粘液胞子虫類 Myxobolus 属数種の種間関係を形態と遺伝子解析により比較し,広島産ヤマメやアマゴの末梢神経に寄生し眠り病を起こす原因虫の分類学的位置を検討した。眠り病原因虫の SSU rDNA 塩基配列は他種と明らかに異なったが,北海道産サクラマスの末梢神経寄生種とは99.5%一致した。両者は粘液胞子の形態も類似し,同一の新種と判断され,Myxobolus murakamii と命名した。
魚病研究,44(2),72-80(2009)

シャコから分離された Plectosporium oratosquillae と Acremonium sp. のシャコに対する病原性

P. M. Duc・畑井喜司雄
 山口県と愛知県の罹病シャコの鰓から分離された 2 種類のアナモルフ菌(P. oratosquillae NJM 0662と A. sp. NJM 0672)のシャコへの病原性を検討した。2 濃度の分生子浮遊液(5.0×106 と 5.0×104 分生子/mL)を筋肉注射した結果,25日後の死亡率は NJM 0662 株の高濃度群と低濃度群で100%と60%,NJM 0672 株では,100%と80%であった。鰓には多数の菌糸と分生子が確認され,鰓は褐色を呈した。自然発症シャコと同一病徴が再現されたため 2 種の菌はシャコの病原菌と判断された。
魚病研究,44(2),81-85(2009)

エビ病原ウイルスを接種した昆虫細胞におけるウイルス抗原の持続発現

A. Sriton・N. Kanthong・W. Gangnonngiw・S. Sriurairatana・S. Ubol・T. W. Flegel
 感受性を持つ樹立細胞の欠如が甲殻類病原ウイルスの実験を困難にしている。そこで,蚊と鱗翅類の細胞株(C6/36, Sf9)に WSSV(=PRDV)あるいは YHV を接種後,分散継代を行い,特異抗体でウイルス抗原の発現を調べた。接種した細胞は正常な外観を呈したが,ウイルスに対して PCR 陽性であった。ウイルス抗原は全ての細胞で発現し,継代可能であった。本法は他のエビ類病原ウイルスにも応用可能な研究方法と考えられる。
魚病研究,44(2),86-93(2009)

クルマエビにおける PRDV に対する DNA ワクチン接種後の自然免疫関連遺伝子の発現解析

河野智哉・園田航平・北尾陽一・米加田 徹・伊丹利明・酒井正博
 PRDV に対する DNA ワクチンを開発し,有意に防御能が増加することを確認した。また,ワクチン接種後 1,3 および 7 日目において,ワクチン抗原である VP28 の mRNA が多くの臓器で確認された。さらに,自然免疫関連遺伝子 Rab7,penaeidin,lysozyme および crustin の発現が,ワクチン接種により顕著に増加した。以上の結果から,DNA ワクチンによる PRDV に対する防御能の獲得には,自然免疫の活性化が関与すると考えられた。
魚病研究,44(2),94-97(2009)