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第43巻 4号

ホシガレイ人工種苗の筋肉寄生微胞子虫

横山 博・横山文彦・章 晋勇・鶴岡幸太・小川和夫
 ホシガレイ人工種苗の体側筋肉に多数のシストを形成する微胞子虫が検出された。発病は 7 月中旬から 9 月末に起こり,累積死亡率は約20%に達した。体表が凸凹を呈する病徴はブリやマダイのべこ病に類似していたが,病巣周囲の出血など相違点も観察された。ホシガレイの微胞子虫(Microsporidium sp. SH)はブリやマダイ寄生の近縁種と比べて胞子のサイズがやや小さかったが,明瞭な差ではなかった。一方,rDNA 配列から別種であることが示唆された。
魚病研究,43(4),137-143(2008)

ニホンウナギとヨーロッパウナギの単生類シュードダクチロギルス寄生に対する感受性の比較

方 建平・白樫 正・小川和夫
 ニホンウナギとヨーロッパウナギに Pseudodactylogyrus bini と P. anguillae の孵化幼生を暴露した。その結果,2 種の寄生虫はヨーロッパウナギにより多く寄生した。曝露後 3 週以降に寄生虫の成熟・産卵によって出現した次世代の寄生虫もヨーロッパウナギに多く寄生していた。また,いずれの寄生虫もヨーロッパウナギの鰓弁上のほうが速く成長した。以上のことから,本来の宿主ではないヨーロッパウナギのほうが P. bini と P. anguillae の寄生に対して感受性が高いことが実験的に示された。
魚病研究,43(4),144-151(2008)

河川のアユに発生した Edwardsiella ictaluri 感染症

坂井貴光・釜石 隆・佐野元彦・天社こずえ・有馬多恵子・飯田悦左・永井崇裕・中井敏博・飯田貴次
 2007年 8 月中旬から10月上旬にかけて,東京都,山口県および広島県の河川でアユの死亡魚が観察された。ほとんどの個体で血液の混じった腹水の貯留が認められ,一部の個体では体表及び肛門部の発赤,眼球突出がみられた。病魚の腎臓または脾臓から Edwardsiella ictaluri に同定される菌が純培養状に分離された。分離菌を用いた感染実験によってアユに対する病原性が確認され,死亡魚には自然発病魚と同様の症状がみられた。本報は日本における E. ictaluri 感染症の初確認である。
魚病研究,43(4),152-157(2008)

河川のアユ病魚から分離された Edwardsiella ictaluriの性状

永井崇裕・岩本恵美・坂井貴光・有馬多恵子・天社こずえ・飯田悦左・飯田貴次・中井敏博
 河川で発生したアユ病魚から分離された細菌について分類学的検討を行った。供試した 4 株は全て同じ性状を示し,Edwardsiella 属に分類された。分離菌は37℃で増殖せずインドール陰性であることからE. tardaとは区別され,その表現型性状は E. ictaluri に類似した。また, 16S rDNA, etfA および dnaJ 遺伝子の塩基配列はE. ictaluri と高い相同性を示した。これらの結果から分離菌は E. ictaluri に同定された。
魚病研究,43(4),158-163(2008)

飼育条件の早期改善によるヒラメのエドワジエラ症死亡率の低下

宮崎統五
 ヒラメ集団中に Edwardsiella tarda を接種したヒラメを同居させ,生体防御能および血液性状を測定し,集団にエドワジエラ症が拡大したと判断した。死亡が発生する前の時点で,密度を 1/3 に下げて換水率を 3 倍にした飼育条件下に集団の一部を移した。この群の累積死亡率は,死亡発生後に飼育条件を同様に改善した群および飼育条件を変えなかった群のそれより有意に低かった。エドワジエラ症の流行を病気が顕在化する前の早期に発見し,飼育条件を改善することで被害を低減できると考えられた。
魚病研究,43(4),164-166(2008)

越冬アユから分離された細菌性冷水病原因菌Flavobacterium psychrophilum

宮崎統五
 越冬アユ23尾を2007年 4 月中旬に採集して細菌性冷水病菌フリーの飼育水中で高密度飼育した。衰弱または死亡魚の腎臓から得られた黄色集落を PCR-RFLP 法で分析したところ,9 尾から細菌性冷水病菌が分離され,A/R/QR または A/S/QR の遺伝子型に分けられた。それぞれの遺伝子型の菌 1 株ずつを用いた攻撃試験では,いずれもアユに病原性を示した。これらの結果より,越冬アユは新規加入アユへの細菌性冷水病菌のキャリアと考えられた。
魚病研究,43(4),167-169(2008)

LAMP 法による IHHN ウイルスの迅速・定量検出

R. Sudhakaran・米加田 徹・河野智哉・K. Supamattaya(故)・N. T. H. Linh・酒井正博・伊丹利明
 伝染性皮下造血器壊死症原因ウイルス(IHHNV)検出を目的とした定量 LAMP 法の開発を行った。4 種のプライマーを設計したところ,63℃ の一定温度で60分の反応で標的遺伝子の増幅が可能であった。検出感度は 102〜103 copies/μLであった。エビ類病原ウイルスである PRDV(=WSSV),YHV および TSV の DNA あるいは cDNA,並びに健康エビの DNA との交差性はなく,特異性を示した。以上の結果から,IHHNV 検出用定量 LAMP 法は迅速・定量検出法として適した方法であると考えられた。
魚病研究,43(4),170-173(2008)