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第43巻 3号

人為感染によるクルマエビ急性ウイルス血症のクルマエビ心臓の電子顕微鏡観察

宮崎照雄・山口華奈・安本信哉・高橋幸則
 PRDV を人為感染させたクルマエビの心臓の病変について再検討した結果,心筋組織に激しい壊死が観察された。心筋組織の衛星細胞,未熟心筋細胞および心筋細胞が感染を受けて壊死していた。これらの細胞の核内には PRDV の顕著な増殖像がみられ,壊死細胞から多数のウイルス粒子を含む核が心腔内に放出されている像が確認された。心筋組織の細胞の壊死が,病エビの死亡に関わる病変であるだけではなく,ウイルス血症の一要因であると判断された。
魚病研究,43(3),97-105(2008)

ブリより分離された Mycobacterium marinum に対する薬剤のin vitro と in vivo における効果

S. Weerakhun・畑井喜司雄・村瀬拓也・平江多積
 ブリから分離された M. marinum はストレプトマイシン(SM),カナマイシン,スルファメタキサゾールに感受性を示した。そこでこれらの薬剤の有効性を比率法で検討した結果,SM は M. marinum の発育を最も抑制した。ブリに M. marinum を筋注 4 時間または10日後から SM を魚体重 1 kg あたり25または 50 mg/日で 7 日間経口投与した結果,4 時間後から 50 mg を投与した試験区のブリの死亡率が他の試験区よりも低かった。今後,SM の適正投与時期についてさらに検討する必要がある。
魚病研究,43(3),106-111(2008)

IHNV および同属のウイルスを抗原とした ELISA によるニジマス血清中の抗 IHNV 抗体検出法

金 尉植・望月万美子・西澤豊彦・吉水 守
 IHNV および同属のウイルスを ELISA 抗原とし,ニジマス血清中の抗 IHNV 抗体検出について検討した。ニジマス血清にはウイルス培養液中に含まれる FBS あるいは細胞片などの夾雑抗原に対する抗体が含まれていることから,IHNV と同属であるが,血清学的に異なる VHSV あるいは HIRRV の培養液を ELISA 抗原として測定した吸光値を,IHNV を抗原とした場合の吸光値から差し引くことで,IHNV に対する特異抗体を正確に検出できることが示された。
魚病研究,43(3),112-116(2008)

コロニーブロットおよび免疫染色による冷水病原因菌の定量的検出

三坂尚行・西澤豊彦・吉水 守
 サケ体腔液および腎臓組織から改変サイトファーガ培地で分離した菌をコロニーブロットした後,冷水病菌に対する抗血清で免疫染色した。その結果を画像処理したところ,陽性反応の黄色コロニーは全て冷水病菌であった。冷水病菌に加え Flavobacterium spp., Pseudomonas spp., Chryseobacterium sp. およびサケから分離した黄色コロニーを同法に供したところ,冷水病菌のみに陽性反応が認められ,特異性が確認された。本法により冷水病菌の定裏的検出が可能であると考えられる。
魚病研究,43(3),117-123(2008)

Flavobacterium psychrophilum 検出 PCR 法の信頼性

鈴木究真・新井 肇・久下敏宏・片桐孝之・泉 庄太郎
 F. psychrophilum 検出のための 16S rDNA,gyrA,gyrB および ppiC を標的とした PCR 法について,検出感度と特異性を比較検討した。その結果,供試した82分離株では 16S rDNA,gyrB および ppiC を標的としたPCRは同程度の感度と特異性を示したが,gyrA を標的としたPCRでは偽陽性があらわれた。鰓洗浄液(55検体)を材料とした場合は,16S rDNA 標的 PCR による検出率が最も高かったが,偽陽性があらわれる可能性も高かった。鰓洗浄液からの偽陽性を防ぐ点では gyrB および ppiC を標的とした PCR 法が優れていると判断される。
魚病研究,43(3),124-127(2008)

熱帯魚ブルーグラリスの腸管にみられた腺癌の免疫組織化学

G. E. Magi・E. Di Cicco・G. Rossi
 ブルーグラリス(全長 12 cm,3 歳)に不定形の硬い腫瘍が形成された。原発組織は腸管で,腫瘍は腹腔を占拠していた。組織学的には腫瘍内部は増殖した上皮細胞が不定形の塊として配列し,乳頭・管状の腺構造を呈していた。腫瘍組織は腸管の粘膜下織から筋層まで浸潤し,間質には繊維芽細胞や化生した軟骨組織も認められた。免疫組織化学的には腫瘍細胞はサイトケラチン AE1/AE3,PCNA および変異型 p53 タンパクに陽性であった。これらの特徴から,本腫瘍を腸組織の腺癌と診断した。
魚病研究,43(3),128-131(2008)