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第43巻 2号

海洋細菌 Pseudoalteromonas sp. A1-J11株が産生する抗菌物質の化学構造と抗菌活性との相互関係

C. S. d. Castilo・吉川 毅・橋本雅仁・坂田泰造
海洋細菌 Pseudoalteromonas sp. A1-J11株の培養液から HPLC で分離精製した抗菌物質 AVS-03d を質量分析および核磁気共鳴分析に供した。その結果,化学構造から 2-n-pentyl-4-quinolinol と同定された。AVS-03d は数種の合成 quinolinol 化合物と比較して,Vibrio harveyi に対して顕著な増殖阻害活性を示すことから,アルキル側鎖の長さが抗菌活性に重要であることが示唆された。
魚病研究,43(2),65-71(2008)

ウイルス性表皮増生症罹病ヒラメ仔魚における呼吸および浸透圧調節機能障害

飯田悦左・廣井準也・難波憲二・中井敏博
表皮増生症の原因ウイルス(FHV)を人為感染させたヒラメ仔魚は,通常の酸素分圧下に比べ高酸素分圧下(280 Torr 以上)では高い生残率を示した。また,高酸素分圧下においては,塩分濃度の低下に伴い生残率の向上が認められた。表皮に存在する塩類細胞を免疫組織学的に検出したところ,塩類細胞数は正常魚に比べて FHV 感染魚で有意に少なかった。これらのことから,FHV 感染魚は呼吸と浸透圧調節機能が阻害されるため死に至ると推測された。
魚病研究,43(2),72-78(2008)

ウナギのウイルス性血管内皮壊死症に対する昇温処理および無給餌の効果

田中 眞・佐藤孝幸・馬 文君・小野信一
血管内皮壊死症原因ウイルスを接種したウナギは,飼育水温20~31℃の範囲では水温の上昇に伴い死亡率は高くなったが,35℃では20℃と同程度の低い死亡率を示した。また,ウイルスを接種した魚を35℃で無給餌飼育すると死亡率はさらに低下した。この高水温無給餌処理の効果は 3 日間で認められ,5 日間以上行うとさらに増大した。また,本処理により生残した魚は,ウイルスの再感染に対し強い抵抗性を示した。
魚病研究,43(2),79-82(2008)

コイヘルペスウイルス感染魚の死亡とウイルス排出に及ぼす水温の影響

湯浅 啓・伊東尚史・佐野元彦
KHV を人為感染させたマゴイを16℃,23℃および28℃で飼育したところ,それぞれ21~52日,5 ~20日および 7 ~14日後に死亡が認められた。また,感染マゴイと健康ニシキゴイとの同居感染実験の結果から,感染したマゴイから感染性ウイルスが排出される期間は,16℃では感染後 7 ~40日,23℃では 1 ~14日および28℃では 3 ~14日であった。すなわち,低水温ではウイルス排出期間が長く,これらの魚は長期間にわたりウイルスの感染源となると考えられた。
魚病研究,43(2),83-85(2008)

血清抗体価測定による養殖ブリの Nocardia seriolae 感染時期の推定

板野公一・川上秀昌・河野智哉・酒井正博
養殖ブリのノカルジア症における感染時期を推定するため,間接 ELISA 法を用いてブリ血清の N. seriolae に対する抗体価を測定した。2001年 7 月から2002年 5 月にかけて,愛媛県内の異なる海域の2養殖場でブリの血清抗体価を調べた。その結果,両養殖場ともに本症による死亡魚が出現する 1 ~ 2 か月前の 8 月から抗体価が上昇し,翌年の1月まで高い水準で維持された。このことから,高水温となる 7 ~ 8 月頃が養殖ブリへの N. seriolae の感染時期と推察された。
魚病研究,43(2),86-88(2008)

異型鰓上皮細胞の発現を特徴とする養殖アユの増殖性鰓炎

和田新平・倉田 修・畑井喜司雄・石井日出郎・糟谷浩一・渡辺裕介
1998年および1999年に,養殖アユに重篤な死亡事例が発生した。病魚は食欲が減退して異常遊泳を示し,しばしば90%近い死亡率を示した。病魚には大型化した異型上皮細胞よりなる増殖性鰓炎が観察され,これら異型上皮細胞内には多数のウイルス様粒子が存在した。これらの粒子は繭状を呈し,長さは 200~300 nm でポックスウイルス様の形態をしていた。以上より,本病はウイルスが関与することが示唆された。
魚病研究,43(2),89-91(2008)