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第43巻 1号

二枚貝の細胞性生体防御機構

高橋計介・室賀清邦
二枚貝類の養殖の拡大に伴い,様々な種で感染症や環境ストレスなどによる大量死が発生し,世界的に深刻な問題となっている。獲得免疫系を持たない二枚貝類の生体防御機構において,液性因子とともに血球は重要な役割を担う細胞性因子である。本稿では,二枚貝の血球に関するこれまでの内外の研究を取りまとめ,形態と分類,防御機能(貪食,包囲化,創傷治癒),活性酸素の生成,環境変化および環境汚染の影響,ストレスおよびシグナル伝達系の各項目に分けて解説した。
魚病研究,43(1),1-17(2008)

外洋天然魚から検出されたベータノダウイルス RNA2 配列の分子疫学的解析

坂本貴洋・冲中 泰・森 広一郎・菅谷琢磨・西岡豊弘・岡 雅一・中井敏博
日本近海の天然魚729個体(20種)を供試し,RT-PCR および nested PCR によりベータノダウイルス RNA2 の検出を行ったところ,それぞれ6個体(6種)および87個体(11種)が陽性を示した。いずれの陽性魚種でも今までにウイルス性神経壊死症の発症例は無い。PCR 産物の塩基配列を決定した結果,RGNNV,SJNNV,BFNNV および未知の配列が確認され,我々が以前増養殖施設近傍の天然魚から検出した配列と比べ多型であった。
魚病研究,43(1),19-27(2008)

細菌性腎臓病原因菌 Renibacterium salmoninarum の検出における PCR の限界

奥田律子・西澤豊彦・吉水 守
対数増殖期の Renibacterium salmoninarum のゲノム DNA を常法により抽出し PCR に供した結果,検出限界は 105 cells/mLで,核酸抽出効率は約3%と算出された。各種溶菌酵素処理による核酸抽出効率の改善は認められず,また腎臓組織と混合した菌体の検出感度はさらに低下した。蛍光抗体法による検出限界は 104~105 cells/mL であった。以上のことから,感染初期などの場合には PCR 法に加えて他の検出法も利用すべきである。
魚病研究,43(1),29-33(2008)

皮膚の潰瘍を伴うヒラメの新しいエクソフィアラ症

倉田 修・C. Munchan・和田新平・畑井喜司雄・三吉泰之・福田 穣
養殖ヒラメの体表の潰瘍患部から黒色真菌が分離された。本菌は Exophiala 属に同定され,同属の既知の魚類病原性種とは異なっていた。本菌は真皮内でのみ繁殖し,類上皮細胞性肉芽腫を伴う炎症反応を誘導した。炎症細胞で満たされた真皮上部の表皮は崩壊し,炎症反応による組織障害が想定された。感染試験の結果,真皮内に菌糸および炎症細胞が観察され,本菌の病原性が示された。本研究により,皮膚に感染性を持つ新しいエクソフィアラ症がヒラメで確認された。
魚病研究,43(1),35-44(2008)

養殖マダイとイシガキダイの粘液胞子虫性やせ病

柳田哲矢・O. Palenzuela・平江多績・田中真二・横山 博・小川和夫
養殖マダイとイシガキダイに粘液胞子虫性やせ病が発生した。病魚の腸管上皮組織内には粘液胞子虫の栄養体が多数観察された。形態的特徴と SSU rDNA の遺伝子解析により,原因粘液胞子虫はトラフグのやせ病の原因である Enteromyxum leei に同定された。養殖マダイの定期調査では,0歳の夏に累積死亡率が約10%に達したが,翌年には生残魚に感染は認められなかった。E. leei 感染トラフグとの同居飼育またはその飼育排水に曝露することで,マダイへの実験感染が成立した。
魚病研究,43(1),45-48(2008)

養殖アユに発生した新型ビブリオ病

永井崇裕・飯田悦左・岩本恵美・中井敏博
広島県下のアユ養殖場において眼球突出,頭部の赤変,および体の屈曲を特徴とする大量死が発生し,病魚から血液寒天培地により1種類の細菌が分離された。分離菌は血液を含まない培地では増殖しなかったが,ヘミンを 25 g/mL 以上加えるとよく増殖した。性状試験および rDNA の塩基配列解析結果に基づき,分離菌は ビブリオ属に分類されたが,既知のビブリオとは一致しなかった。感染実験において分離菌はアユに対して強い病原性を示し,感染魚の生菌数測定および病理組織学的検討結果から,本菌の標的組織は脳であると考えられた。
魚病研究,43(1),49-54(2008)

ウスメバル養成親魚に見出された寄生性カイアシ類Clavella parva

長澤和也・海野徹也・上野大輔・大塚 攻・小泉広明
青森県で養成されていたウスメバル親魚の鰭に寄生していたカイアシ類をナガクビムシ科のソイマルナガクビムシ(新称)Clavella parva に同定し,その形態を記載した。これはわが国における本種の初記録であり,ウスメバルは新宿主である。ウスメバル親魚を天然水域から持ち込んだ際に本種も持ち込まれたとみられ,ピンセットによって親魚から除去した後には本種の再寄生はなかった。Clavella 属にマルナガクビムシの新標準和名を提唱する。
魚病研究,43(1),55-60(2008)