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第42巻 2号

養殖ブリの Mycobacterium marinum 感染症

S. Weerakuhun・青木奈緒・倉田 修・畑井喜司雄・仁部玄通・平江多績
近年,養殖ブリに抗酸菌症が発生しているが,詳細には検討されてこなかった。病魚は腹水貯留で腹部が膨満しており,体表に出血と潰瘍が見られた。剖検で腎臓や脾臓等に多数の結節が認められ,そこから抗酸性を有する細菌が純培養された。培養細菌は各種性状試験および 16S rRNA の塩基配列から作成した系統樹の結果から Mycobacterium marinum に同定された。分離菌をブリに接種した結果,自然発病魚と同一症状が発現して試験魚は死亡した。日本の養殖魚で本種に因る感染症の記載は初めてである。
魚病研究,42(2),79-84(2007)

日本初記録の淡水魚寄生性ヒル Limnotrachelobdella sinensis

小川和夫・Olga Rusinek・田中正治
2000年以来,淀川の淡水魚に日本未報告のヒルの寄生が見られる。体長 3 〜 5 cmに達する吸血性のヒルで,形態的特徴から Limnotrachelobdella sinensis に同定された。2000〜05年に調べた16種1,661尾の魚のうち,寄生が確認されたのは衰弱したギンブナとゲンゴロウブナのみで,多くは鰓蓋の内側に吸盤で寄生していた。衰弱フナ(119尾)の80%に寄生し,寄生数は最高で62虫体であった。生活環は 1 年に 1 回転と想定されたが,フナへの寄生は12月から 4 月に限られた。
魚病研究,42(2),85-89(2007)

中国産養殖トラフグにおける血管内吸虫の寄生

小川和夫・長野泰三・赤井紀子・杉田顕浩・Kathryn A. Hall
2005年に香川県で網生け簀養殖されていた中国産トラフグに Psettarium 属の血管内吸虫症が発生し,半数以上が死亡した。これは日本の網生け簀養殖トラフグにおける血管内吸虫寄生の初報告である。虫体は内臓血管内に寄生し,虫卵は内臓諸器官に集積していた。本虫はかつて若狭湾の蓄養トラフグに寄生していた血管内吸虫とは別種であり,未報告種であることから Psettarium sp. TPC とした。本虫は中国由来であるが,現在までに日本のトラフグに伝播した証拠はない。
魚病研究,42(2),91-99(2007)

Streptococcus iniae の免疫原性における莢膜の役割

首藤公宏・金井欣也・吉越一馬
莢膜保有強毒株である S. iniae NUF631 とその莢膜欠損株の FKC でヒラメを免疫し感染防御効果を調べた。その結果,変異体 FKC では防御効果は得られなかった。抗 NUF631 ヒラメ血清でオプソニン処理した NUF631 は腹腔内マクロファージ(Mφ)に効率よく貪食され,Mφの活性酸素産生を誘導した。また,電顕で電子密度の高い物質が抗血清で処理した当該菌体の莢膜上に観察され,菌体結合血清成分にヒラメ抗体が検出された。以上から莢膜は S. iniae の主要な防御抗原であると考えられた。
魚病研究,42(2),101-106(2007)

コイ仔魚はコイヘルペスウイルスに感受性がない

伊東尚史・佐野元彦・栗田 潤・湯浅 啓・飯田貴次
 マゴイ 2 系統を用いた感染試験の結果,仔魚(平均全長7.5,8.7 mm)では KHV 病による死亡はなかったが,稚魚(13.8,29.2 mm)になると69%および100%死亡し,1 尾を除いたすべての死亡魚から KHV が検出された。また,仔魚期(6.9 mm)に KHV に暴露され,KHV 病による死亡がみられなかったニシキゴイ稚魚(48.2 mm)では,再感染試験によりすべて KHV 病により死亡した。以上より,コイ仔魚は KHV に対する感受性が無く,成長にともなって感受性を示すようになることが推察された。
魚病研究,42(2),107-109(2007)

コイ春ウイルス血症原因ウイルスに対する各種消毒剤の不活化効果

桐生郁也・坂井貴光・栗田 潤・飯田貴次
コイ春ウイルス血症原因ウイルス(SVCV)に対する 5 種類の薬剤の殺ウイルス効果についてEPC細胞を用いて評価した。SVCV が 99.99%以上不活化された濃度は以下の通りである:塩化ベンザルコニウム 100 ppm(20分),アルキルトルエン 500 ppm(30秒)または 350 ppm(20分),グルコン酸クロルヘキジン 175 ppm(30秒)または 100 ppm(20分),クレゾール0.25%(30秒)または 200 ppm(20分),もしくはエタノール50%(30秒)または40%(20分)。
魚病研究,42(2),111-113(2007)

PCR 法による Edwardsiella tarda の病原性株および非病原性株からの type 1 線毛遺伝子の検出

坂井貴光・飯田貴次・長富 潔・金井欣也
PCR 法によりE. tarda の病原性株と非病原性株における type 1 線毛遺伝子の検出を試みた。type 1 線毛遺伝子群を構成する 4 つの遺伝子(etfA, etfB, etfC, etfD)を標的とするプライマーセットを設計した。PCR の結果,病原性株では 4 つの遺伝子がすべて検出されたが,非病原性株14株中13株で etfA, etfB および etfC 遺伝子は検出されなかった。このことは,E. tarda の病原性に線毛が関与し,上記 3 つの遺伝子検出が病原株の検出に有用であることを示唆する。
魚病研究,42(2),115-117(2007)

水産試験場等の診断記録からみた我が国における養殖サケ科魚類の疾病問題(1978~2002年)

青島秀治
 全国養鱒技術協議会に属する水産試験場等が1978年から2002年に実施した養殖サケ科魚類の疾病診断結果を取りまとめた。総計25,265件の診断結果から,この25年間に養殖魚種が多様化するとともに,大型魚の疾病と混合感染症の問題が大きくなっていることが明らかとなった。これらの疾病問題の深刻化には IHN,OMVD,レンサ球菌症および冷水病の関与が大きいものと思われた。従って,これら 4 疾病に対する有効な対策を早急に確立することが我が国の養鱒業にとって必須な課題である。
魚病研究,42(2),119-122(2007)