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第41巻 1号

エゾバフンウニ斑点病原因菌 Tenacibaculum sp. のVBNC(viable but non-culturable)状態からの蘇生に及ぼす鉄の影響

山瀬智久・澤辺智雄・久万健志・田島研一
 VBNC に移行した Tenacibaculum sp. は鉄やカタラ−ゼの存在下で蘇生可能期間が著しく長くなることが明らかになった。ウニ種苗生産施設の近傍環境の鉄濃度は,夏季に蘇生に必要な鉄濃度を超える時があり,本菌が天然環境で蘇生する可能性が十分考えられた。さらに,鉄存在下において VBNC 状態の菌をウニに暴露したところ,本病が発生したことから,種苗生産施設内における本病の発生に蘇生した本菌が関与していることが示唆された。
魚病研究,41(1),1-6(2006)

マコガレイ稚魚に発生した非定型 Aeromonas salmonicida 感染症

熊谷 明・杉本晃一・伊藤大介・釜石 隆・三輪 理・飯田貴次
 2003年以降毎年 4 〜 7 月に宮城県の種苗生産施設等のマコガレイ稚魚に体表の出血斑を主症状とし,累積死亡率が最大80%以上の疾病が発生している。これら病魚の腎臓から 1 種類の細菌がほぼ純培養的に分離され,分離菌は分子系統学的,血清学的および生化学的性状試験の結旺,非定型 Aeromonas salmonicida に同定された。筋肉内接種による感染実験において分離菌は異体類稚魚に対し強い病原性(LD50:<102 CFU/ 尾)を示した。
魚病研究,41(1),7-12(2006)

Tenacibaculum sp. のエゾバフンウニへの付着および糖処理による斑点病の防除

谷口留美・澤辺智雄・田島研一
 Tenacibaculum sp. のウニ個体に対する付着裏を in vitro で調べたところ,非病原性の類似菌の約30倍であった。この付着は個体を0.1% D-galactose あるいは D-xylose で 1 時間前処理することで約90%阻害された。付着阻害を応用した本病の感染防御を人為感染実験により検討した。付着阻害が認められた 2 種の糖で個体を処理すると,106 および 107 CFU/mL の本菌による攻撃によっても本病を発症せず生残したことから,ウニの糖処理が本病の防除に有効であることが示唆された。
魚病研究,41(1),13-17(2006)

LAMP(Loop-Mediated Isothermal Amplification)法によるコイヘルペスウイルスの高感度迅速検出

吉野 学 ・渡  一・小島 禎・池戸正成
 KHV 特異遺伝子配列内に 6 種のプライマーを設計し,LAMP 法による迅速,高感度な KHV 検出系を構築した。65℃の一定温度条件で,60分以内に標的配列の増幅が可能であり,プラスミドを用いた感度試験では最少 6 コピーまで,濁度上昇を指標とした検出が可能であった。近縁種の魚類ウイルスとの交差性はなく,良好な特異性を示した。コイ鰓組織からの粗精製 DNA 溶液を鋳型としても良好な反応を示したことから,簡易な検体処理法も適応できることを確認した。
魚病研究,41(1),19-27(2006)

Edwardsiella tarda の赤血球凝集活性に及ぼす培地塩分濃度の影響

安信秀樹・有川陽子・魚住香織・鈍賽宗彦・飯田貴次・M.M. Mahmoud・奥田 潤・中井敏博
 モルモット赤血球を用いて E. tarda の血球凝集活性を調べた。供試した55株中52株で,NaCl を添加しない培地での培養( 0 % NaCl培養)に比べ,NaCl を 3 %添加した場合( 3 % NaCl 培養)にその凝集活性が上昇した。この血球凝集活性と E. tarda の線毛タンパク質(19.3 kDa)の発現との間には相関性が認められた。ヒラメに対する経口感染実験において,3 % NaCl 培養菌の方が 0 % NaCl 培養に比べ比較的強い病原性を示した。
魚病研究,41(1),29-34(2006)

タイ王国でウシエビの卵および幼生から分離されたLagenidium thermophilum

村長保憲・O. Lawhavinit・畑井喜司雄
 2000年 8 月,タイのウシエビ種苗生産場で卵および幼生に真菌症が発生した。罹病卵および幼生からの分離菌はその形態学的特徴から Lagenidium thermophilum に同定された。本分離株の発育温度と塩分耐性は過去にノコギリガザミから分離された L. thermophilum 株の性状とよく似ていた。また,本株は遊走子を用いた人為感染試験でウシエビの幼生に病原性を有することが確認された。これはタイにおけるウシエビからの L. thermophilum の初めての分離例である。
魚病研究,41(1),35-40(2006)