ENGLISH


日本魚病学会事務局(2013年1月より)
〒162-0801
東京都新宿区山吹町358-5
アカデミーセンター
TEL:03-5937-5716
FAX:03-3368-2822
E-Mail:jsfp-post@bunken.co.jp
HOME > 魚病研究 > 第40巻 4号

第40巻 4号

エロモナス属菌の PCR-RFLP 解析による同定

M. M. Rahman・T. Somsiri・田中礼二・澤辺智雄・田島研一
 16S rDNA の塩基配列から作製したエロモナス属菌同定のための特異的プライマ−により,供試したすべての病魚および水棲動物由来エロモナス属菌種106株で所定の 1206 bp の増幅産物が得られた。ビブリオ属菌を含めた近縁属菌では増幅産物は認められなかった。5 種の制限酵素 (AluI, MboI, PvuII, PstI, NarI)による増幅産物の RFLP パタ−ン解析からエロモナス遺伝種の同定が可能であったが,新菌種 Aeromonas sp.T8 group と A. caviae の識別には若干の性状検査が必要であった。
魚病研究,40(4),151-159(2005)

養殖ニジマスにおける OMV 自然感染魚および人為感染魚の病理組織像

降幡 充・鈴木可奈・細江 昭・宮崎照雄
 長野県下の養殖ニジマス自然発病魚から分離したOMV を用いて人為感染試験を行い,自然発病魚と人為感染魚について病理組織像及び電子顕微鏡像を精査した。本病の特徴は,脾臓,腎臓の造血組織,肝臓,腸管,心臓,鰓弁,真皮そして体側筋組織における OMV 感染細胞の壊死であった。特に腸管の粘液上皮や粘液下織には出血を伴った激しい壊死がみられた。このような腸管の病理組織像は本病では初めての記載である。
魚病研究,40(4),161-167(2005)

Heterobothrium okamotoi の吸血量の測定

小川和夫・安崎正芳・良永知義
 Heterobothrium okamotoi の吸血量を推定した。まず,虫体が寄生したトラフグの肝静脈内に直径 1 m の蛍光ビーズを注入し,3 時間後と12時間後に採血し,血中ビーズ数を算出し,3 時間後と12時間後の平均値を血中ビーズ濃度とした。次に,ビーズ注入の12時間後に寄生していた虫体を回収し,虫体内のビーズ数を求め,トラフグ血中濃度から吸血量を推定した。吸血量は寄生虫の発育とともに増加し,成虫では12時間の吸血量は平均 0.69 L に達した。鰓弁の把握器 4 対の未成熟虫と鰓腔壁の成虫は,12時間のうち少なくとも 1 回は吸血していた。
魚病研究,40(4),169-174(2005)

Enteromyxum leei による養殖ヒラメの粘液胞子虫性やせ病

安田広志・大山 剛・中村充志・岩田一夫・O. Palenzuela・横山 博
 陸上養殖ヒラメに粘液胞子虫性やせ病が発生した。病魚は腹部膨満や脱腸,また頭骨が張り出すほど極度のやせ症状を呈した。病理組織検査により,腸管上皮組織内に粘液胞子虫の栄養体が多数観察された。寄生虫の形態観察および遺伝子解析から,原因粘液胞子虫はトラフグのやせ病原因虫の 1 種 Enteromyxum leei に同定された。さらに病魚の腸管を経口投与することで,ヒラメからヒラメ,ヒラメからトラフグへの実験感染が成立した。
魚病研究,40(4),175-180(2005)

マダイのマダイイリドウイルス病に対する低密度飼育の有効性

田中真二・井上美佐
 マダイ幼魚のマダイイリドウイルス病(RSIVD)に対する飼育密度の影響を調べた。飼育尾数または飼育容積をそれぞれ 3 段階に設定した人為感染試験おいて,RSIVD による死亡率は低密度区で有意に低かった。野外試験でも同様の結果が得られ,低密度飼育の RSIVD に対する有効性が示された。また,高密度区の魚では,血漿中の総コレステロールとリン脂質が低値を示したことから,血漿脂質成分が RSIVD 抗病性に関与しているのかもしれない。
魚病研究,40(4),181-186(2005)

Aeromonas hydrophila に対するハーブの in vitro における抗菌活性

R. Harikrishnan・C. Balasundaram
 インドにおける一般的な 3 種の薬用ハーブ Curcuma longa,Ocimum sanctum および Azardirachta indica の水およびエタノール抽出物の単独あるいは混合物の A. hydrophila に対する抗菌活性を調べた。活性の測定にはディスク法による阻止円の大きさおよび各種濃度における出現コロニー数を指標に用いた。単独抽出物では A. indica が,また 3 種のハーブの水およびエタノール抽出物ではそれぞれを 1:1:1 で混合したものが最も強い抗菌活性を示した。
魚病研究,40(4),187-189(2005)

クルマエビの卵巣初代培養細胞の長期維持

前田 稔・楠本賢一・水城英一・伊丹利明・大庭道夫
 クルマエビ卵巣由来の初代培養細胞の長期維持を,4 種類の増殖因子および抗酸化剤を添加した改変Leibovitz-15 培地を用いて試みた。増殖因子として,上皮増殖因子,塩基性繊維芽細胞増殖因子,インシュリン,毛様体神経栄養因子を,抗酸化剤として 2-メルカプトエタノール(2-ME)を用いた。これら 5 種類を添加した培地を用いたところ卵巣初代培養細胞は無添加培地の45日間よりも長い 6 ヶ月間の維持が可能となった。各因子の添加による影響を比較し,2-ME の添加が卵巣初代培養細胞の長期維持に有効であることが明らかになった。
魚病研究,40(4),191-193(2005)

日本の養殖クルマエビにおける Fusarium oxysporum 感染の初報告

L. V. Khoa.・畑井喜司雄
 2001年12月に鹿児島県内で鰓黒症状を示すクルマエビと示さないものとを各々 5 尾採取し,鰓をポテトデキストロース寒天培地(PDA)とマイコセル寒天培地(MCA)に接種した。鰓黒を示すエビからのみ PDA で 5 株,MCAで 3 株の真菌が分離された。PDA からの 2 株は形態学的に Fusarium oxysporum に,他の株は F. solani に同定された。両菌種の各 1 株をクルマエビ稚エビ( 3 〜 4 g)に接種した結果,いずれも病原性を示した。F. oxysporum によるクルマエビの感染症は日本では初めての報告である。
魚病研究,40(4),195-196(2005)

海産魚の脊椎湾曲症原因粘液胞子虫 Myxobolus acanthogobii の PCR による検出

宮嶋清司・横山 博・福田 穣・岡本久美子・小川和夫
 海産魚の脳に寄生して脊椎湾曲症を引き起こす粘液胞子虫 Myxobolus acanthogobii を検出するため,虫体の SSU rDNA を標的としたPCR法を開発した。single- および nested-PCR の検出感度はそれぞれ 1 pg と 0.01 pg DNA であり,他の粘液胞子虫 8 種のいずれとも交差反応がみられなかった。この nested-PCR を用いて養殖マサバと37種の天然魚の疫学調査を行った結果,チダイ,イゴダカホデリ,キタマクラは M. acanthogobii の宿主であることが判明した。
魚病研究,40(4),197-199(2005)