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第40巻 3号

単生類 Heterobothrium okamotoi 感染に対するトラフグの防御能の獲得

中根基行・小川和夫・藤田忠勝・鮫島 守・若林久嗣
 1 年以上にわたって H. okamotoi の寄生を受けているが,寄生数が増加しないトラフグ 2 歳魚(継続寄生魚;150尾)と寄生未経験の 1 歳魚(25尾)を同一水槽で飼育し,同居開始後 0 日,15日,30日および70日目に寄生状況を調べた。継続寄生魚では飼育期間を帳じて寄生数に変化はなかったが(平均1,040虫),未寄生魚では30日後に平均16,700虫に達した。回収した虫体の発育期の構成から,寄生の抑制は孵化幼生の着定時,着定後の初期発育時,鰓腔壁における寄生時に働くと考えられた。
魚病研究,40(3),95-101(2005)

鰓黒を呈するクルマエビから分離された Fusarium solani の形態と分子系統

L. V. Khoa・畑井喜司雄・湯浅明彦・澤田健蔵
 2000年から2003年の間に,9 株のフサリウム属菌が鰓黒を呈する日本の養殖クルマエビの患部から分離された。分離菌は,形態的特徴から同一種と判断され,無作為に選択された 2 株はクルマエビに病原性を示した。代表株はその詳細な形態的特徴から,F. solani complex と同定された。分子系統解析を試みた結果,調べた 5 株はすべて単元発生で,他由来の F. solani とは異なった。今回の供試株と植物病原菌である F. solani は形態的にも,分子系統的にも異なった。
魚病研究,40(3),103-109(2005)

トラフグに実験的に寄生させた単生類 Heterobothrium okamotoi の産卵生態 okamotoi の産卵生態

小川和夫・山端菜穂子・良永知義
 Heterobothrium okamotoi を寄生させた 0 歳トラフグ40尾を水温20℃,流水で個体飼育し,虫卵を毎日回収し,計数した(最長33日間)。実験終了後に魚を解剖して求めた成虫数( 1 〜13虫)をもとに,1 虫あたりの産卵数を算出した。産卵開始から10日ほどは産卵数,産卵頻度ともに増加傾向にあった。日間産卵数は平均51.2〜362個,1 回の産卵数は 4 〜654個と,ばらつきが大きかった。1 虫のみ寄生した魚を用いて測定した産卵頻度によると,1 日数回もあれば 3 日も産卵しない場合もあった。
魚病研究,40(3),111-118(2005)

サケ科魚に寄生する武田微胞子虫の感染に及ぼす水温の影響

善家孝介・浦和茂彦・藤山 勲・横山 博・小川和夫
 千歳川において野生のサクラマス幼魚の武田微胞子虫寄生率を調べた結果,河川水温が15℃を超える夏季にのみ感染がみられた。未感染ベニザケ幼魚を河川水に曝露してから様々な水温で飼育したところ,11℃区では寄生率が低かったが,途中で昇温すると上昇した。一方,11℃に維持した河川水に曝露してから 9℃で42日間飼育した群では,昇温してもシストの形成はみられなかった。以上より,低水温処理は武田微胞子虫症の防除にある程度の効果があることが示された。
魚病研究,40(3),119-123(2005)

アクアビルナウイルスによる VNN 抵抗性の誘導

R. Pakingking・森 広一郎・菅谷琢磨・岡 雅一・冲中 泰・中井敏博
 非病原性アクアビルナウイルス(ABV)を予め接種され,その 7 日後にベータノダウイルス(NNV)で攻撃されたマハタは NNV 感染に対して強い抵抗性を示した。他方,ヒラメでは NNV に対する感受性が低いため死亡率から ABV の効果をみることはできなかったが,脳および腎臓における NNV の消長をみると,両魚種とも ABV 処理魚において明らかにウイルス感染力価の低下が認められた。この防御は,ABV により誘導されるインターフェロン関連タンパク質に因ると考えられた。
魚病研究,40(3),125-131(2005)

運動性・非運動性 Edwardsiella tarda の数種海水魚に対する病原性

松山知正・釜石 隆・大迫典久・黒原健朗・飯田貴次
 ブリ,ヒラメ,マダイを用いて,運動性(定型)および非運動性(非定型)Edwardsiella tarda の病原性を比較した。腹腔内接種では,定型・非定型にかかわらず,供試した全ての株がブリおよびヒラメに病原性を示したのに対し,マダイには非定型株のみが病原性を示した。浸漬感染では,ヒラメは定型株,マダイは非定型株でのみ死亡が観察された。マダイは定型株に対する抵抗性が高く,定型株と非定型株の魚種に対する病原性の違いが明らかになった。
魚病研究,40(3),133-135(2005)

コイヘルペスウイルス(KHV)の紫外線,加熱処理および各種消毒剤による不活化

笠井久会・武藤義文・吉水 守
 コイヘルペスウイルス(KHV)は,4.0 × 103 µ Ws/cm2 の紫外線照射または50℃以上・1 分間の加熱処理で不活化された。各種消毒剤では,有効ヨウ素濃度 200 mg/L,塩化ベンザルコニウム濃度 60 mg/L,エタノールは30%溶液で完全に不活化された。また,KHV は次亜塩素酸ナトリウム溶液とウイルス液を混合後の有効塩素濃度が 0.30 mg/L に達するとほぼ不活化された。実用的には,その10倍量(3 mg/L)が推奨される。
魚病研究,40(3),137-138(2005)

ウナギ養殖池水から分離した Edwardsiella tarda の血清型とシデロフォア産生能

山本 淳・岸川千紘・野原 歩
 鹿児島県下のウナギ養殖場で定期的に E. tarda の菌数を調べたところ,ほとんどの調査時で E. tarda が分離され,平均は 102.9 cfu/mL であった。併せて E. tarda の病原性に関与すると考えられている血清型とシデロフォア産生能を調べたところ,分離された370株のうち,52%が血清型 A 型に分類され,66%がシデロフォアを産生した。A 型菌株の91%がシデロフォアを産生し,一方,シデロフォア産生株の72%が A 型に分類された。血清型とシデロフォア産生能はリンクしていなかった。
魚病研究,40(3),139-141(2005)

クロソイに見られた鰓病変を示すグラム陰性桿菌感染症

小林立弥・今井 慎・川口喜史
 2001年春に養殖クロソイ(体重 138〜145 g)に大量死が発生した。病理組織学的にグラム陰性桿菌が鰓に侵襲し,鰓薄板の上皮の剥離と毛細血管に細菌塞栓が見られた。これらの病変を示す鰓弁は上皮増生による棍棒化が起こり,鰓薄板の動脈瘤の形成,増生した上皮細胞の壊死および出血が見られた。病魚のなかには腎臓,脾臓,心臓にも鰓と類似のグラム陰性桿菌が侵入していた個体もあったが,感染病巣は軽度であった。以上から,本疾病は鰓の病変が主病変と判断された。しかし,病魚の肝臓,腎臓,脾臓および脳から細菌は分離されなかった。
魚病研究,40(3),143-145(2005)