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第40巻 1号

日本の養殖クルマエビにおける病害問題

桃山和夫・室賀清邦
 日本の養殖クルマエビで報告されている感染症と非感染症について概説した。特に大きな被害をもたらした病気としては BMN,ビブリオ病および PAV がある。BMN は種苗生産場で発生したが,洗卵法の導入により1993年以降発生がみられていない。ビブリオ病は 2 期作が普及していた1980年~1990年代に流行し,毎年生産量の20~30%の被害をもたらした。PAV は1993年に中国から種苗とともに持ち込まれ,以後,養殖エビのみならず,放流用種苗にも甚大な被害を与えている。最後に,防除対策として,防疫や耐病性育種について論じた。
魚病研究,40(1),1‐14(2005)

ウイルス性神経壊死症に対する不活化ワクチンの有効性

山下浩史・藤田慶之・川上秀昌・中井敏博
 ホルマリンで不活化したベータノダウイルスのワクチンとしての有効性をマハタ稚魚を用いて調べた。不活化ウイルスを腹腔内接種すると10日後からウイルス中和抗体が検出され,免疫後21~77日の間,平均 1 : 2000以上の高い抗体価で推移した。抗体価はその後低下したが160日後でも抗体保有魚が認められた。免疫14,35および74日目にワクチン株による注射攻撃試験を行った結果,ワクチン接種区は対照区に比べていずれも有意に高い生残率を示した(RPS=67~100)。また,野外での自然感染に対しても高いワクチン効果が認められた(RPS=85)。
魚病研究,40(1),15‐21(2005)

PCR によるトラフグ腸管寄生粘液胞子虫の検出

柳田哲矢・M. A. Freeman・野村昌功・高見生雄・杉原志貴・横山 博・小川和夫
 トラフグの粘液胞子虫性やせ病の診断法を開発するため,腸管寄生粘液胞子虫の SSU rDNA を標的とした PCR 法について検討した。設計した 3 組の PCR プライマーは Enteromyxum leei, Enteromyxum fugu および Leptotheca fugu をそれぞれ特異的に検出した。トラフグを解剖して摘出した腸管から DNA を抽出する方法,魚を殺さずに肛門から綿棒を挿入して得られた腸内容物より DNA を抽出する方法のいずれにおいても,腸管スタンプの顕微鏡観察よりも高い感度で寄生虫を検出できた。
魚病研究,40(1),23‐28(2005)

北海道沿岸で漁獲された海産魚のウイルス保有状況調査

小林健一郎・Jacob A. Wani・笠井久会・西澤豊彦・吉水 守
 北海道の北部,東部および南部沿岸海域で2000~2004年に漁獲された海産魚40種645尾を対象に魚類ウイルスの保有状況を調査した。4 種類の魚類細胞を用いて脳,腎臓および脾臓からウイルス分離を行った結果,2002年の秋に厚岸港で水揚げされたコマイ,シモフリカジカ,ウグイおよびキュウリウオの 4 魚種10尾から YTAV に同定されるアクアビルナウイルス(ABV)が分離された。しかし,このとき以外の魚からは ABV を含めウイルスは分離されなかった。
魚病研究,40(1),29‐31(2005)

低水温下での Neoheterobothrium hirame の着定と発育

白樫 正・良永知義・岡 雅一・小川和夫
 5℃,10℃,20℃において 6 穴ウェルプレート内に置いたヒラメ鰓片に対する N. hirame 孵化幼生の着定を24時間観察した。その結果,水温と着定数には負の相関がみられ,5℃では20℃の30%程度の着定数だった。また,実験感染させたヒラメ稚魚を 8℃と20℃で105日間飼育し,環境水温腹の N. hirame の発育と生残を観察した。その結果,8℃では著しい成長の遅れがみられ,さらに多くの虫体が成熟前に死亡したと推察された。以上のことから,水温が低水温地域での N. hirame 感染の阻害要因となっていることが示唆された。
魚病研究,40(1),33‐35(2005)

コイヘルペスウイルス検出のための Sph I-5 プライマーセットを用いた PCR 法の改良

湯浅 啓・佐野元彦・栗田 潤・伊東尚史・飯田貴次
 特定疾病の病性鑑定指針においてコイヘルペスウイルス病の診断法として採用されている Sph I-5 プライマーセットの PCR 法では,非特異的反応がみられる,全反応時間が長いとの問題点が指摘されていた。さらに,プライマー配列にも 1 カ所誤りがあった。これらの問題を解決するため,この誤りを修正するとともに,アニーリング温度を上げ,PCR の各ステップの反応時間を短縮したところ,非特異的反応が大幅に減少し,全反応時間もほぼ半減させることができた。
魚病研究,40(1),37‐39(2005)