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第39巻 4号

海産白点虫 Cryptocaryon irritans の短期間培養

A. V. Yambot ・ Y.-L. Song
 孵化直前の海産白点虫のトモント(シスト)を海水と 3 %食塩加 TSA の薄片ともに培養フラスコ内に加え,23~25℃で培養した結果,孵化したセロントは寒天に付着してトロホント(栄養体)に変態し,10~13日生存した。また,人工培地(海水50%,L-15 培地30%,牛胎児血清20%)を12穴ウェル内に加えた場合にも同様な変態が観察され,8 日間生存した。しかし,いずれの場合も栄養体に変態したセロントの割合は低率にとどまった(0.28~1.71%)。栄養体は平均 115~296 μm に成長したが,トモントを形成することはなかった。
魚病研究,39(4),175-181(2004)

卵消毒によるアユ冷水病の垂直伝播防止

熊谷 明・中易千早・大迫典久
 冷水病に自然感染したアユを材料として,病原体 Flavobacterium psychrophilum の卵表面および卵内での存在の有無を培養法で検討した。未受精卵と受精卵の表面からの冷水病菌検出率はそれぞれ29%(65尾中19尾)と17%(30尾中 5 尾)であったが,ヨード剤(5 ppm,10分)または過酸化水素(150 ppm,30分)による消毒後には卵表面からだけでなく卵内からも検出されなかった。以上の結果から,アユにおいては冷水病菌の卵内感染の可能性は低く,消毒剤で卵表面を殺菌することにより冷水病の垂直伝播を防止できると考えられる。
魚病研究,39(4),183-187(2004)

ConA/PMA あるいは LPS で刺激したヒラメ腎臓細胞で発現する遺伝子の解析

N. R. Arma・廣野育生・青木 宙
 ヒラメの免疫応答の基礎的知見を得るために,ConA/PMA あるいは LPS で刺激した腎臓細胞に発現する遺伝子を解析した。合計752クローンを解析したところ,109クローンが免疫に関連するものであった。魚類の免疫関連遺伝子として初めてクローン化できたものは NK-lysin,パーホリン,補体 C1q,DC9,CD63,CD82,ISGF-3,IP-30,G-CSF,equistatin,TLS-CHOP,fas リガンドおよび CARD4 であった。刺激の違いにより,発現してくる免疫関連遺伝子に違いがみられた。
魚病研究,39(4),189-196(2004)

常磐海域のヒラメにおける Neoheterobothrium hirame の寄生動態

冨山 毅・渡邉昌人・江部健一
 常磐海域において,ヒラメ若齢魚における N. hirame 成虫の寄生状況を調査した。寄生数は天然・放流や雌雄による違いはみられず,季節的に変化して冬季にピークを示した。最も古い寄生の記録は1997年であった。2002年までは寄生が多かったが,2003年は極端に減少した。その原因は不明であるが,2002年 8 月から2004年 2 月までの低水温によって寄生虫の産卵数が減少し,寄生レベルが低下した可能性があげられる。
魚病研究,39(4),197-202(2004)

アコヤガイ赤変病原因体の存在部位

中易千早・青木秀夫・中西麻希・山下浩史・岡内正典・大迫典久・熊谷 明
 感染実験によりアコヤガイ赤変病原因体の生体内における分布を調べた。まず,病貝の組織片を健常貝へ移植したところ,血球,消化盲嚢及び心臓の移植区では発症が認められなかったが,血リンパ液上清,外套膜及び閉殻筋の移植区では感染が確認された。特に移植された外套膜は極めて強い感染力を示した。次に,外套膜のホモジナイズ上清を接種した場合も高率に感染が成立したため,主にこの組織に原因体が存在していると思われた。
魚病研究,39(4),203-208(2004)

PCR 法による FHV の検出

飯田悦左・永井崇裕
 ヒラメのウイルス性表皮増生症の原因ウイルスである flounder herpesvirus(FHV)を検出する為の PCR 法を開発した。本 PCR は,供試した FHV 以外の魚類病原性ヘルペスウイルスあるいはヒラメ病原性ウイルスとは反応せず,FHV に特異的であると考えられた。従来の方法で診断された病魚サンプル(4 例)について PCR を行った結果,すべてのサンプルで FHV の存在を示す 225 bp の増幅産物が得られた。また,表皮細胞数にして約100の感染細胞があれば PCR 陽性となることから,本 PCR は本病の早期診断にも有用であると考えられる。
魚病研究,39(4),209-212(2004)

イオタラム酸ナトリウム密度勾配遠心法による口白症病原因子の粗精製

宮台俊明・橋本恵美・橋本久実子・渡 智美・大谷真紀・田原大輔
 口白症感染トラフグの脳から口白症病原因子の粗精製を試みた。脳すりつぶし液の上清に硫酸プロタミンを加えて核酸を沈殿させ,その上清を 3 ~55%の Angio-Conray(イオタラム酸ナトリウム溶液)上に重層し,280,000 × g で遠心分離した。遠心後の分画をクサフグに注射したところ,1.096 g/cm3 付近に致死活性が見られた。この活性はエーテル,UV 照射,β-プロピオラクトン,プロテイネース K 処理によって失活した。
魚病研究,39(4),213-214(2004)

単生類 Heterobothrium okamotoi の産卵および卵の生存に及ぼす水温の影響

山端菜穂子・良永知義・小川和夫
 H. okamotoi に感染させたトラフグの飼育水温を徐々に変え,水温が虫体の産卵に及ぼす影響を調べた。10~30℃(5℃間隔)では,産卵量は25℃で最も高い値を示した。10,20,30℃で産出された卵を20℃または産出時水温に維持したところ,10あるいは20℃で産出された卵は20℃で98%以上のふ化率を示したが,30℃で産出された卵のふ化率は低下した。また,26℃以上で産卵された卵には形態異常を示す卵も含まれていた。以上より,本虫の産卵の最適温度は約25℃と推定された。
魚病研究,39(4),215-217(2004)