ENGLISH


日本魚病学会事務局(2013年1月より)
〒162-0801
東京都新宿区山吹町358-5
アカデミーセンター
TEL:03-5937-5716
FAX:03-3368-2822
E-Mail:jsfp-post@bunken.co.jp
HOME > 魚病研究 > 第39巻 3号

第39巻 3号

藍藻 Chroococcus turgidus の増殖に伴って上昇した高 pH 池水による養殖クルマエビの死亡例

桃山和夫
 1995年以降山口県では,夏場30℃前後の高水温時に養殖クルマエビの大量死が発生している。死亡したエビは軟甲を呈し,壊死した鰓には瘡蓋様または顆粒様異物が付着していた。養殖池では C. turgidus が優占し,pH が 9.5 以上と高くなっていた。C. turgidus の培養液の pH が 9.73 まで上昇し,NaOH により作製した高 pH 飼育海水への曝露によりクルマエビは自然死亡エビと同様の症状を示して死亡したことから,今回の大量死は C. turgidus の増殖に伴って上昇した高 pH 池水によるものと判断された。
魚病研究,39(3),129-135(2004)

遺伝子解析と形態観察による養殖トラフグ腸管寄生粘液胞子虫の再記載

柳田哲矢・野村昌功・木村武志・福田 穣・横山 博・小川和夫
 トラフグ腸管寄生粘液胞子虫の SSU rRNA 遺伝子解析を行った結果,Myxidium sp. TPは Enteromyxum leei と99.6%の相同性があり,Myxidium fugu も Enteromyxum 属と単系統であることが示された。Myxidium sp. TP のマダイへの感染実験で得られた胞子の形態は,E. leei と一致した。M. fugu の胞子においても Enteromyxum 属特有の形態が確認された。以上より両種を Enteromyxum 属に転属し,Myxidium sp. TP を E. leei と同定した。
魚病研究,39(3),137-143(2004)

ヒラメ養殖場における Edwardsiella tarda およびそのバクテリオファージの動態

松岡 学・中井敏博
 愛媛県下のヒラメ養殖場において,飼育環境水およびヒラメからの E. tarda とその溶菌ファージの出現動向を周年にわたり調べた。エドワジエラ症は 6 月から12月にかけて発生し,病気の発生とほぼ同時に E. tarda が環境水および外見上健康なヒラメから検出された。一方,ファージは病気発生の 1 か月以上前から環境水に高頻度に出現し,病気の終息とともに検出されなくなった。環境水におけるファージの出現は養殖場における E. tarda の存在の指標になると考えられた。
魚病研究,39(3),145-152(2004)

トラフグ鰓弁上における単生類 Heterobothrium okamotoi の初期発育

安崎正芳・小川和夫・良永知義
 H. okamotoi の孵化幼生をトラフグに感染させ,鰓弁上の虫体の発育を20日間にわたって調べた。虫体長と把握器数を指標にすると,発育は 2 週目から速まった。腸管表面にあって宿主血液を消化するヘマチン細胞の数を吸血量の指標として求めた。細胞数は腸管の分岐が進むとともに増加し,その増加は把握器の増加に対応して 3 段階に分けられた。以上のことから,トラフグ鰓弁上の本虫の体長は把握器数の増加と吸血量の増加に相関していることが示された。
魚病研究,39(3),153-158(2004)

人工生産アユ3系統における冷水病感受性

永井崇裕・田村龍弘・飯田悦左・米司 隆
 広島県水産試験場で継代しているアユ人工種苗 3 系統(累代系,海産交配系および湖産交配系)の冷水病感受性を,河川水に曝露した野外実験,冷水病死亡魚との同居感染実験および Flavobacterium psychrophilum を用いた注射感染実験により検討した。いずれの実験でも本実験で用いた海産交配系の死亡率は他の 2 系統よりも有意に低かった。しかし,海産交配系と湖産交配系の間に非特異的生体防御能の差は見られなかった。この海産交配系は,冷水病耐性系統を確立するために有用であることが示唆された。
魚病研究,39(3),159-164(2004)

日本におけるコイヘルペスウイルスの初検出

佐野元彦・伊東尚史・栗田 潤・野内孝則・渡邊直樹・三輪 理・飯田貴次
 2003年10月上旬に霞ヶ浦で養殖ゴイに大量死が発生した。特に大型魚での死亡が目立ち,罹病魚は水面付近を不活発に遊泳した。鰓の病変が顕著であり,上皮増生に伴う鰓弁の棍棒化および上皮細胞の壊死が認められた。瀕死魚の鰓と腎臓を用い PCR を行ったところ,コイヘルペスウイルス(KHV)の DNA が検出された。培養細胞によりウイルスは分離されなかったが,鰓の磨砕濾液をコイに接種したところ,死亡が見られ,死亡魚から KHV の DNA が検出されるとともに KHV が分離された。
魚病研究,39(3),165-167(2004)