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第39巻 2号

アユからの Flavobacterium psychrophilum 分離用培地へのトブラマイシン添加効果

熊谷 明・中易千早・大迫典久
 トブラマイシンに対する冷水病菌37株の最小発育阻止濃度は 6.3 μg/mL 以上で,本剤 5 μg/mL の培地への添加は冷水病菌の増殖に影響を与えなかった。アユからの冷水病菌分離を試みたところ,本剤無添加培地では雑菌の繁殖により分離が困難であったが,5 μg/mL 添加培地では雑菌の繁殖が抑制され冷水病菌の分離率が向上した。一方,10 μg/mL 添加培地では冷水病菌の分離率も低下した。以上より,冷水病菌の分離選択培地としては,トブラマイシン5 μg/mL添加培地が有効である。
魚病研究,39(2),75-78(2004)

ヒラメとタイリクスズキの死後筋肉融解の原因となるクドア属粘液胞子虫

横山 博・C. M. Whipps・M. L. Kent・水野かおり・川上秀昌
 ヒラメとタイリクスズキにクドア属粘液胞子虫による死後筋肉融解現象がみられた。寄生虫の形態学的,分子生物学的解析を行った結果,ヒラメの寄生虫は Kudoa thyrsites に同定された。タイリクスズキ由来の胞子は K. thyrsites と似ていたが計測値に差異があり,18S rDNA の塩基配列においても明らかに区腹できた。タイリクスズキの死後筋肉融解の原因となる粘液胞子虫について, Kudoa lateolabracis という新種名を提案する。
魚病研究,39(2),79-85(2004)

Edwardsiella tarda の赤血球凝集能に関与する線毛遺伝子群の同定

坂井貴光・金井欣也・長富 潔・吉越一馬
 Edwardsiella tarda の赤血球凝集能の有無と関連する線毛メジャーサブユニットの遺伝子(etfA)の上流及び下流領域の塩基配列を解析した。etfA の下流には線毛の形成に関与すると思われる 3 つの蛋白質の翻訳領域がみられた。この線毛遺伝子群を導入した大腸菌は菌体表面に EtfA に対する抗体と結合する線毛様構造物を産生するとともに赤血球凝集能を発現していた。このことから E. tarda の赤血球凝集反応には線毛が関与していると考えられた。
魚病研究,39(2),87-93(2004)

IHN 耐病性に関連するニジマス染色体領域の同定

S.-K. Khoo・尾崎照遵・中村総之・荒川哲也・石元伸一
R. Nickolov・坂本 崇・阿久津哲也・阿久津哲也
望月万美子・傳田郁夫・岡本信明

 伝染性造血器壊死症(IHN)耐病性と感受性ニジマスの間の戻し交配家系を用い,IHN 耐病性に関連するニジマス染色体領域の同定を,マイクロサテライト(MS)マーカーによる連鎖解析によって試みた。その結果,ニジマス連鎖地図のリンケージグループ 2 に位置し,クラスターを形成している 4 つの MS マーカーが IHN 耐病性と連鎖し,耐病性関連遺伝子の内の少なくとも一つがこの領域に存在した。
魚病研究,39(2),95-101(2004)

養殖ヒラメから分離された VHSV のニジマス及び数種海産魚に対する病原性

伊東尚史・森 広一郎・有元 操・中島員洋
 養殖ヒラメから分離された VHSV のニジマス及び 4 種の海産魚に対する病原性を検討した。ニジマス及びヒラメには JF00Ehi1 株(ゲノグループⅠ)及び KRRV-9601 株(ゲノグループⅢ)を腹腔内に 107.5TCID50/尾,メバル,マダイ及びブリには JF00Ehi1 株を筋肉内に107.0TCID50/尾接種した。いずれの分離株を注射してもニジマスでは死亡は見られなかったが,ヒラメの死亡率は100%に達した。メバル,マダイ及びブリの死亡率はそれぞれ 95.0,75.0 及び97.5%であった。
魚病研究,39(2),103-104(2004)

単生類 Neobenedenia girellae の低塩分に対する応答

梅田奈央子・平澤徳高
 多くの海産魚に寄生する N. girellae の産卵,卵の孵化および孵化幼生の遊泳に与える塩分濃度(8, 17, 24, 27, 34 ppt)の影響を in vitro で検討した。成虫の産卵数は塩分濃度 8-17 ppt の方が 34 ppt(100%海水)よりも有意に低い値を示した。また,卵の孵化率および孵化幼生の遊泳活性は 8,17 ppt の方が 34 ppt よりも有意に低い値を示した。17 ppt 以下の低塩分海水は本虫の繁殖,孵化幼生の遊泳を抑制することが明らかとなり,飼育水として低塩分海水を恒常的に使用することは本虫寄生の軽減に有効であることが示唆された。
魚病研究,39(2),105-107(2004)

台湾におけるコイヘルペスウイルスの検出

C. Tu・M.-C. Weng・J.-R. Shiau・S.-Y.Lin
 2002年12月に台湾北部でニシキゴイ 2 才魚に病気が発生し,14日間で90%が死亡した。病魚は鰓の膨化以外に外部症状は認められず,病理組織学的には鰓上皮が肥厚しており,好酸性顆粒細胞が観察され,二次鰓弁は癒着していた。電顕により直径平均 112 nm の正二十面体の粒子が確認され,コイヘルペスウイルス(KHV)特異的 PCR による増幅産物の塩基配列は報告されている KHV のそれと99%一致した。以上より,ウイルスの分離は成功しなかったが,この病気は KHV 病であると判断された。これは台湾における KHV 病の初めての報告である。
魚病研究,39(2),109-110(2004)

Lactococcus garvieae 及び Photobacterium damselae subsp. piscicida 培養条件における最小発育阻止濃度の精度管理値

川西路子・小島明美・石原加奈子・江嵜英剛
高橋敏雄・鈴木●子・廣野育生・飯田貴次
青木 宙・田村 豊

 MIC の試験結旺を比較可能にするための精度管理が魚病細菌においても必要である。そこで,L. garvieae, P. damselae subsp. piscicida の各 2 株に適合する培養条件における精度管理値を,米国臨床検査標準委員会の寒天平板希釈法に準拠した方法により定めた。各培養条件で精度管理株を含む 7 種 9 株に対する14薬剤の MIC を求め,MIC の最頻値±1 log2 を仮の精度管理値とした。
魚病研究,39(2),111-114(2004)