ENGLISH


日本魚病学会事務局(2013年1月より)
〒162-0801
東京都新宿区山吹町358-5
アカデミーセンター
TEL:03-5937-5716
FAX:03-3368-2822
E-Mail:jsfp-post@bunken.co.jp
HOME > 魚病研究 > 第38巻 3号

第38巻 3号

瀬戸内海産小型エビ類からの WSSV の検出

桃山和夫
 瀬戸内海西部海域で採集された小型エビ 4 種,サルエビ,トラエビ,アカエビおよびキシエビの WSSV 保有状況を PCR により調べるとともに,PCR 陽性個体を用いてクルマエビに対する感染性を調べた。安芸灘および伊予灘のエビからはWSSVはほとんど検出されなかったが,周防灘由来のサルエビ,トラエビおよびアカエビの WSSV 保有率はそれぞれ23,29,40%であった。これら PCR 陽性個体を経口投与したクルマエビは,感染したが死亡しなかった。磨砕濾液の筋肉注射では半数の個体が典型的な WSS の症状を呈して11日以内に死亡した。

浸漬法により感染させたヒラメにおけるウイルス性出血性敗血症ウイルスの消長

飯田秀貴・森 広一郎・西澤豊彦・有元 操・室賀清邦
 VHSV を用いて浸漬攻撃したヒラメの各組織におけるウイルスの消長を培養法を用いて 7 週間に亘って検討した。VHSV は感染 1 日後に鰓,皮膚,脾臓および腎臓で増殖し, 3 日後には調べた10全ての組織から検出された。浸漬 4 週間後に感染耐過魚の多くの組織で VHSV は検出されなくなったが,心臓および脳からは 6 週間後まで検出された。7 週間後には VHSV は検出されなかったが,その時点で急激な水温変化を与えたところ,1 週間後に一部の魚の心臓から VHSV が検出された。

PCR 法による魚体からの Nocardia seriolae 検出

三吉泰之・鈴木 聡
 16S rRNA 遺伝子を標的として Nocardia seriolae を特異的に検出する PCR 法を開発した。PCR の標的部位は大腸菌ナンバーで609から1038番目までのヌクレオチドであり,得られる PCR 産物は 432 bp である。PCR 産物は N. seriolae 標準株(JCM3360)およびブリあるいはヒラメ由来の 8 株から検出され,他のノカルジア属菌 5 種およびブリ病原菌 4 種からは検出されなかった。検出限界は 102 CFU であった。ノカルジア症の症状を呈する病魚を含む 8 検体のブリを供試したところ,すべての魚から PCR 産物菌が検出された。

ニジマスの細菌性鰓病に対する抵抗性に及ぼすヘモグロビン量の影響

山本 淳・名倉 盾・飯田貴次
 第 2 極体放出阻止法(RSP)と四倍体と二倍体との交配(2♀×4♂,4♀×2♂)によって 3 種類の三倍体ニジマスを作出し,血液性状を調べた。その結果,いずれの三倍体も大赤血球性貧血であることは共帳していたが,4♀×2♂のヘモグロビン量は RSP と2♀×4♂のそれより有意に高かった。細菌性鰓病(BGD)の実験感染の結果,低酸素下での死亡率を比較すると,4♀×2♂が他の 2 群より有意に低く,ヘモグロビン量は BGD による死亡に影響するものと考えられた。

Loma salmonae による微胞子虫性鰓病のニジマスへの伝播に及ぼす水温と注水量の影響

J. A. Becker・D. J. Speare・I. R. Dohoo
 ニジマスの微胞子虫性鱗病の伝播に及ぼす水温と注水量の影響を,同居感染させた魚における鱗のキセノマ数をもとに,生残率解析法によって定量的に求めた。水温19°Cに対する11°Cと15°Cの推定危険率は,それぞれ0.80と0.68であった。注水量の低い水槽(毎分 0.83 L)の魚に対し,注水量が中程度(1.67 L)または高い水槽(2.5 L)における危険率は,いずれも0.69であった。以上のように,高水温と低注水量の伝播のリスク因子と考えられた。

ヒラメから分離されたウイルス性出血性敗血症ウイルスに対する各種海産魚の感受性

一色 正・長野泰三・宮崎照雄
 VHSV(KRRV-9601株;ヨーロッパ型)を各種海産魚の腹腔内に接種後,水温10°Cで60日間飼育した結果,累積死亡率はヒラメ100%,クロダイ90%,キジハタ70%,クロソイ10%であったが,マコガレイとマダイでは 0 %であった。VHSV は各魚種の死亡魚とキジハタの生残魚から再分離された。VHSV に対する血中中和抗体はクロソイの生残魚からのみ検出された。VHSV の感染により死亡した各魚種の病理組織像は,出血病変の程度がやや異なることを除けば,ほぼ一致した。

魚類寄生微胞子虫を検出するための迅速 in situ ハイブリダイゼーション法

李 宣姃・横山 博・小川和夫
 毛細管現象を応用した迅速 in situ ハイブリダイゼーション(ISH)法を用いて,魚類寄生微胞子虫の検出を試みた。Glugea plecoglossi は,キセノマ内の全発育ステージのみならず感染初期のステージも検出可能であった。一方,Microsporidium seriolae は,胞子形成前のステージについては ISH 陽性であるものの胞子に対する染色性が悪かったため,Uvitex 2B 染色と併用する必要があった。本法は従来法よりも短時間(全工程 2 時間以内)で簡便に ISH 処理が可能であり,微胞子虫の検出法として有用である。