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第38巻 2号

ウシエビの血球と定着性食細胞の形態と機能

K. Supamattaya・J. Ruangsri・伊丹利明・V. Chitiwan・W. Phromkunthong・室賀清邦
 ウシエビ血球の形態および構造を光顕・電顕観察に基づいて記載した。パン酵母を血リンパ中に接種したところ,血球および定着性食細胞の食作用,ノジュール形成および包囲化により除去された。これらの反応はほぼエビの全身で認められ,酵母接種直後から 1 時間後にかけ血リンパ中の血球数の顕著な減少が認められた。Vibrio harveyi を血リンパ中に接種したところ,その98%が 3 時間以内に除去された。また,顆粒球がフェノールオキシダーゼ活性を有することが確認された。

単生類 Neoheterobothrium hirame の発達に与える水温の影響

堤 信幸・良永知義・釜石 隆・中易千早・小川和夫
 異なる水温下でヒラメに N. hirame のふ化幼生を感染させ,虫体の発達を調べ,産生されるヒラメの抗 N. hirame 抗体を測定した。15°C,20°C,25°Cにおいて N. hirame は鰓に寄生後それぞれ17日,10日,7 日後に吸血によるヘマチン色素を蓄積し始め,38日,24日,24日後に鰓弁から口腔壁へ移動し始め,59日,38日,31日後には子宮内に虫卵を擁し,122日,66日,52日後まで寄生していた。抗体価は15°Cで52日以降緩やかに上昇し,20,25°Cでは虫体が脱落し始めた後、急激に上昇した。

Uvitex 2B を用いた水生真菌類の宿主組織中での検出

和田新平・頼定大和・倉田 修・畑井喜司雄
 数種類の水生動物の真菌感染症例より作製したパラフィン切片を蛍光色素である Uvitex 2B を用いて染色し,従来の真菌染色手技(シュモール反応,PAS 反応,グロコット染色)と比較検討した。その結旺,Uvitex 2B 染色はより短時間で終了し,特腹な技術も必要とせず,帳常の真菌染色法では安定した染色結旺が得られにくいとされる卵菌類に対しても,有効な染色法であることが明らかになった。なお,Uvitex 2B 染色は H & E 染色との同時観察も可能であった。

日本海産ニジカジカにみられた珍奇な歯牙腫

本間義治・人見次郎・武田政衛・牛木辰男
 2002年 6 月下旬に富山湾沖で獲れた全長 274 mm のニジカジカに,上顎から口腔外へ突出していた径 29 mm,高さ 19 mm,重さ 6.5 g もある顕著な腫瘍塊が発見された。組織像の観察では,この腫瘍は偏平上皮で囲まれ,基質全体にわたって多数の歯牙様組織塊(歯胚,未完成歯)が散在していた。これら歯胚は,象牙芽細胞,象牙前質,象牙質から形成されていたが,エナメル質は見られなかった。基質内には,相当数の骨質片(海綿骨)も存在していた。本腫瘍は複合性歯牙腫と診断されたが,発生因については明確にできなかった。

フィリピンの養殖ウシエビにおける Vibrio harveyi と WSSV による混合感染

L. D. de la Pe n˜a・C. R. Lavilla-Pitogo・浪越充司・西澤豊彦・乾 靖夫・室賀清邦
 フィリピンで養殖されていたウシエビに大裏死が発生し,罹病エビのリンパ様器官から例外なく Vibrio harveyi が分離された。また,PCR 法により White spot syndrome virus(WSSV)の感染を調べたところ,one-step PCR ではごく 1 度のエビからしか検出されなかったが,nested PCR ではほぼすべての検査固体から WSSV が検出された。このような病原体の検出状況および病理組織学的検査の結旺から,V. harveyi が今回の大裏死の主原因と判断された。

アユ冷水病に対する水溶性アジュバント添加ワクチンの野外試験

永井崇裕・飯田悦左・米司 隆
 2000年および2001年の 4 月から 9 月にかけて,水溶性アジュバント(Montanidae IMS 1312)を添加した冷水病ワクチンを腹腔内接種したアユを河川水で野外飼育した。その結旺,両年とも 5 月中旬から冷水病が発生し,2000年は 6 月中旬まで,2001年は 7 月中旬まで死亡が続いた。いずれの年においてもワクチン接種魚の死亡率は無処理魚のそれより有意に低く,ワクチンの有効率(RPS)は33.0%(2000年)および39.6%(2001年)になり,本ワクチンの野外での有効性が示された。

マダイイリドウイルス病に対する絶食の有効性

田中真二・青木秀夫・井上美佐・栗山 功
 マダイ幼魚におけるマダイイリドウイルス病(RSIVD)に対する絶食の有効性について検討した。人為感染試験では,ウイルス感染後10日間または20日間絶食した区の死亡率は給餌を続けた区より有意に低かった。RSIVD の自然発病(日間死亡率0.7%)が確認された群を 2 蔓の網生簀に分けて行った野外飼育試験でも,16日間絶食した区の死亡率は44.0%で給餌を続けた区の75.4%より有意に低かった。これらの結旺から,RSIVD に対し絶食は被害軽減に有効であることが示された。