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第38巻 1号

定量的 PCR 法によるマダイイリドウイルスの検出と定量

Christopher Marlowe Caipang・廣野育生・青木 宙
 マダイイリドウイルスの主要外殻タンパク質(MCP)遺伝子を標的とした定量的 PCR 法では,ウイルス遺伝子が 1 から109コピーまで定量可能であった。定量的PCR法は通常の PCR より感度が100倍良かった。ウイルス感染 3 日目のマダイでは心臓において最も多くの MCP 遺伝子が検出されたが,螓液中のそれは約100分の 1 であった。ワクチン接種したマダイに対するウイルス攻撃試験後,生残魚からは通常の PCR ではウイルスは検出できなかったが,定量的 PCR 法では検出できた。

Neoheterobothrium hirame に応答するヒラメ白血球の同定

中易千早・堤 信幸・吉富友恭・良永知義・熊谷 明
 ヒラメの白血球は電顕観察でリンパ球,栓球,顆粒球,単球に分類された。N. hirame 感染魚末梢血中では顆粒球・単球の割合が増加していた。顆粒球は,acid phosphatase, Sudan black B, peroxidase に陽性であり,好中球に相当すると考えられた。白血球を N. hirame と共に培養すると虫体への単球の接着が見られた。寄生部位では,顆粒球,単球,さらに高電子密度顆粒を持つ細胞とそれらの虫体への接着が見られ,虫体外皮の一部に損傷が確認された。よって,これらの細胞が N. hirame への攻撃に重要な役割を担っていることが示唆された。

ヒラメにおけるビルナウイルスと VHSV, Edwardsiella tarda もしくは Streptococcus iniae との実験的混合感染

R. Pakingking Jr.・高野良子・西澤豊彦・森 広一郎・飯田悦左・有元 操・室賀清邦
 ヒラメにおけるアクアビルナウイルス(ABV)と他の 3 種の病原体との混合感染について実験を行った。ABVを接種し,1 週間後に VHSV を接種した場合,ABVを接種せずに VHSV を接種した場合に較べ,VHSVによる死亡率は有意に低かった。一方,ABV 接種後に E. tarda あるいは S. iniae を接種すると,細菌だけを接種した場合より死亡率が高かった。すなわち,ABV 感染は VHSV 感染を抑制し,細菌感染を助長することが示された。

ニジマスにおけるヘルペスウイルス病の発生

降幡 充・細江 昭・武居 薫・小原昌和・中村 淳・本西 晃・吉水 守
 長野県下で養殖されていたニジマスに高い死亡率をもたらす疾病が発生した。18養鱒場の12~1,503 g の魚に発症が見られ,病魚から RTG-2 細胞に多核巨細胞の形成を特徴とする CPE を示すウイルスが分離された。主要臓器のウイルス感染価は高く,肝臓には多数の壊死病巣が観察された。分離ウイルスは中和試験及び PCR により salmonid herpesvirus 2 に同定され,本病はサケ科魚類の 2 型ヘルペスウイルス病と診断された。発生例の80%以上が種苗等,魚の導入に起因していた。

Loma salmonae ワクチンはカワマスには効かない

D. J. Speare・J. Daley
 ニジマスとカワマスを用いて,ニジマスまたはカワマス由来 L. salmonae(それぞれ OA 株, SV 株)の生鮮胞子による経口ワクチンの有効性を評価した。投与 7 週後にはすべての魚の鰓にキセノマが形成された。キセノマが消失した17週後に,ニジマスは OA 株で,カワマスは SV 株で攻撃実験を行った。その結果 ,OA 株, SV 株のいずれで免疫したニジマスも初回感染に比べてキセノマ数の顕著な減少がみられたが,カワマスではいずれの免疫群も防御効果は認められなかった。