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日本魚病学会事務局(2013年1月より)
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第37巻 4号

実験感染ヤイトハタにおけるマダイイリドウイルス(RSIV)の増殖

佐野元彦・皆川 恵・中島員洋
 腹腔内接種により RSIV を感染させたヤイトハタにおいて,ウイルス抗原陽性細胞は肝臓及び体腎よりも脾臓及び頭腎で早期に出現し,数も多かった。電顕観察では,感染魚に特有な肥大細胞中にウイルス増殖像が見られ,さらに死亡魚では,ウイルス粒子が細胞内の他,崩壊した肥大細胞や毛細血管の周辺などにも散在して観察された。脾臓や頭腎において RSIV が増殖して形成された肥大細胞は血管を介して他の臓器へも拡がった後崩壊し,ウイルス粒子が放出されるものと推察された。
魚病研究,37(4),163-168(2002)

ヒラメから分離された VHSV の諸性状

森 広一郎・飯田秀貴・西澤豊彦・有元 操・中島員洋・室賀清邦
 ヒラメ由来 VHSV 3 株(米国型: 天然魚および養殖病魚由来各 1 株;欧州型:養殖病魚由来 1 株)の諸性状について検討した。用いた 3 種の魚類株化細胞の中では FHM 細胞で何れのウイルス株も最もよく増殖し,至適増殖温度は米国型株で 20゜C,欧州型株で 15゜C であった。in vitro の安定性試験では高水温下の未滅菌海水中において速やかに失活した。ヒラメに対して米国型株は強い病原性を示し,日本の天然および養殖ヒラメから分離される株の殆んどが米国型株である事とよく付合した。
魚病研究,37(4),169-174(2002)

ヒラメ VHS ウイルスに対する各種市販消毒剤の殺ウイルス効果

栗田 潤・飯田悦左・中島員洋・井上 潔
 ヒラメから分離されたウイルス性出血性敗血症ウイルス(VHSV)に対する各種市販消毒剤の殺ウイルス効果を検討した。 各消毒剤の効果は処理ウイルス液を培養細胞に接種することにより判定した。PBS(-)希釈した場合は,VHSV は 1-プロパノール,クレゾール,塩素剤,ヨード剤および逆性石鹸剤で容易に不活化されたが,メタノール,エタノールおよびフェノールの効果は低かった。一方,人工海水で希釈した場合は,クレゾールと塩素剤の効力が明らかに低下した。
魚病研究,37(4),175ミ181(2002)

マガキ幼生の細菌性壊死症に対する抗菌剤の治療効果

松原弾司・田中 實・惣明睦枝・平川浩司・土居竜司・中井敏博
 三倍体マガキ幼生の細菌性壊死症に有効な薬剤の検索を目的として,人為感染および自然感染に対する 8 種抗菌剤の治療効果を調べた。Vibrio 属細菌 4 種 7 株を用いた人為感染に対しては,クロラムフェニコールの効果が最も高く,エリスロマイシン, ノボビオシン, ストレプトマイシンなどにも顕著な治療効果が認められた。自然感染に対しては,幼生を高密度飼育した場合クロラムフェニコール添加区の死亡率が最も低かったが,低密度飼育では上記 4 種薬剤は同程度の防除効果を示した。
魚病研究,37(4),183ミ188(2002)

天然海産魚からのアクアビルナウイルスおよび VHSV の分離

渡部玲雄・Rolando Pakingking Jr.・飯田秀貴・西澤豊彦・飯田悦左・有元 操・室賀清邦
 ヒラメ(160尾),マアジ(141尾),メバル(101尾),イカナゴ(52尾)など10種526尾の天然海産魚から SSN-1など 3 種の細胞を用いてウイルス分離を試みた。その結果,アクアビルナウイルスがヒラメ(15%),マアジ(23%),およびメバル(4 %)から分離され,VHSV がヒラメ(10%)およびイカナゴ(2 %)から分離された。また,比較のため養殖ヒラメ(200尾)について調べた結果,アクアビルナウイルスが1.5%の魚から分離された。
魚病研究,37(4),189-191(2002)

日本産マガキからの Haplosporidium nelsoni の検出

釜石 隆・良永知義
 日本国内のマガキにおける H. nelsoni 感染の有無を,組織学的観察,in situ hybridization 法,PCR 法によって調査した。東北沿岸域から得た稚貝100個体中, 2 個体に Haplosporidium 属に類似した栄養体が観察され,これらの栄養体は in situ hybridization で H. nelsoni 特異プローブに対して陽性を示した。また,PCR ではこれら 2 個体を含む 4 個体が陽性を示した。この栄養体の SrRNA 遺伝子の塩基配列は既報の H. nelsoni の配列と99.7%一致した。この結果,国内のマガキに H. nelsoni が感染していることが明らかとなった。
魚病研究,37(4),193-195(2002)

新潟県下の養殖ニシキゴイにおけるコイヘルペスウイルス(KHV)および浮腫症ウイルス(CEV)の調査

網田健次郎・大江貢弘・的山央人・山口典子・福田穎穂
 2001年10月および11月に新潟県内で生産・飼育されていたニシキゴイ 0 ~ 1 年魚205尾について,鰓,脳,腎臓,脾臓を検査部唖として,PCR 法により KHV(205尾)および CEV(「ねむり病」罹患魚35尾)感染の有無を調査した。KHV はいずれの魚からも検出されず,現時点で少なくとも新潟県内には KHV は存在しないものと考えられた。一方,「ねむり病」罹患魚検体の87.5%から CEV ゲノムが検出され,「ねむり病」に対する CEV の関与が疑われた。
魚病研究,37(4),197-198(2002)

飼育用水の中圧紫外線処理によるヒラメスクーチカ症の防除

笠井久会・大沢秀一・小林 正・吉水 守
 培養スクーチカ類繊毛虫は 2.0 ´ 105 mW ・ sec/cm2 の紫外線照射裏で死亡した。これに基づき,3.0 ´ 105 mW ・ sec/cm2 の照射能力を持つ中圧紫外線で処理した海水を用い,スクーチカ症による被害が深刻な養魚施設でヒラメ(全長30 mm)の飼育試験を行った。その結果,対照区では継続してスクーチカ症が発生し,試験区では最初の 2 週間は本症の発生が認められたがその後は発生せず,高い防除効果が示された。
魚病研究,37(4),199-200(2002)

ブリ血管内吸虫はレンサ球菌による死亡を助長する

公文麻美・飯田貴次・福田 穣・有元 操・清水 健
 血管内吸虫症が毎年発生する海域でブリを飼育し,血管内吸虫に感染させた後,Lactococcus garvieae の感染試験を行った。吸虫の感染は鰓弁における吸虫卵の有無により判定した。感染試験の結果,吸虫に感染している魚群の死亡率は感染していない魚群よりも有意に高く,さらに吸虫卵が認められた鰓弁数の割合は死亡魚のほうが生残魚よりも有意に高かった。また,死亡するまでの日数と吸虫卵の認められる鰓弁数の割合との間には負の相関が認められた。以上の結果から,ブリ血管内吸虫症はレンサ球菌症による死亡を助長すると考えられる。
魚病研究,37(4),201-203(2002)

情報:シンポジウム「魚病研究の現状と展望」

川合研児・大嶋俊一郎
 2002年 9 月14日高知においてシンポジウム「魚病研究の現状と展望」が開催され,日本魚病学会の現状,政府の魚病政策,水産業界の魚病対応および韓国における魚病の現状について基調講演が行われたのち,養殖関連業界や魚病関連研究分野の各立場からみた問題点について意見が発表された。総合討論では,当学会および魚病研究者が取り組むべき課題として,魚病の基礎研究と応用研究の融合,若手研究者の育成,魚病情報の収集システム,他学会との交流,魚病研究者間の連携,重要疾病への迅速な対応などが指摘された。
魚病研究,37(4),205-223(2002)