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第37巻 3号

タイセイヨウサケに寄生するサケジラミの単一コホートによる生活環の数式モデル

C. S. Tucker・R. Norman・A. P. Shinn ・J. E. Bron・C. Sommerville・R. Wootten
 タイセイヨウサケに単一コホートのサケジラミを寄生させた実験データから,宿主上の各発育期(カリムス 4 期,前成虫 2 期,成虫)の虫体数を予測する数式モデルを作成した。さらに,卵とノープリウス期のデータも加味してすべての発育期を含んだモデルを構築した。駆虫剤使用後のサケジラミの個体群動態もシミュレーションしたところ,雌雄の発育速度の差を反映して,駆虫剤の最適使用時期が雌雄で異なった。
魚病研究,37(3),107-118(2002)

養殖イサキに発生した細胞内寄生細菌による肉芽腫症

福田 穣・岡村 愛・西山 勝・川上秀昌・釜石 隆・良永知義
 中国産イサキ輸入種苗および中国産親魚から種苗生産されたイサキに,腎臓と脾臓での小白点を特徴とする原因不明の死亡が見られた。組織学検査およびスタンプ標本観察により,この小白点は肉芽腫であり,その内部に球菌状の細胞内寄生細菌(ICB)が認められた。病魚の脾臓磨砕液を健康なイサキに接種したところ, 接種魚は全て死亡し, 全ての魚に自然発病魚と同じ ICB を伴う肉芽腫が観察された。以上の結果から, 本病は当該 ICB による疾病であることが強く示唆された。
魚病研究,37(3),119-124(2002)

実験的に作出した失血性貧血ヒラメの血液性状

中易千早・良永知義・熊谷 明
 ヒラメ貧血症の原因究明の一環として,無給餌あるいは給餌状態で反復採血をおこなうことによって貧血ヒラメを作出し,その血液性状の変化を調べた。その結果,無給餌・採血区において,天然貧血魚と同様の著しい低色素性小球性貧血と赤血球の形態異常が再現された。このことから,ヒラメ貧血症は単生類 Neoheterobothrium hirame の吸血を原因とする従来の説が強く支持された。また,作出した貧血魚が貧螓から回復するには給餌をしても長期間要したことから,虫体の存在しない天然貧血魚は虫体脱落後の回復過程にあることが示唆された。
魚病研究,37(3)125-130(2002)

日本海西部海域の天然 0 歳ヒラメにおける Neoheterobothrium hirame の寄生動態

H. Anshary・山本栄一・宮永貴幸・小川和夫
 1999年と2000年に日本海西部沿岸の定点で天然ヒラメを採集し,N. hirameの寄生動態を調べた。同所的に生息する 1-2 歳魚を感染源として,両年とも 6 月に 0 歳魚への寄生が始まった。 0 歳魚に寄生した虫体が産卵を開始したことから,8 月上旬には次世代の寄生虫による感染が起こり,寄生レベルが上昇した。秋にはすべての魚が寄生を受けており,魚の分布密度は極端に減少した。これらのことから,N. hirame の寄生が秋の0歳ヒラメの減少に深く関わっていることが示唆された。
魚病研究,37(3),131-140(2002)

Pseudomonas plecoglossicida の運動性と病魚の腹水症状との関係

朴 世昌・中井敏博・湯浅明彦
 徳島県下で養殖アユから分離された P. plecoglossicida の殆どは,病魚における腹水症状の有無に関係なく非運動性株であった。運動性株を筋肉内接種後,死亡したアユからは運動性株しか分離されなかったが,非運動性株を接種したアユからは運動性,非運動性両タイプの株が分離された。これらの死亡魚の大半は腹水症状を呈した。また,長時間液体培養すると非運動性株が運動性株に変化した。以上のことから,病魚における腹水症状と分離株の運動性との間に一定の関係は無いと結論された。
魚病研究,37(3),141-144(2002)

Edwardsiella tarda 生菌のテラピアに対するワクチン効果

五十嵐ありさ・飯田貴次
 Edwardsiella tarda の病原性株 FPC498 から,シデロフォア産生性の低下した変異株 SPM31 を作出した。テラピアを用いて病原性を調べたところ,SPM31 は病原性が低下していた。SPM31 をワクチン株としてテラピアを免疫し,2,3,4 週間後に親株 FPC498 による攻撃試験を行ったところ,ホルマリン死菌免疫区の死亡率は80~100%であったが,生菌で免疫した場合には死亡はみられなかった。病原性を低下させた変異株の生菌免疫により,十分な感染防御が誘導されることが示された。
魚病研究,37(3),145-148(2002)

血リンパ接種による軟体部の赤変化を伴うアコヤガイ疾病の再現

森実庸男・山下浩史・藤田慶之・川上秀昌・越智 脩・前野幸男・釜石 隆・伊東尚史・栗田 潤・中島員洋・芦田勝朗
 アコヤガイ軟体部の赤変化を伴う大量死の原因を究明するため,病貝の血リンパを健常貝に接種し疾病が再現されるかを給餌,無給餌の条件下で検討した。その結果,接種 2 ~ 3 ヶ月後に病気が再現され,感染実験系が確立された。さらに,その原因体は病貝螓リンパの血清,血球の両方に存在し,0.45 μm のメンブレンフィルターを通過する濾過性病原体であると考えられた。
魚病研究,37(3),149-151(2002)

最近分離された Nocardia seriolae の薬剤感受性

板野公一・川上秀昌
 1999年 4 月から2001年12月にかけて愛媛県および高知県下で養殖海産魚から分離されたノカルジア症原因菌 Nocardia seriolae の薬剤感受性を調べた。寒天平板希釈法を用いて10種薬剤の MIC を測定した結果,供試した60菌株はすべて硫酸カナマイシンに感受性を示し,オキソリン酸およびホスホマイシンには耐性を示した。エリスロマイシン,スピラマイシンおよびキタサマイシンの MIC 分布は二峰性を示し耐性株が認められた。これらの中には多剤耐性を有する株も存在した。
魚病研究,37(3),152-153(2002)