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日本魚病学会事務局(2013年1月より)
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第37巻 2号

病原性に関与する Edwardsiella tarda の鉄獲得能

五十嵐ありさ・飯田貴次・Jorge H. Crosa
 Edwardsiella tarda 41株の鉄獲得能を検討した。鉄吸収に関与すると思われる外膜タンパクの産生には違いは認められなかったが,鉄制限下での増殖性により供試菌株を二つのグループに分けることが出来た。シデロフォア産生をバイオアッセイおよび改変 CAS アッセイで調べたところ,鉄制限下で増殖した菌株にのみシデロフォアの強い産生が確認され,病原性株は全てこのグループに含まれた。シデロフォアの産生が低下した変異株ではウナギに対する病原性も低下した。シデロフォア産生性は E. tarda の病原性に必須であると考えられる。
魚病研究,37(2),53-57(2002)

エドワジエラ症に伴ってみられたヒラメ集団の血液成分及び血中生体防御指標の変動係数の変化

宮崎統五
 エドワジエラ症発生期およびその前後の期間におけるヒラメ飼育群の血中食細胞の貪食率,NBT 還元能,ポテンシャルキリング活性,血漿リゾチーム活性,血漿蛋白濃度及び血漿ブドウ糖濃度を継続的に調べた。その結旺,死亡が始まる前からいくつかの項目で変動係数の上昇傾向がみられた。これらの上昇は,集団中に発症段階の異なる個体が混在したために起きたと推測され,変動係数の変化は感染症が発生する前兆をとらえるための指標となる可能性が示された。
魚病研究,37(2),59-63(2002)

Summer flounder における-コバクテリア感染を伴う腎肥大

K. P. Hughes・R. B. Duncan・S. Smith
 大学の飼育水槽で飼育されていた summer flounder (Paralichthys dentatus)に腹部膨満,食欲不振および不活発な遊泳を示す病魚が慢性的にみられた。開腹してみると,腎臓が著しく肥大し,黄色を呈する病巣部が心臓,脾臓および肝臓に認められた。病理組織学的には,腎臓における顕著な肉芽腫性炎症と時に石灰化した肉芽腫が観察され,炎症部に抗酸菌が認められた。患部から
Mycobacterium 属細菌が分離され,本病の原因体と推定された。
魚病研究,37(2),83-86(2002)

フィリピンで発生したハタのウイルス性神経壊死症

前野幸男・L. D. de la Pe-a・E. R. Cruz-Lacierda
 フィリピンの種苗生産場で孵化34日後のチャイロマルハタに摂餌不良,異常遊泳を特徴とする大裏死がみられた。病魚の脳,脊髄および網膜組織に明瞭な空胞変性が観察され,それらの細胞質に直径 20~25 nm の多数のウイルス粒子がみられた。さらに病魚頭部の磨砕濾液を接種した SSN-1 細胞に顕著な CPE が発現し,RT-PCR 法により病魚および感染培養細胞から魚類ノダウイルスの外被タンパク質遺伝子が検出されたことから本病がウイルス性神経壊死症(VNN)であることが明らかとなった。本症例はフィリピンにおける VNN の初記載である。
魚病研究,37(2),87-89(2002)

各種海産養殖魚におけるマダイイリドウイルス病不活化ワクチンの有効性

中島員洋・伊東尚史・栗田 潤・川上秀昌・板野公一・福田 穣・青井由美子・帳山哲郎・真鍋貞夫
 マダイイリドウイルス病(RSIVD)ホルマリン不活化ワクチンのブリ,カンパチ,クエ,シマアジ及びイシガキダイ幼魚に対する有効性を調べた。腹腔内接種による免疫10日後にマダイイリドウイルスを腹腔内接種し攻撃を行った結旺,いずれの魚種においてもワクチン区の生残率が対照区のそれよりも有意(p<0.01)に高かった。本ワクチンはこれら魚種の RSIVD に対しても防御効旺があるものと考えられる。
魚病研究,37(2),90-91(2002)

大腸菌発現 VNN ウイルス外被タンパク質に対するマツカワの液性免疫応答開始時期

渡辺研一・吉水 守
 マツカワの液性免疫応答開始時期の検討を行った。4~7ヶ月齢魚の尾部血管内に 250 mg/mL のタンパク質裏に調整した大腸菌発現 BFNNV 外被タンパク質(32 kDa)を 100 mL 注射した。抗原投与後 1 ヶ月毎に ELISA を用いて血清中の抗体価を測定した。5ヶ月齢以下の魚では投与の前後で ELISA 抗体価に違いは認められなかったが,6 ヶ月齢以降の魚では明瞭な ELISA 抗体価の上昇が観察された。高い ELISA 抗体価は抗原投与後 2 ヶ月間にわたって維持された。
魚病研究,37(2),92-94(2002)

ウイルス性出血性敗血症ウイルスヒラメ由来株(KRRV-9601)実験感染ヒラメの病態に及ぼす水温の影響

一色 正・長野泰三・宮崎照雄
 VHSV(KRRV-9601株)をヒラメの腹腔内に接種して水温10,15および 20°C で飼育した結旺,15日間の累積死亡率はそれぞれ100,60および 0 %となった。10°C 群では壊死性心筋炎および脾臓,腎臓造血組織,肝臓における循環障害を伴った壊死が顕著であり,ウイルス感染価は心臓および腎臓で高かった。15°C 群では死亡魚および生残魚のいずれにおいても心筋壊死が認められ,ウイルス感染価は腎臓よりも心臓で高かった。20°C 群では病変は認められず,VHSV も再分離されなかった。
魚病研究,37(2),95-97(2002)

White spot syndrome ウイルスのクルマエビに対する感染実験用接種材料の調製

呉 金炉・鈴木和典・有元 操・西澤豊彦・室賀清邦
 クルマエビを用いた感染実験のために white spot syndrome ウイルス(WSSV)の接種材料を調製した。WSSV を筋注し瀕死状態となったクルマエビから血リンパを採取し,-80°C に保存した。保存40日後に本ウイルス液の数階段希釈液をクルマエビに筋注したところ,LD50 値は 10-4.2 mL/g であった。なお,この時のウイルスゲノム濃度は競合 PCR により1.5x107 copies/mL と計算された。-80°C で 5 および16か月間保存したが,本接種材料の毒力は低下しなかった。
魚病研究,37(2),65-69(2002)

台湾と西半球で分離されたタウラ症候群ウイルスの遺伝子の相同性

T.-W. Lien・H.-C. Hsiung・C.-C. Huang・Y.-L. Song
 1998年以来台湾においてタウラ症候群によるホワイトシュリンプ(Litopenaeus vannamei)の大量死が発生している。原因ウイルス(TSV)の外被タンパク質をコードする遺伝子(3288 bp)の塩基配列を較べたところ,台湾分離株はメキシコ分離株およびハワイ分離株と,cDNA およびアミノ酸レベルのいずれにおいても,97%(メキシコ)あるいは98%(ハワイ)と高い相同性を示した。台湾分離株は西半球から持ち込まれたものと推定され,アジアの他地域への伝播防止が重要と考えられた。
魚病研究,37(2),71-75(2002)

養殖アユにおける細菌性腎臓病の発生

永井崇裕・飯田悦左
 腎臓に結節様の病変を伴うアユの大裏死の原因を検討した。腎臓から分離された細菌は,抗 Renibacterium salmoninarum 血清を用いた蛍光抗体法および R. salmoninarum 検出用 PCR 法で陽性反応を示した。また,分離菌を用いた感染実験の結果,同様の症状が再現され,103 cells/尾の接種裏で全てのアユが死亡した。これらの結旺から,本症はアユにおける細菌性腎臓病の最初の発生例と判断された。また,発病したアユが以前飼育されていた養殖場で飼育されていたヤマメから R. salmoninarum が検出され,それが感染源と考えられた。
魚病研究,37(2),77-81(2002)