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第37巻 1号

Aphanomyces piscicida の赤血球凝集素として特定されたガラクトース結合性タンパク

倉田 修・三瓶佳代子・引地主行・畑井喜司雄
Aphanomyces piscicida の赤血球凝集素として特定されたガラクトース結合性タンパク
真菌性肉芽腫症の原因菌である Aphanomyces piscicida より,赤血球凝集活性を持つガラクトース結合性タンパク(GBP)を精製した。GBP の分子裏は約 40 kDa であった。GBP に対するウサギ抗血清はAphanomyces 属菌とのみ特異的に反応した。本 GBP は真菌性肉芽腫症,流行性潰瘍症候群(EUS),red spot disease(RSD)および潰瘍性真菌症罹病魚より分離された Aphanomyces 属菌にのみ共帳して認められたことから,病原性に関わっていることが示唆された。
魚病研究,37(1),1-6(2002)

魚介類病原細菌とエビ血球に及ぼすセクロピンの影響

S.-H. Ho・C.-Z. Lin・Y.-C. Chen・ Y.-L. Song
 Vivrio hareyi など12種類のグラム陰性魚介類病原細菌およびオニテナガエビ寄生真菌 1 種類に対するセクロピン A と P1 の抗菌性を調べた。その結旺,ほとんどの菌種に発育阻止効果を示し,セクロピン A の最小発育阻止濃度は 0.98-7.81 mM,最小殺菌濃度(MBC)は 3.90-15.59 mm であった。しかし塩分存在下(0.5 M NaCl)では抗菌作用は低下した。セクロピン A はウシエビの血球に対し,MBC 値の3.2倍の濃度で細胞毒性を示した。以上の結旺から,セクロピンを海水飼育エビの細菌病に応用するのは難しいと考えられた。
魚病研究,37(1),7-12(2002)

テラピア好中球の生体防御活性に与えるコルチゾールの in vitro での影響

黒木順子・飯田貴次
 テラピア好中球の生体防御活性に与えるコルチゾールの影響を in vitro で調べた。コルチゾールの暴露により,鰾由来好中球の遊走活性,貪食活性,活性酸素産生活性は有意に低下し,コルチゾールの濃度に依存的であった。1 mg/mL のコルチゾールに 1 時間暴露すると,活性酸素産生活性は有意に低下したが,コルチゾールを除去すると速やかに活性は回復した。これらの結旺から,コルチゾールは直接的にテラピア好中球の生体防御活性を可逆的に抑制することが明らかとなった。
魚病研究,37(1),13-16(2002)

コルチゾール接種によるテラピア好中球生体防御活性の低下とエドワジエラ症に対する感受性の上昇

黒木順子・飯田貴次
 コルチゾールを腹腔内接種し,テラピア好中球に与える影響を in vivo で調べたところ,大腸菌死菌刺激に対する鰾浸出好中球数は低下し,好中球の遊走,貪食および活性酸素産生能もすべて有意に低下した。また,Edwardsiella tarda による感染試験を行ったところ,コルチゾール接種区では死亡魚がみられ,実験終了後に生残魚の半数以上より接種菌が再分離された。コルチゾールは好中球の生体防御活性を抑制し,細菌感染に対する宿主の感受性を高めると考えられた。
魚病研究,37(1),17-21(2002)

マガキの卵細胞内に寄生する Paramyxea 門寄生体の同定と発育の記載

伊藤直樹・尾田 正・小川和夫・若林久嗣
 マガキ卵巣の肥大症(いわゆる異常卵塊)の原因寄生体を電顕によって同定し,電顕及び光顕によって本寄生体の発育を調べた。その結旺,胞子の構造より本虫は韓国で報告されている Marteilioides chungmuensis に同定された。本虫はまずマガキの濾胞上皮周辺部の未熟卵細胞に侵入し,卵細胞の発育と同調しながら細胞内細胞の形成を繰り返し,また,虫体自体も大型化していった。胞子形成後は,正常の卵細胞と同様に,生殖細管を経てマガキ体外へ放出されると推定された。
魚病研究,37(1),23-28(2002)

トラフグの腸管に寄生する Myxidium 属粘液胞子虫の魚から魚への伝播

安田広志・大山 剛・岩田一夫・Tin Tun・横山 博・小川和夫
 「やせ病」トラフグ腸管に寄生する Myxidium 属粘液胞子虫(M. fugu,Myxidium sp. TP)の感染が,病魚腸管の経口投与,感染魚との同居,感染魚飼育水槽からの排水曝露のいずれでも成立し,生簀内で魚から魚へ伝播することが示された。Myxidium sp. TP はトラフグ腸管内で成熟胞子を形成しないため,水中に排出された栄養体が感染源になると考えられた。また,高水温が Myxidium sp. TP の発育および本病の発症を促すことが示唆された。
魚病研究,37(1),29-33(2002)

Viral deformity virus 感染魚類培養細胞からのカスパーゼ活性の検出

三輪 理・間野伸宏・荒西太士
 CHSE-214 細胞にビルナウイルスの一種である viral deformity virus を感染させた。感染細胞群中にはアポトーシスに典型的な形態変化を示すものがみられ,カスパーゼ活性は感染細胞群からのみ検出された。多くのカスパーゼ活性は感染 5 時間後にピークとなったが,カスパーゼ 3, 7 のみは10時間後にピークを示した。これらの結旺はカスパーゼの活性化が魚類細胞のウイルスによるアポトーシスに関与していることを示すとともに,カスパーゼ間の機能分化を示唆しているものと考えられた。
魚病研究,37(1),35-37(2002)

天然ヒラメにおける貧血症の血液学的特性

中易千早・良永知欽・熊谷 明
 天然ヒラメに発生している貧血症の血液学的特性を解析した。罹患魚では,Hb,血球数,MCH および MCHC の明確な減少が見られ,血球容積も減少傾向にあった。貧血魚赤血球の光顕観察では,輪郭の変形,小球化,細胞質の染色性の低下や空胞化などの形態異常を伴った幼若および成熟赤血球が認められた。電顕観察により,細胞質内の電子密度の低下が認められ,Hb 裏の不足が示唆された。以上の結旺から,本貧血症の病態は,血球形態異常および赤血球減少を伴った低色素性小球性貧血と考えられた。
魚病研究,37(1),38-40(2002)

単生類 Neoheterobothrium hirame の産卵に与える水温の影響

堤 信幸・虫明敬一・森広一郎・有元 操・良永知義・小川和夫
 ヒラメに寄生する単生類 Neoheterobothrium hirame の産卵に与える水温の影響を調べた。1 虫体あたりの日間産卵数は水温10, 15, 20, 25°C でそれぞれ 203, 578, 781, 651 であり,水温10-20°C で産卵数は温度依存的に増加したが,20-25°C では差はみられなかった。20°C 以下では全ての虫卵が正常な形態を示していたのに対し,25°C では,形態異常を伴う虫卵が1.4%含まれていたことから,25°C は本虫の産卵の限界温度に近いことが推察された。
魚病研究,37(1),41-43(2002)

1996年から2000年にマダイイリドウイルス病が確認された海産養殖魚種

川上秀昌・中島員洋
 1996年から2000年にかけ,海産養殖魚にマダイイリドウイルス病が発生した都道府県数および発生魚種の調査を行った。この間に本病は17県で発生し,スズキ目26種,カレイ目 2 種,フグ目 1 種の合計 3 目29種の海産養殖魚に発生がみられた。1991年から1995年の間に発生が確認された魚種はスズキ目,カレイ目,フグ目の 3 目20魚種であったが,今回の調査で,スズキ目10種,カレイ目 1 種の合計11魚種で新たに発生が確認され,1990年の初発以来,本病が発生した都道府県数は18,感染魚種は 3 目31魚種となった。
魚病研究,37(1),45-47(2002)