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第36巻 4号

タイのグッピーから分離された Tetrahymena corlissi の生物学的性状

2001/2/13
畑井喜司雄・K. Chukanhom・O. Lawhavinit・C. Hanjavanit・国常美穂・今井壮一
タイのグッピー養殖場で流行したテトラヒメナ症の原因虫は,T. corlissi に同定された。人為感染魚は自然発症魚と同様に体表の一部が白斑を呈して死亡した。本虫は,温度が25-35。C,pH が5.0-7.0,塩分濃度が 0 %の時に最良の増殖を示した。グッピーは2.0および2.5% NaCl 溶液中で 6 および 2 時間以上生存したが,寄生体はすみやかに死亡した。これはタイでの T. corlissi 症の最初の報告である。

Photobacterium damselae subsp. piscicida の付着能測定への ELISA 法の応用

2001/2/26
鄭泰成・Kim D. Tompson・Alexandra Adams
 魚類株化細胞を用いて Photobacterium damselae subsp. piscicida の付着能を ELISA 法で検討した。異なる魚種・地域から分離した計32株の CHSE-214 細胞に対する付着能を比較したところ,株間で差がみられた。細菌に酸(pH 4ミ6)を作用させても付着能は変化しなかった。代表株を用いて単糖類で処理した影響を調べたところ,日本株は N-アセチルノイラミン酸と L-フルクトース処理で付着能が増大し,N-アセチル-D-グルコサミン処理では低下したが,イタリア株は異なる反応を示した。

愛媛県宇和海における軟体部の赤変化を伴うアコヤガイの大量へい死

2001/3/5
森実庸男・滝本真一・西川 智・松山紀彦・蝶野一徳・植村作治郎・藤田慶之・山下浩史・川上秀昌・小泉善嗣・内村祐之・市川 衞
 1996年以来発生している赤変化を伴うアコヤガイの大量へい死の実態を把握するため,1997-1999年に母貝の生育,へい死率,外套膜の病理組織学的変化を調査した。本疾病は冬季水温の高い南部の海域で 6 月に発生し,8 ~11月には北部に至り,宇和海全域に広がった。本病の発生には,冬期の水温が影響するなど強い温度依存性が示唆された。

Photobacterium damselae subsp. piscicida 株間におけるシアル酸の比較

2001/3/9
鄭泰成・Kim D. Thompson・Alexandra Adams
 由来の異なる40株の Photobacterium damselae subsp. piscicida について調べたところ,それらはシアル酸(SA)の分子量によって 2 つの主要なグループに分けられた。日本由来のグループ 1(12株)は 22 kDa の SA を有するのに対し,地中海由来のグループ 2 には 26 kDa の SA を有する26株と 38 kDa の SA を有する 2 株があった。各グループの代表株をコレラ菌 III 型シアリダーゼ処理したところ,グループ 1 と 38 kDa の SA を有する株は感受性を示した。

大量死を伴う異常アコヤガイの血球像の変化

2001/4/23
前野幸男・伊東尚史・釜石 隆・森実庸男・中島員洋
 閉殻筋および軟体部の赤変化を呈し大量死した群のアコヤガイ(自然発症貝)より血リンパ塗抹標本を作製し観察した。血リンパ像を外套膜および閉殻筋の組織病変と対比した結果,異常な大型細胞ならびに血球細胞質にみられる顆粒および空胞の出現は,自然発症貝に特徴的にみられる外套膜および閉殻筋の結合組織における病変の程度とよく相関していた。実験感染貝においても血球細胞のこれらの変化は組織病変とよく相関していた。以上の結果よりアコヤガイ血球細胞の変化が本症診断の指標となり得ると考えられた。

高水温及び溶存酸素濃度が海産白点虫 Cryptocaryon irritans の発達に及ぼす影響

2001/5/25
良永知義
 高水温が海産白点虫の宿主寄生期虫体とシスト期虫体の発達に及ぼす影響を調べたところ,31。C以下では両ステージとも正常に発達した。また,シストを様々な溶存酸素(DO)条件下で培養したところ,過飽和 DO および低 DO で発達が抑制された。低 DO で培養したシストを DO 飽和条件下に移すと,再び発達を開始し,感染幼虫を放出した。これらの結果から,白点病が秋季に多発することには躍層崩壊に伴う水底への酸素の供給が関連している可能性が示された。

単生類 Neoheterobothrium hirame のサザンフラウンダーへの実験感染

2001/5/31
良永知義・堤 信幸・島 隆夫・釜石 隆・小川和夫
 ヒラメParalichthys olivaceus に貧血をおこす単生類Neoheterobothrium hirame をヒラメと北アメリカ大西洋沿岸に生息するサザンフラウンダー P. lethostigma に実験的に感染させたところ,自然宿主であるヒラメに比較して寄生程度は低かったものの,サザンフラウンダーからも成熟虫体が得られた。このことから,サザンフラウンダーも本虫の宿主となり得ることが明らかとなった。

過酸化水素によるサケ科魚卵の水カビ病の防除

2001/6/20
山本 淳・豊村真之介・実吉峯郎・畑井喜司雄
 サケ科魚類受精卵の水カビ病防除のためにマラカイトグリーンに替わる薬剤として過酸化水素の可能性を検討した。ニジマスおよびカワマス卵において,媒精後から発眼期まで週 2 回の過酸化水素 1,000 ppm,60分間の処理が水カビ病防除に有効であることが確認された。サクラマスおよびアメマス卵は過酸化水素の毒性に対して高い感受性を示したが,ヤマメ卵の感受性は,それより低かった。カワマスおよびヤマメでは 1,000 ppm を越えると卵の死亡率が高まるため,濃度を厳密に守る必要がある。